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第三十章 深淵の記憶―アヴィス・メモリアル

詰みを重ねるゲーム盤、神影の戦いは援軍達と共に再燃する!


って訳でもないラストスパート!(前から同じことを言ってる気がするが…)

終盤に向けては進んでます。えぇ、実際は終わる予定でしたとも!…終わらなかった…orz

前回詰め込んだ意味を疑う2万文字…少し、纏める能力の無さを実感中



コホン。



さぁ、終盤スパート!開幕です

お立会いの皆様、あと少しの物語をお付き合い下さいませ

楼騎は、血の高鳴りを感じていた。

楼騎は、心臓の爆音を感じていた。

楼騎は、禁章の力を感じていた。

悪魔のような破壊の力こそが禁章の存在理由。彼はこれを使うことを禁じた家の掟を破った

(大丈夫。まだいける)

刀を振るう手から力が抜けないように気合いの叫びと共に鮮烈な三連斬を見舞う

―来たか。オーディスタ

ヘルの興味は既になく、『人間にしては長持ち』程度の認識にしかなっていない。だからこそ必殺の一瞬があるはず…そう、その一瞬以外に彼に勝つすべはないのだから…。ガコン!と現実世界で端末から吐き出されたのはエアリアル。

即死して強制退場を受けた彼女に続いて次から次へと死亡者が続出した。ヨロワ、ノピアと続いた死亡者はみな唖然とした表情でヘルの装具…なのか呪符なのか見分けがつかない攻撃を回想していた

「おやおや、まだ仕事は終わって無いよ~ヘラヘラ」

笑い声に若干のトゲがあるDが現れた。

まだポカンとしている二人に変わってエアリアルはトゲを込めて答える

「即死技なんて卑怯よぅ…Dもやって来たら?」

遠慮するよ、と曖昧に返された。

「君達に続いて援軍の三人も帰って来たよ。今中には四人と三体のBUGしかいないからね…相当しんどいよ?ヘラヘラ」

うぐぅ…とエアリアルは言葉を返せずに黙りこんでしまう

不本意だと言いたかったが今は何も言えないので悔しさを噛み殺して小さく威嚇した

「D、ツバイン。遊んどる場合ではないぞ

何せ得体の知れん敵を相手に一人でも人員を割けないのはしんどいからの」

Gが部屋の扉から言った。

その後ろに走ってくる人影が三つ…現実の嶺、瀬名、御簾だった

「Gさん、僕らを再ログインさせて!」

Gの手に持ったメモ台が鋭く眉間を貫いた!

「あだぁっ?!」

まともに受けた嶺は痛む場所を両手で押さえてしゃがみこんでいる…

その隣の瀬名がずいと前に出て嶺とGの間に入る。高い位置からのポニーテールが揺れた。

「G、私達のログインをお願い。このままじゃ緋糸達も…」

Gは首を横に振った

「駄目じゃ。…というか無理じゃ。儂らの端末以外からこの六人のアカウントが凍結されとる。主らはログインさせられぬ」

瀬名は閉口し、何でと御簾が口を開いた

「理由は…おそらく奴の『アルカナフォーチュン』、それも『ジャッジメント』。あれ以外は考えられぬ」

それには御簾も同意して頷く

「ならG、端末からの解除が無理ならば他に凍結を解く方法は?」

Gは首を振った。無い、と

「…ならば、私たち以外ならば?」

御簾が呟き、瀬名が手を叩いた。

「それよ!

私たちが駄目ならば他の人達に頼めばいいわ!」

「誰にじゃ?」

瀬名はうぐっ…と答えに詰まる。

時間はもう夜明けに近い。今からメンバーを探すのはかなり骨が折れる。今から集めてもすぐに揃うとは思えない

「集められるか?」

Gがキツい口調で言った。

どうやら…彼女も焦っているようだ

「…っ!」

瀬名は嶺を見る。『天界の守護者』の仮にもリーダーなのだから…コイツなら!

