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第四章 ツバイン

ゲームファンタジー第四話!

主人公の役割が少しずつわかってきましたが、彼はまだやる気はありません。

本当に大丈夫なのか…(自問)


※この作品にはやっぱりカオスが含まれております。70%くらい

…前が見えない

ザワザワと周囲がうるさい、

なのにフィルターがかかったようによく聞き取れない。

彼は機械に座ったままぼんやりとした頭で感じていた。俺は、どうなったんだ?と

「君、大丈夫かい?」

暗闇が取り払われ、機械から引き上げられる。その時、緑色を基調としたスーツのような、またはどこかの礼服のような変な服装が目に入る

(スタッフ…か?)

頭が痛くて深く考えられない

「医務室までお運びします。どうぞ背中に」

「いらねぇ…歩いて…いってやる」

スタッフは目を見開いて驚く

そうですか、と呟いて立ち上がったクロアを見る。足元はふらついてるしどこか覇気が無い。だが

「何だよ…あれ」

手は握りしめられて震えていた

「なんなんだよ!あの泡は!なんで俺等しか残ってねぇんだよ!ルイエス達はどこ行った!」

スタッフはエアリアルとガルトの近くで待機していた二人と目配せして、頷く

「…こちらへ」スタッフの明らかに先程までとは違う、重苦しいトーンにクロアはやや面食らう

「あぁ、いいぜ」

やや元気がない声でクロアは答える

クロアに応対していたスタッフはさっさと舞台裏へと消える…、少しくらい待てや

舞台裏に入るとスタッフが壁に向かって何かを押していた。カチャン、と鍵が外れる音がしてスタッフは金属製の扉を押し開ける

「どうぞ」

そう言われて中に入る

中はやや暗くなっており、単調な色の壁が続いている

歩く度にカンカンと小さく鳴るというのは床が金属製だということ…だろうとクロアは頭痛にさいなまれながら考えていた

いくつもの扉を抜けていく。この施設のだいぶ奥に来たときに彼は足を止める

「ここです」

一際分厚い扉を抜ける。その先は巨大な空間が広がっており、その中心には巨大な機械が十メートルほどの天井まで(そび)えていた。その下で働く人々の一人をスタッフが呼ぶ

「…おや?」

だらしなく白衣を着た人物がクロアを見て驚き、そして

「ずいぶん早く来たね」

ヘラヘラと笑いかけた

「お、お前は…」

誰だったか思い出せない…はて、最近見たような、そうでもないような気もする

「…やれやれ、自己紹介か」

別に嫌がっていないように見えた

「私は『D』、開発部の主任と…この『ヴァルハラ』のゲームマスターだ。よろしく」

随分と軽い握手をクロアは見つめる

「やれやれ、握手もわからないのかい?」

ヘラヘラとからかう男の手を全力で引っ張る。その反動で男が壁に頭をぶつけたが知ったこっちゃない


「いたた…なかなかやるねぇ」

のんきに頭をさするDはスタッフに下がるように伝える

軽くお辞儀して消えていくスタッフを背にしたクロアにDは、ふぅむ…と唸る

「至って平常、やはり予想通りだな」

クロアは頭痛も忘れてこのゲームマスターに喰ってかかる

「何だよ、あの泡は…それに…」

あの光は…。そう言った時、クロアの前に紙が突き出される

「これは機密保持契約、君が関わっているのはシステム側の事柄だ。…っても、上がうるさいだけだがな」

―――

機密保持契約


私、___はこの事象について他言しないことを誓約します

―――

「なんだ…こりゃ」

「サインと判子、まぁ指で構わんだろうな」どっからか出されたボールペンと朱肉を前にクロアは拒絶しようか迷う

「…ふぅ、仕方ない。

君がサインをしないのならばキャラクター『クロア』を削除…していいかな?」

本当は嫌なんだがね、と肩をすくめてはいるが…これは脅迫だ。自分の分身を殺したくなければサインしろ…さもなくば…

「ったく…わかったよ、一日目でやめさせられるのも癪だからな」

嫌々サインと指判を押す。それをさっさと片付けるDにやや不信感をいだきつつもクロアは待つ

「ふむ…こんなもんか」

