第六章 巡る光暗
ゲームファンタジー第六話!
もうワンパターン化してきましたね、前書き!
前書きではあんまし本編ネタは入れられないんで書くことないんですよねぇ…
書くといったら
※この作品には作者の(ry
程度ですからねぇ…
では、あとがきでまた会いましょう
―少し前―
クロアは必死に指先を動かす。
もはや立っていることも不可能な、倒れていても地面にめり込むような重力に抗いながら指で体を動かそうと、悪魔のような符を使う双子を止めようと、一秒前よりも強くなる重力の中で指に力を込める
カチリ、と指先が白くて四角と円の中間のような形のものに触れる。クロアは何故か取らないといけないような気がして、必死に握る
ザワッと全身が総毛立ち、頭の中で自分が問いかけてくる――――――暗い空間。キャラクターエディットの時のような暗い空間に『クロア』がいた。
「お前は何を望む?」
ふわり、と普段の服装に戻った自分の前に二組の剣が現れる
「『破壊』か『創世』か。選ぶのはお前だ」
自分は困惑する。彼には質問が理解できなかった
「選べ。この世界での役割を。お前の力を。ツバインとしての在り方を」
彼はわからない、と答える。
役割?在り方?知ったこっちゃない。
俺はただ友達の遊びに興味を持っただけだ
『クロア』は首を振る
「俺が望むのはそんな半端な答えじゃない。この世界を変える、これ以上無い強い意思だ。
それは、このヴァルハラを支配するだろう…さぁ、答えを」
ビシリ、と暗い空間に白い亀裂が走る。破片が白く輝いて落ちて粒子になって消えていく
「さぁ、答えを」『クロア』はそれだけ言って静かに彼を見つめる。批難も、催促も、期待も、絶望も、何もない静かな両眼に彼は思わずたじろぐ
バキッと空間に更なる亀裂が走る。
空間自体がもう限界だと言わんばかりに震えはじめて『クロア』は静かに天に左手を掲げてそれを制する。あくまでも沈黙を守りたいらしい
―くっそ
何にも答えが出やしない。
彼は自分の甘さに気付いて頭を抱えて悶える。どうやっても答えが出せない―違うじゃねえか
答えは考えるだけじゃないはずだ
―思い描くんだよな
自分自身を描き出す。無色の、自分自身を
―自分を。
願いを浮かべていく。何をしたいか、何が必要か、何をするのか
―願いを。
答えは解へと近づいていく
―全てを。
解はとかれた。x=のように簡単な答えじゃない。自分にしか読めない、自分だけの解
―俺は
『クロア』はそれを聞いて頷く
「ククク、『全てを知りたい』か。いいぜ、選択は…」『クロア』は左の一組の剣を持って投げつける。世界が崩れるようにして消えていき、最後に一つの言葉だけが耳に残った
「忘れるな…『破壊』と『創世』は常にコインの裏表。力をミスればどんなものでも『破壊』を得る」
パキン、と世界の最後のカケラが砕けて彼は光に飲み込まれる――――――クロアは地面に伏したまま白き剣を見る。
手にあるのは白い『長剣』と黒い『長剣』…。そして、頭の中にそれらの名前が刻みつけられている!