「もしもし?あぁ、うん。『ヴァルハラ』に来てほしいんだけど…え?朝早いって?」

カチン、と嶺の額に青筋が立つのをその場に居合わせた全員が目撃した。

「最後の出番のチャンスだって言ってんだよ!わかってんのか?!」

ふっ、と憑き物が落ちたように嶺は携帯端末を落とした

「あ…また…」

瀬名が駆け寄り、肩をゆする

ガクンガクンと揺れて彼は目を開けたまま気絶していた

「あちゃ、まさかこのタイミングで…」

「人格が入れ換わったからね、無理もないわ」

瀬名と御簾が交互にため息をついた。二人だけは事態を把握してるらしい

「え…っと?瀬名さん御簾さん…これって?」

エアリアルの疑問に気にしないでと二人が答える。

「「よくある事だから」」

同時に答えた双子は小さく息を吸ってタイミングを合わせて…

「「聖蓮チョップ!」」

首筋に手の側面を叩き込んだ

…。

ぐったりとしているが、大丈夫なのだろうか?

「平気よ、さって…私たちも連絡してみますか。嶺が一人呼んでくれたからね」

瀬名の言葉に御簾も頷く

「面倒だけど、このままって訳にもいかないしね。

聖蓮の名に傷をつけるのもアレだし」

伸ばした後ろ髪をかき上げながら御簾もそう言って携帯端末を取り出す。管理者二人は小さく笑いながら、いかにも二人らしい、と囁きあう

「…うん、今から…そう、うん。」

「そうそう、ルイスも連れて…え?朝食の準備中?そんなの今日の夕方以降じゃない!連れて来なさいよ!

代役?誰よ…」なんか盛大に叫んでいる御簾を尻目に瀬名が携帯端末をパタンと閉じてGに一人確保と伝える

「やるのぅ…」

「まっ、これくらい楽勝よ!」

えっへんと胸を張る瀬名の隣で御簾も端末を閉じて、言う

「四人確保」

おぉ~とざわめきが走る

「なっ、四人?!一番苦戦してそうだったのに!」

「ふっふっふ…御簾様を舐めない事よ」

むきー!と瀬名が叫んで掴みかかる。それを予期していたのか管理者二人は襟をつかんで持ち上げて、引き離した。

「む~。じぃ~、ひどーい」

「D、放しなさい!首っ!痛い!」

ポトリと落とされて御簾は尻餅をついて痛がる。それを無視してDは意外と集まるな、と感心していた

「…ねぇ、もう一人候補がいるけど?」

「呼べばいいさ」

御簾は携帯端末を操作してどこかに電話をかける…どこかの大豪邸で電話がなった。

白いオーク材の電話台の上に鎮座したいかにも年代物のアンティーク電話が鳴っていた。このご時世に電話器など珍しい

「はい」

近くにいたメイドが電話を取り、答える。

「『天界の守護者』、御簾よ。お嬢様いる?」

電話を受けたメイドは左右を見渡してから答える。

「お嬢様は只今ヴァイオリンのレッスンを…」

「どうしたの?Anna」

背後から御簾の目当ての人物が現れた。声を聞いた彼女は電話越しに呼びかける

「ちょうど良かった。『天界の守護者』からの招集よ」

電話をメイドから奪った少女は笑顔で断る。

「『天界の守護者』ならば行きません。Ms.御簾、貴女の頼みならば考えますが」

電話越しに笑い声が聞こえた。なるほど、とどうにかこうにか笑いを噛み殺して電話向こうの少女が伝える

「日本のサーバーへ来て、管理者には伝えとくから。私からの命令よ!」

「ok. see you」

プツン、と受話器を置いて電話を切る。

「さぁ、出かけるわ!車を!」

「お嬢様!ヴァイオリンのレッスンは?!旦那様に怒られますよ!」

メイドの静止を振り切って彼女、黒髪のお嬢様は出掛けるようの帽子を取り頭にのせた。中には綿がぎっしり詰められたフカフカのお気に入り。彼女の上機嫌のお出かけスタイルを見てメイドは止めても無駄だとため息をついた