面倒な手続きが終わってホッとしたのかDは手近な椅子を引き寄せて一つをクロアに向けて投げる

それを片手で受け止めてクロアは腰かける

「ふむ…では」

Dは何から話すか躊躇うような仕草をする

「場所を変えようか」

「たった今契約書を書かして椅子まで出したじゃねぇか!」

思わず突っ込む。その時頭がズキリと痛んでヨロリとふらつく

「ヘラヘラ、冗談だよ。中々に面白いな」

こいついつかぶん殴る。

「さて、話を戻そうか」

Dは真剣な顔になり、話を切り出した「君が見たものはこのゲームのバグだ。だが、普通のバグではなく人間側に対して非常に攻撃的だ。そして」

手近な席のパソコン端末を起動してカタカタと操作する。そして中にあるアプリケーションを起動して見せる

「今の医務室の映像だ。見てみなさい」

そこには一人の男が写っていた。だがそれは

「ガルト…?」

よく見知った人物だった。

だが様子がおかしい、目は虚ろでどこかを見つめている。時折何かを考えているようだがすぐに頭を抑えて首を横に振っている

「彼もまた君とほぼ同時に襲われた。極彩色の光を浴びて…な」

クロアは違いを考える。

自分が平気で、彼が被害を受けた理由…、

経験の差?レベルの違い?…いや、そんなものじゃないだろう

「ヘラヘラ、その通り。君と彼には大きな違いがある」

Dは再び端末を操作する

そして、見せられた画面にはただひたすらに0と1が表示されていた

「これは全てのデータの大元、二進数のデータだ。これは0と1しかない」

カチリとマウスをクリックしてある部分の色を反転させて強調する

「君には2がある」それは0(ない)1(ある)に属さない、本来ならばバグとしか言わない異質なデータ

「この2を持つキャラクターを我々は『ツバイン』と呼んでいる。君は数少ない異端のキャラクター使いだ」

その言葉に理解できない、と答える

「これは俺に手伝わせるために仕込んだんじゃないのか?それに、そんな特別なキャラクターならば管理者が奪うかコピーするだろう?」

クロアの言葉にDは頷く

「確かに、普通のバグならばそうするだろう」

Dは先ほどのボールペンの反対側を突きつける。そして

「君はこのゲームが何によって構成されているか知っているかい?」

クロアは答える

「様々な電気信号とプログラムだろ?」

管理者は首を振る

「それだけではない、ここに『人々のイメージ』を加えなくては完成できない」

彼は続ける

「強くなりたい、誰かを倒したい、剣を振るいたい、他人とは違うのを証明したい。このゲームはそれを読み取って人々のイメージを具現化する

そして、ツバインもまたイメージの産物。ただ模倣しただけでは何の意味もなさない」

帆のない船のようだな、とDは評する

クロアはその話をかなりいかぶしんだ顔をして彼に質問する

「なぁ、なら聞くが…あの泡について知らないか?なんでもいい」

管理者は一瞬クロアを見つめて、答える

「あれはバグ…我々は『BUG』と呼んでいる。奴等の力は『ブレイク』と呼び、人に記憶の混乱や錯乱を引き起こす力を持つ」

君にも理解出来るだろう?と彼は投げ掛ける

「あぁ…わかってるさ」

ギリ…と歯を食いしばる

Dはそんな彼に手を差し出して、聞く

「我々の側につかないか?そうすれば他のツバインとも交流できる」

クロアはその手にゆっくりと手を伸ばし、そして、弾いた。

「俺はこんなことを公表しねぇお前等と手を組む気はない!公表するんだったら仲間になってやるよ」

Dは愉快そうに笑う。まるで予想通りだと言わんばかりにだ

「そうか、ならば止めるわけには行かないな。君が我々の仲間になるならばいつでも来るといい」

クロアは、ねぇよと答えて部屋の出口に向かっていく。Dはそれを見ながらヘラヘラと笑いながら見送る

「D、何ヘラヘラしてるんです?」

後ろからDとよく似た白衣を着た、背の高い女性がたしなめるように言葉を飛ばす

「『T』か、何のようだい?」

Dは椅子の前後を入れ換えて背もたれで腕を組む

「何のようだ?じゃないわ。アナタがツバインを見つけたって聞いて来てみれば…」逃げられてるじゃない、と呆れたように肩を落とす。長い髪がパサリと動きに合わせて音を立てる