「巡れ」
既に数十倍を超えた重力の中を鋭い力が駆け抜ける。クロアは両手の剣の名を叫ぶ
「光剣『白陰』、闇剣『黒陽』!」
白き剣を一閃する。
バツン、と重力が突然切れてクロアは圧力の変化で激しくむせかえる
「いま…」
「なにが…」
双子は理解できないと突然効力を失った繰符を見つめる
「ククク…効いたぜ、重力とはな」
ゲホゲホとむせかえりながらクロアは新しい武器、双剣を構える
「だが、ガキども。終わりだ」
剣を振り下ろす。
呆然とした二人の頭上を対色の剣が落ちてくる…ノピアはヨロワを、ヨロワはノピアを見つめて怯えた目で剣を見る
「おい」
剣が宙を舞う。
ザザッ、と地面に突き刺さる音と共に首元に淡い蒼色が飛び込んでくる。
「ガキ相手に本気すぎんじゃねぇか?」
クロアは後ろに飛び退く
「遅ぇよ」
背中を鋭く切り上げられる。綺麗に一直線に切り裂かれた背面から血が溢れ出して死すらも超越した恐怖を感じる
「ろ…楼騎お兄ちゃぁぁぁぁん」
ヨロワが泣き付く相手は黒い髪を持ち、やや切れ長の目をもつ、和装に身を包んだ剣士だった
「楼騎…遅いよぉ」
楼騎は悪いと一言謝り、二本持つ紅と蒼の刀から蒼いものだけを構える
「双…剣…?」クロアはかすれていく視界の中で振り上げられる刀を見つめる
「クロア、お前は弱い。お前は足手まといになりかねない」
カシャン、と刀の金具が音を立てる
振り下ろされた刀にクロアは絶望する
―こんなに…簡単に…死んじまうのか…俺は
クロアは唇を噛み締める
―新しい武器も、何も役に立たないのか?
スッと目の前を何かが揺れる「な…なんだ…お前は」
ふわり、とクロアの目の前で布が揺れる
目の前に幼い、白髪の少女が立ちはだかっていた。体をまるで十字のようにして空中で静止した刀を見つめている
「…この力、BUGか?!」
楼騎と呼ばれた、蒼緑の上衣と藍色袴の剣士は間合いを離して少女に敵対する
「クロア…」
少女は振り返り、笑いかける
全身を光が包んで傷を癒していく…
「時間切れ、かぁ」
少女は笑いながら足元からぼろぼろと崩れていく。崩れた部分は徐々に透明度を増していき、見えなくなっていく
「ばいばいっ、それから…」
…手を出したら容赦しない。振り返り様に残忍に笑いながら幼い少女は姿を消してしまう
「くっ」
クロアは一度手から弾かれた剣を取り、楼騎に向かって突進する。楼騎は一瞬だけ驚いたように眉を動かしたが冷静に刀を構えて迎え撃つ
金属がぶつかる耳障りな音が響き渡る。
「お前、BUGの仲間なのか?!」
「あんな奴知らねぇよ!」
剣で弾き飛ばす。楼騎は空中で一度後転してから地面にへばりつくように萎びた草の上に着地する
一度楼騎は刀を見て、空を薙払う。
「不穏分子は排除するに越したことはない。悪いが、退場願おう」楼騎は刀を地面と水平に構えて、名を呟く。
「揺らめけ『幽月』」
淡い蒼色の刀身が一瞬だけおぼろげに輝く。見た目こそ変わらないがその存在感はその場に『有る』だけで切り裂かれているような、恐ろしく鋭利なものだった。
「この剣の能力は『一撃断殺』。耐えようとしても無駄だ。」
静かに剣を頭の横に構える。近付けば刺し貫き、待てば一瞬で距離を詰めて断ち切るつもりだろう
…チャンスは一瞬、クロアは長い双剣を構えるフッと楼騎の姿が消える。あまりの速さに目のピントが合わせられない…
「っ…らぁっ!」
白い剣を振り上げる。カキンと軽い手応えを感じてクロアは笑う
「…なんだ?切り落とせない?」
『一撃断殺』の刀を白陰は受け止める。それも、片手だけでだ
「能力だ」
クロアは静かに疑問の解を与える
「『能力を封印する能力』…それが白陰の能力。先に手の内を晒したのが敗因だ」
クロアの踏み込みに反応して素早く間合いが開かれる。楼騎の瞳には微かな驚き、そして僅かな異怖を感じる「聞いてるか?『D』、『T』コイツは相手に回すのは危険すぎる!今ここで殺すしかない!」
空中にややブレながら四角が描かれる
『…俺はすすめないぞ』
『貴方がやりたいのなら、まかせるわ』
DとT、二人がゲームに割り込んで楼騎に自分の考えを伝える。楼騎は静かに刀を握る