「お気をつけて、リーゼお嬢様」

「後でお礼するからごまかしてね!アナ!」

彼女は素早く手配された車に飛び乗り、行き先を告げる。そこは同じだが違う場所

「『ヴァルハラセンター』へ!」プツン、と切れた電話の先で御簾は再びくすりと笑った

「ワイゼルのご令嬢もなかなかやるわね、今度あっちの会社とのコラボレートも視野に入れようかしら?」

瀬名は小さくフッと笑う

「しつこくお見合いを迫る馬鹿親父に媚びて?」

「たまにはいいでしょ?説得は任せなさい」

コホン。

「説明して頂いていいですか?御簾さん」

エアリアルの疑問に頷きが返された

「知り合いよ、仕事と私的にね」

なるほど。とエアリアルが頷く

今のところ援軍は六人。問題は何分で揃えられるか…

GとDが職員に指示を出している

おそらくは手はずを整えているのだろうが集まらなければ意味はない

「案ずるな儂らがなんとかしよう。…A、E、L、会議じゃ」

三人の管理者がGの後ろに同行して中央管理室へと去っていった

エアリアルは二人の子供が見上げているのに気付いて作り笑いを浮かべた この二人はそれを見抜いたがあえて何も言わずに笑い返した

「…クロア、もう少し待っててね」

エアリアルはもどかしさを感じながら眠るように端末に座る少年に小さく呟いたクロアの頭上で雷光が煌めいた。

「楼騎!寄れ!」

『隔壁』を張ってその青白い雷撃を受け止める。危なかった

「オーディスタ、そのまま動くな」

人格をウィストレアに切り替えてワルキュレアは天空に飛翔する。

手にした槍で風を斬り裂き雷を叩き割り純白の羽を舞わせながら彼女は上空に設置された魔法陣を破壊する

「下!」

槍を投げて自分の下方に出現した蒼い陣を貫く。パリンと割れた魔法が暴発して残骸を四散させた

―ほぅ…

感心したような声を出して黄金の銃をカードに向ける。今、神影の状態だとアレイアかウィストレアが撃ち抜かれるだけでワルキュレアは殺られる…。

「来い!『フギン』『ムニン』!」

黒い羽を撒き散らしてオーディスタは自身の眷族の鴉の名を叫んだ。バサリバサリと二対の羽が開いて二人の『クロア』に分裂する

「やれやれ、どうしようか」

「知るか。止めるぞ」

『クロア』とクロア、二つの人格が同時に操作される。肉体を超えた能力はオーディスタの固有スキルで他の神影では真似できない

白い剣と黒い剣。白陰と黒陽を模した剣が二人の手に握られて一振り空気を切り裂く斬撃を放った

回避したヘルは狙いを外して再度銃を構える。だがその間にワルキュレアは槍を抜き、羽を広げて空気を自分の加速装置に変えて突撃した!

「槍の本分は『突撃』。ですよね御母様!」

『御母様』はダーレンスレイブで槍を反らしてワルキュレアを軽くあしらい言う

―ならば防御の本分は『無傷』。穂先が触れねば傷はない

カチリと銃口がワルキュレアの後頭部に押し当てられた。…回避は、不可能

「『戦乙女の流儀』次の礼。『遊撃の翼』!」

散った羽が向きを変え、ピタリと根元をヘルに合わせて球体状に全方位から照準を合わせた。死角は皆無、ワルキュレアの神聖な羽が敵を斬り刻むのはもはや確定事項そして『勝利』の女神の名の元に完全な完成が宣言された

―馬鹿馬鹿しい

素早い一閃が羽を斬り刻んだ。

「そんな…まさか!」

―『ダウンフォルツ』

頭上からの叩きつけるような一撃がワルキュレアの甲冑を破損させ、床まで凄まじい勢いで叩きつける!