「いやいや、順調順調。既に王手(チェック)をかけたようなものだよ」

ヘラヘラと彼は耳元にかけてあったハンズフリーマイクを引き寄せる

「双子はいるかい?…仕事だよ」

その連絡で、小柄な二人組が部屋に入って来た

「…おっ」

いくつもの扉を抜けて外に出ると、相棒が待ち構えていた

「ガルト!、もう大丈夫なのか?」

クロアは聞き、ガルトは頷く

「あぁ、ちょっとノイズに当てられただけだ。問題ないさ」

クックック、とこいつは笑う。もう大丈夫そうだ

クロアは、ほっとしつつも疑問が浮かび上がる。何故、こうまで問題なく復活しているのか、と

「あ?そりゃあれだ。俺=すげぇ、うん」

…多少の混乱が残っているのか、どうなのかは知らないがコイツの今の発言は無視しよう

「おぉ、そうだそうだ」

忘れてた、とガルトはカードを差し出す

「補填用の特別カード、使えば一瞬だけ能力が限界値まで行くぜ」

その特別な呪符を受け取る。どうやら一度使うと無くなるらしい

「さて、今日のラストバトルといくか」

張り切っているガルトはキャラクターカードを見せて意気揚々と舞台へ向かう。BUGに襲われて虚ろになっていたとは思えない姿に苦笑いする

…馬鹿なんだか、凄いんだか

クロアも後に続くことにする何の問題もなく受付が完了してクロアは指定された席に座る。と

「お姉ちゃん、あの人?」

「そうよ、ちゃぁんと一緒に遊びましょ」

子供の会話が聞こえた。後ろで会話しているから姿は見えない

「さぁ、準備は終わりだぁぁ!」

ワァァァァァ、と観客が異様に白熱している

「新人、クロアに神の加護あれ!」

…いつもと掛け声が違うじゃねえか。

そう思った時、フツリと意識が消えた

ふわり、といつにない高揚感を感じる。

いつものように下から上へ『材料』が運ばれて上から下へと、現実世界とは真逆の順序で世界が作られていく

クロアは異様に空が『長い』事に気付く。まさかとは思うが

―高地系か?

ピリッと頭に痛みが走る。まだあの頭痛なのだろうか…

クロアは着地する。

また廃墟のような建物がエリアらしい

「廃ビル…か」

スッと第一歩を踏み出した瞬間

パキッ、と何かを踏む音を聞いて音の方向に振り向く

「…」

「…」

なんか、小さな子供が物陰から見つめてるんだが…

「っ…」

声をかけようとしたら子供は逃げてしまう。頭の三分の二は壁に隠れていたから男か女かさえわからなかった

「…さっきの子供か?」

―お姉ちゃん、あの人?

―そうよ、ちゃぁんと一緒に遊びましょ

ぞわりと先程は気付かなかった、悪意の棘に触れたような気持ち悪さに背中に嫌な鳥肌がたつ

「…距離をとっておくか」

安全策をとっておくとしよう。先程の子供ならば二人組で現れるはずだ…、包囲から逃げようと決めて周囲を見回す

あたりにはひび割れた壁と壊れた木製製品の残骸、そして天井から崩れて落ちたコンクリートの塊…そんなところだ

「階段…はここじゃないか」

キョロキョロと辺りを見回す。剥き出しのコンクリートの壁が死角をうみだしており全部の把握には向かない。だが大まかな把握、階段の位置候補程度ならば絞り込むことは出来る

「装具『長剣』」

他のプレイヤーも準備は出来ているはずだ。油断はしないほうがいい

だろう

「…人影は見当たらないな」

左右確認してから先に進む。何故だかガルトからの連絡もなくて淋しいものがある

「くっそ、何してんだ…あいつは」

クロアは悪態をつきながら大きな壁の反対側を伺う。ハズレだ

無意味に広いこの建物に少しばかり呆れてしまう

「なんでこんな疲れるエリアに…」

と、足元を見たときキラリと光る物を見た。咄嗟に動きを止めてあたりを見回す。

…天井まで透明な細い紐が続いている。

そこから先の構造はわからなかったが気を付けて一歩踏み出すとしよう。

紐を踏まないように跨いで足を降ろす


―プツン


何かが切れた。ピシッと天井にヒビが入り、一気に崩落する

「くっ…死ぬ訳にゃいかねぇ!」

ブゥン、と不思議な力が働いて剣が崩れてくる瓦礫に向き直る。まったく意図していない動きに彼は驚くが…頭に浮かんだ言葉を叫ぶ

「剣技『天剣斬』」

一瞬で瓦礫を切り裂く。そしてなんとか生み出した隙間に体をねじこんで剣を突き立ててかがむ

凄まじい轟音をたてて崩れ、砂ぼこりが建物に蔓延していく

そんな時に壁の裏側からひょこっと小さな男の子が顔を出した

「お姉ちゃーん、やりすぎたんじゃない?生きて無いかもよぉ?」

もう一人、反対位置の壁から向かい合うように顔が出てくる。

「いいじゃない?まぁ…やりすぎたかなぁ…」もうもうとたちこめる砂ぼこりの中に一つだけ山ができている。その山から小石が二・三個落ちたかと思うと

「ちっ…やられたぜ」

山の頂点を剣の柄が貫いて瓦礫を崩す。その中からやや傷だらけになったクロアが顔を出す。

「さて、第二ラウンドだ…ガキ共」振るった剣が鈍く光り、幼い姉弟(きょうだい)は身構えた…

―――――

あとがき

―――――

皆さんこんにちは、シロツバでっす

実は最近思いました。


『このあとがき、おまけスペース無いじゃん』(衝撃のトーン)


うーん、第一話のあとがきで書いたのになぁ…、このままだとおまけで一話分書いちゃうよ(書きすぎ)

さりげなく本編に混ぜちゃおうかな?描写を忘れるからなぁ…(問題外)


あとがき2ページ目!とかあれば楽なんだけどね、分割が。


さて、今回のあとがきはここまで!

また次回お会いしましょう!( ̄▽ ̄)ノシ

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