「…お前達は近寄るな。危険だ」
カシャン、と刀を再び握る。楼騎は一度だけ瞼を閉じながら小さく息を吐いて心を落ち着かせる
「剣技『眉月』」
刹那の斬撃が前髪を数本切り落とす。頭を引くタイミングがもう少し遅ければ今ので頭が吹き飛ばされていただろう
「返し剣」
ヒュッ、と踏み込みと共に下から上へ切り上げられた刀が逆に下に落とされる
蒼碧のコートに一筋の切れ込みが入り、クロアはバックステップでやや滑りながら怒濤の追撃を黒陽で受け止めて白陰で弾き返す
「くっ…」
白陰の能力を受けて楼騎は思わず刀を引いてしまう。クロアはすかさず叫ぶ
「『能力を付加する能力』」
楼騎の刀がイビツに歪んで彼の頬を切り裂く
たらり、と垂れた紅い血が彼の上衣を染めていく
「なんだ…その能力は…」
武器にはだいたい特殊な能力が宿っている。例えば『竜の尾』、あれには『水を操る能力』が宿っている。だが、
「能力に対する能力なんて見たことも聞いたことも無いな…」
楼騎は手で血を拭う。垂れる生暖かい血液は集中を掻き乱してしまうからだ
「すげぇな…黒陽」
自分の武器に驚いているクロアに楼騎は手加減をやめる事にする
「クロア…お前の力は異能過ぎる。悪いが、消えろ」
空中からカードを抜く…だが、そのカードは二枚あり片方は半透明だった
「滅符『世界の拒絶』、奥義『流浪の月』」
半透明のカードが幽月に宿って能力を付加する。世界を超えた、敵を抹消する特異すぎる呪符がクロアを拒絶する
「じゃあな、クロア」
世界が闇に閉ざされる。闇の中で雷光のような光が煌めいて刀が振るわれる―禁符
「『リミティ・ブラスティカ』」
補填のカードを発動する。一瞬だけ全ての能力を無限に変える呪符で遥か彼方にまで飛び退く
「リミティブラスティカ…誤算だ」
楼騎はもはや届かない間合いを前に刀を下ろす。カチン、と世界から意識が解かれる。
時間切れ…、一試合が終わってしまったのだ
「やるな…」
一言、感想を漏らす
近々また出会うことになるだろうが…その時にまた手合わせをしようと楼騎は思うガコン!と機械が外れる。
クロア、ノピア、ヨロワ、楼騎は一斉に機械から吐き出されて現実で互いを認識する
「あっクロアお兄ちゃんだ!」
「あたりまえでしょ?ってガルトは?」
幼い姉弟が賑やかにしている。明暗のはっきりした服装からかゲーム中よりも幼く見える
「クロアさん…管理室にお願いします」
緑色の制服が話しかけてくる。どうやら管理者にも目をつけられたらしい
クロアは仕方なく承諾を伝える
配線がむき出しの舞台裏から扉を抜けてスタッフエリアに入る。いくつもの扉をくぐり最奥の部屋に入る
「やぁ、元気そうだな」
ヘラヘラと笑う男が現れた。クロアはイラッとしつつも中央に巨大な機械が聳える部屋を奥へ進む
「君が、クロアか」
上から声が降ってくる。上を見上げると薄暗いなかに白衣が見える。手すりを飛び越えて落ちてきたのは若い…少し若いに訂正する。
「中々に見所ある若造だな」
女だった。
口調は老人、風格は雄々しく、見た目は麗しい…というところか
若干口元にシワが目立つぞ
「黙れっ!D!」
「ありゃ、バレましたか」
ヘラヘラとDが全く反省していない笑いを浮かべて平謝りをする。こいつ、何とかした方がいいな
「あぁ。それには同意するぞ若造」
相変わらず見た目とのギャップに馴染めない…、というか暫くは馴染める気もしない
クロアは一息入れてから何の用かと聞く
「うむ。若造よ、お主の行動は常軌を逸しておる。だから今一度問う。我々の元に来るかどうかを」
女は品定めするようにクロアの目を見つめる。俺にはお前のような趣味はない
「ちぇっくめーいっ」
ぼずん、と椅子に座りながらDが呟いている。相変わらず理解に苦しむな…
クロアは静かに周囲を観察する。
小じわは相変わらず見つめている。Dはヘラヘラと小じわにちょっかいを出しており何かを求めているようには思えない…
「一つ聞かせろ。俺がお前らと組んだ時のメリットは何だ?」
小じわの目がキラリと光る。しまった、これが本命だったか!