「『天鎖網・六花』」

落ちてきた彼女をクロアは鎖で捕らえる

六花錐はもうないので一つ下のランクのもので代用した。鎖が手足に巻き付き、胴を支えて墜落を免れた

「くっ…感謝するわ」

鎖を解いた彼女はそう言って軽やかに降り立った…「にしても…冗談キツイな、神影二人がかりで押されてるなんてな」

クロアに同意の言葉が返される

「絶対の物造主、そして地獄の門番。御母様は一筋縄でも二筋縄でもいかないわ」

確かに、と同意する。本当に面倒極まりない相手で逆に笑いたくもなる

すると『クロア』はこちらを見ている雰囲気の女を見てもう少しの時間稼ぎを提案した

「時間稼ぎ?」

「うん。流石に人が神に挑むのは無謀だから楼騎に秘策を頼んでおいたよ」

いつの間に…。クロアのコメントに鎖の時、と簡潔に答えが与えられた

カシャン、と剣を背負い『クロア』とワルキュレアの前に立つ。時間稼ぎか、好みじゃないが…黒い剣をヘルに向けて叫ぶ

「仕切り直しだ。行くぜ?」

―何度も同じ。見るに耐えない愚息(デキソコナイ)はここで壊すとしよう

銃口がカードに向けられた

引き金を引かれたら誰かが即死する。だが、撃たせなければ問題はない!戦いに必要なのは『切り札を切らせない』事、そして『使う気も起きないほどに叩きのめす』事だ

クロアは手にした剣で再び大斬撃を放った

―煩わしいな

防がれた。だが…

「足元!」

白い斬撃が彼女の服の一部を切り取った。彼女の衣類のほんの切れ端、ダメージはそれだけだが始めて与えた攻撃…!

―ほぅ

パチパチと光がはぜて服がリカバリーする。

「御母様、どうしました?まだ僕の攻撃は続きますよ!

連剣『黒陽召剣』!」

空間が歪み、本来存在しない黒陽がもう一人の『クロア』の手に収まった。召剣という異質な技法はさすがBUGといったところか

「武転『ソリティダムド』!」

跳び上がり、頭上をえぐる二色の剣閃をダーレンスレイブは容易く弾き返し、そのまま風圧で彼を斬り刻む!

―秘剣『インフィニティブレード』

追撃が放たれる刹那、クロアは手にした剣を高く放る。くるりくるりと回転しながら黒い剣が『クロア』の目の前に…

素早く持ち変えて『クロア』は偽の黒陽を破壊する!

―何?

何故壊した?とヘルが理解不能に陥ったのが彼女の最初で最後のミスだろう

「よくやったな」

「私たちを忘れんなぁぁぁ!」

男女一人づつの声が響いたピシリ、と床が割れて二人の人影が飛び出した。

「『紅蓮』の緋糸、ここに」

「『虹色』の黒須、参上!」

武器を携え、名乗りをあげてこの二人は現れた!

―生きていたか…。しぶといな

紅いコートに身を包んだ赤い髪の青年は手にした炎の大剣をヘルに向ける。

「『BUG-01』を五十体倒すのは流石にキツかったがな」

それに黒髪の少女が同意する。エメラルドグリーンの光を放つ弓を手にした彼女は緋糸を援護するように背後で弓を引く

「それでも私がいる限り緋糸は倒させないわ。絶対にね!」

光を束ねたような矢がヘルにピタリと狙いを定める。確かな殺意と決意の矢は神影にとっても危険なものだと彼女…黒須は直感する

彼女の能力は『知覚』。あらゆる状況で確かな判断を行える能力なのだ

「『精霊弓兵ミスティック・アーチャー』!」

矢が放たれた。

飛んできた光の矢をヘルは首を動かして回避。そこへ緋糸が剣を振り上げて頭上へと跳び上がる

「燃素収束『紅蓮の大剣』!」

―『空を煌めく無限の星々、我が旋律に従いて黒い(とばり)にその姿を刻め。』

彼女の頭上に現れた光球から無数の光が降り注いで緋糸の進路を絶つ。

「黒須!」

「はいっ!操符『火炎灯篭(かえんとうろう)』三枚!」

火を湛えた灯篭が三基現れてちろちろと火の粉を散らしていた。それは一見無意味な置物だが特定の状況下で真の力を発揮させるものだった。それは今彼女、黒須の手にあった

「燃素収束!『ミスティック・アーチャー・フレイムスタイル』!」

彼女の弓が突如として炎を纏い、光の矢から烈火の矢をつがえる弓に形を変える!

赤々と燃える弓と矢は緋糸を狙って放たれた!

「爆炎一刀…」

空中で全ての体重を剣に乗せ、緋糸は巨大な力を行使する

その剣に矢が命中してより巨大な炎の塊に変質させる。それは一度で一回り巨大になり高速で連射されたのだから受けた数だけ肥大化する

まるで貪欲な火災のように緋糸の剣は巨大化していった!

「『獄炎』!」

細い光の束を砕き、星々の輝きを蹴散らして莫大な熱量を備えた剣は振り下ろされた!

その姿を遠くで見つめていた楼騎は自ら破壊した壁の隣に背中を預けて、化け物か。と呟いていた燃え盛る剣は止められず、ヘルは次の魔法を唱える。

防御?反撃? 様々な思考を破棄し試行し破棄し試行し破棄し試行し破棄し試行し破棄し試行して詠う

「『天を覆う無限の天涯。我が前に敵はなく、我が後ろに敵はなし。永劫なる絶対の前に比肩するものもなし。

地、炎、風、水と四元素を束ねて盾とし、槍とし、命とする。』」

鮮やかな光が彼女の足元に展開する。無数のルーン文字を書き連ねた魔法陣は今のクロアでは解読できず、緋糸もまたわからなかった

四元素、そして天上天下の無双宣言。二つが意味するのは無敵にして最高の盾

「『石化目の鏡盾(アイギス)』」

現れた盾と剣がぶつかる!

金属がこんな音をたてるのか?ギャリギャリとメキメキと騒音以外の何物でもない音と燐光が部屋を染めた

「アイギス…おいまさか!」

クロアの『知識』が無敵の盾の知識を引きずり出して理解させる。鏡のような磨かれた盾を、埋め込まれた石化の目(ゴーゴン)を!

黒須もハッと気付いた。紅蓮に包まれた仲間に魔眼の凶手が確実に伸びているのに気付けなかった自分を呪う

「『ミスティック・アーチャー・ラピッドスタイル』!」

速射特化の小型弓に変形させる。変幻自在、故の精霊弓兵

トリガーを引くだけの高速弾幕発生器となった弓は短い矢を毎秒100発を超える速度で速射を続けた

一撃の威力は到底ミスティック・アーチャーの通常形態には及ばないが圧倒的な弾幕をもって一つの巨大な矢と同等としていた。手元がほんの僅かでも狂えば自分の大切な、世界を敵に回してもいいくらいの大切な人を貫くような連射を完璧な弓捌きと二人のチームワークで巧みに回避と離脱を両立させる…

だが、彼女の『知覚』が全て緋糸に注がれたのは完全に失敗だった。ヘルの星々が静かに頭上に移動したのに気付けなかったのだ楼騎は『クロア』に付き添われて壁に背中を預けていた。

「…相変わらずの化物っぷりだな、あいつらは」

『クロア』はそう?と首をかしげる。絶対にもう一人の同じ顔の人間やらない同じ顔のBUGの仕草に楼騎はやれやれと呟く

「調子狂うな…。お前」

「あはは、そう?僕は『クロア』だからねクロアとして接せられると…痛いよ」

ふと、BUGが良く口にする言葉が引っかかる

「…。聞きたい。お前たちの『痛み』の定義は何だ? 肉体はなく、精神もない伽藍の存在が何を痛む」

目の前の柔和なBUGは定義か、と考え込む。彼らにも厳密な定義がないのか言語化に時間を要する

「うーん…痛い時。そうだなぁ…人間らしくいえば『痛みを感じるとき』に相当するかな?