「よくぞ聞いた!我々と組んだときの若造のメリットはだな…」
白衣の意外と物が入るポケットから折り畳まれた用紙を取り出して、小じわは読み上げる
「一つ、給料が出る。
一つ、週休半日」
休み…少ねぇな
「一つ、衣食住のうち住だけ保証」
全部保証しろよ
「一つ、管理者権限を与える。
一つ、BUG特別対策班に任命」
小じわはふふん、と得意気に読み終える。クロアはやや目を泳がせていたが話が終わるのを見て元に戻す
「条件悪いな」
「なに?!」
明らかに狼狽する小じわ。まさか本当に条件が良いと思っていたのだろうか?
「D、一体どこが悪い!最近の若者の感覚がわからん!」
ヘラヘラと、奴は答える
「今はもっと即物的じゃないと動かないんだなぁ…いい加減わかれよ『G』」
どうやら小じわはGと言うらしい。
「くっ…若い頃は実力を認められることが最大の誉れだった筈なのに…時代が儂をいじめるのか!」
「さて、クロア。俺達と手を組むなら世界の半分…いや、げふん。お前の知りたい事を教えてやろう」
Gを完全無視してDはクロアに取引を申し込む。どうやらこちらの条件ならば多少はマシのようだ
クロアは承諾の返答をする
「いやー、丸く収まってよかったよかった。ね?Gさん?」
「じーさん言うな。そして儂を(仮名)みたいに呼ぶな。コワッパが」
…案外仲がいいのかもしれない
クロアはやれやれと頭を垂れる。何気にまだ始めて初日だ。外は既に日が落ちているだろう…我ながら随分と疲れる1日だった
「うむ、そうだろうな。今日は帰ってしっかり休め」
…口に出した覚えがないのに回答が帰って来た。偶然か?
「そうだクロア」
Dが天井を指差す
「来るぞ」
カン、と鉄を蹴る音が聞こえて後ろに下がる。上を見ると金髪が風になびいてるのが見える…ん?風?
「やっほー!」
「踏みつけっ?!」
何故か空中で進路補正した金髪がクロアの上に着地した。
白衣を着た二人組は
「あーあ」とでも言うように顔を見合わせている
「新入りクン、一緒に頑張ろうね!」
「うるせー!てか重めぇー!」コシャッ「最近新入りが少なくてつまんなかったのよ!歓迎するわ!クロア!」
へんじがない、ただの死体のようだ
DとGはやれやれと、クロアを一日早く部屋につれていく方針を固める。今の状態だと帰るのも難しいだろうからな…
―――――
あとがき
―――――
こんにちは、シロツバです
昨日(投稿日時点で)自転車の鍵落としましたー。生まれてはじめてでビックリですよ
あ、ちなみに鍵は駐輪場の人から工具借りて壊しましたよ。付け替えに1365円かかりましたが…
お金無いよ…うぅ…
さて、今回の小説はネタ満載ですね
そしてまさかの時間感覚…シロツバ自身途中忘れかけてました。危ない危ない
まぁ、ようやくクロアの所属が決まりましたね。長かった…
では、今回はこのへんでー
また次回お会いしましょう( ̄▽ ̄)ノシ
―――
ガルト「なぁ、俺どこ行った?」
シロツバ「重力に負けて画面外で退場してもらったよ」
ガルト「扱いに不満があるんだが…」
シロツバ「堪えてくれ…」(肩を叩く
ガルト「イラッ、暴れろ『白蛇の進軍』」
シロツバ「痛い!噛むな!踏むなぁぁぁ!」