ほら、人間だって『痛み』そのものは知らないでしょ?」

何を…。言いかけて止まる。

言われてみれば痛みは『痛い』としか表現できないような気がする。何がどうなのかは具体的に言えず、ただ『痛い』としか…

「ね?僕らは人間を模して造られたから…曖昧にして確実。絶対にして絶大な感覚の『痛み』に反応する。御母様は人間の争いを見て何かを思ったんだと思います

残念ながら詳細は僕の『知識』には刻まれていませんが…」

楼騎は小さく頷く。少なくとも何らかの目的として『痛み』に反応するということはわかった

背後の壁が微かに揺れたような錯覚を覚えつつぐるぐると回転する思考を落ち着かせる。どうやら禁章の力が切れかけているようだ

「…もう少し待って、後五分。ここの転移ゲートを持たせて」

灰色の空間と白い部屋、二つの別座標を無理矢理繋げているのはいくらなんでも辛い。BUGに代われと言うと

「無理だよ、今の僕はクロアの影にして箱。サポーターみたいなものだからね…そういうのには触れられない」

面倒だなと文句を言っておいて楼騎は意識を研ぎ澄ます…。痛み、模倣、プログラム…キーとなる言葉を数珠繋ぎにして並び替える

カタカタと全身が揺れようと研ぎ澄ました神経は緩まない。たとえアイギスが発動した瞬間でも身じろぎしない。考える思考する止めないやめない続けよう

「…御母様、ヘルは何を見て過ごした…。あいつらはAIについて語った、人間について語った…」

不意に、カチリ、と何かがはまった気がした。まるで解答にいたったように全てが理解できて全てに説明がついた。

「…そういうことか」

ガタガタと壁が揺れている。いい加減錯覚だというのも不可能な揺れは次第にガリガリと何かを削るような音と共にやってきた



白い装束と灰色の物体が穴から飛び出してきた時間が止まっていたような気がした。

緋糸は自身の身をギリギリかすらせずに連射される矢を回避しているときに不自然な光を見た。まるで夜天の星のような光は音もなく滑るように流れていった

(しまった…!)

目の前の魔眼を見ないようにしながら鈍る手足で脱出する

「上だ!」

ハッと彼女が空の星に気付いた。射撃中止、撤退までには時間が無い…緋糸は内心諦めた

すると、視界に白い装束が舞い込んだ…『降り注ぐ流星の雨』

ヘルが呟いたのは攻撃の呪文。先程の防御とは違い上空から光を降らせて仕留める技法…

「ミスった…助けて…緋糸…」

光を前に黒須は身を守るように庇う。

眩しい光が幾筋も煌めき思わず閉じた目蓋の内側にも煌めく光が鋭く届く

「…痛くない?あれ?」

目を開けると、白い幼い少女が片手を掲げていた。その手の先には幼い細腕とはあまりにも不釣り合いな巨大な灰色の物体が握られていた

「油断しすぎね、不様なこと」

冷たく吐かれた声はあんまりにも鋭く、またある種の力を込められた声色だった

「マリア…フィオーレ!」

「御簾に呼ばれてきたわ、加勢してあげる」

光が途切れ、少女は手にしたモノを降ろす

灰色に輝く巨大な鉄の塊、鋭い歯がついたチェーンソーをちらつかせる

―ほぅ…援軍か?

くすり、とマリアは笑う

「えぇ、人間なんて脆いからね…。助けがないとあっという間に壊れちゃうのよ」

ヘルはなるほどと答える

―人間なんて所詮その程度。私達にとって『保護しなくてはいけない』モノ、ね

マリアは不機嫌に呟く

「知った口を」

―知らぬ口を

ドルン!と一度音を立てて巨大な出力で刃が回転を始める。それはまるで見せつけるような迫力を伴い、怯えさせるような音量でただ白いだけの部屋にこだまする

―私がその程度に怯むと?

マリアは何も言わずに出力を上げる。回転が早まり火花が散った

―なるほど、守護家系の一つか。『フィオーレ』の名は大聖堂の一つだったな

「私の事を気にするより自分を心配なさい?でないと…」

フッと姿が消える

どこだとクロアが目で追い付く前にヘルはダーレンスレイブを薙いだ。ガキン、と重厚な金属同士の衝突音が響いてチェーンソーが削る音が上乗せされる!

続き二、三撃は背後を狙い、四撃は正面、五撃は頭上で追撃は向かって左側面。どうにかサディスティックな武器の巨体で幼子の超高速移動の軌跡が読み取れる

逆に、それが無ければクロアはマリアを…マリア・フィオーレを見ることさえできなかっただろう穴が再び揺れる。

今度は控えめに揺れて数人の、割と楼騎が見覚えある人々が飛び出してきた

「援軍の援軍、メリアル!マリアちゃんに置いていかれた次第であります!」

いや、聞いてねえと元上級ランカーの少女にツッコミを入れた楼騎は彼女と共にやって来た人影に不快感を割と露骨に示した

「このルイエスが助けに来たよ、ねぇクロア君?」

「うぜぇ、死ね」

マリアの動きを目で追い続けているクロアはルイエスの言葉を時間の無駄だとばかりに切り捨てる

「我が主になんたる暴言!」

「止めなさいラムダ」

いたのか従者's

不機嫌にうなるラムダをいさめ、ゾルアは手に武器を産み出した。主を守り敵を圧殺し、ついでにこの世の法則を無視しかけている武器を呼ぶ

「『グリダ・アルビナ』」

もう一人、先程ゾルアに黙らせられたラムダが美しい細指に紫水晶を挟み、呟く

「『アメジストクロウズ』」

変質した水晶は細く長く姿を変えて双鋼爪(そうこうじん)になった。

驚くほどに鋭い爪刃は指から膝くらいまでの長さがあった

「ルイス師匠より指名された。BUG、前の借りは返すよ…銃弾でね!起きろ『レベッカ』!」

ルイエスが武器の名を呼んだ。女性名をしたハンドガンタイプの拳銃、装弾数は多くないが軽量で立ち回るルイエスの武器

「やっと来たか、うちの執事の代わりに来たのなら私を護れ、命を賭けて!」

マリアが笑い、チェーンソーの重い一撃がダーレンスレイブを弾き飛ばした。鋭い轟音が鼓膜を押す

「性格悪いよ?直したら?」

マリアが笑いながら言う

「貴様もだ」吹っ飛ばされたヘルは空中で足場を作り立て直した。小さめの魔法陣に足をのせて追撃してきたマリアに三本の雷を放つ

三つの雷は分岐し分岐し、無数に枝分かれして範囲を防御する壁になる。

「嘗めるな!」

鋭く叩き割り、マリアはヘルに体当たりする。が…手応えがない。ヘルの姿が霞のように消えたのを見て何らかの防御をされたのだと理解する

―『湾曲する因果』

背後に現れた剣がマリアの胸を裏側から貫いた。

―呆気ない…?

ガシリ、とマリアの手がダーレンスレイブを掴んで血を滴らせる。かなり強く掴んでいて指に深く刃が食い込んだ

「メリアル!」

祈れ、解放はそう聞こえた。

「『水晶の大鎌』!」

白い飾り布を振り乱し、美しい鎌が空を刈り取る。物理と魔法を組み合わせたのかヘルもその技を完全に受け止めるのに失敗した

薄く皮を引っ掻いた程度の傷だがそれに激しく動揺する

―隔壁を越えた?…馬鹿な

「鎌符…」

メリアルは何かを思い出すように軽く目を閉じて、笑う。小さな吐息のような笑いの後に真剣な眼差しを向けた

「『儚夜の裂傷(ほうやのれっしょう)』!」

鋭い一閃がマリアの頭上すれすれを通りヘルを捉える。今度は隔壁で守られたBUGは手にした剣を振るい……剣が抜けない

「かつて、聖女はいかな拷問にも口を割らなかった者が選考の対象となったらしいじゃない。ならば私も『表の名』に恥じぬようにしないとな、あぁ痛い」

血塗れどころじゃない指で剣を押さえつけたマリアは余裕の表情で一層力強く握りしめる。刃が食い込む嫌な音に見ていた人間はやや後退する

「ほら、いつまで休んでる。神の幻よ」

マリアは告げる。とどめを、と

クロアは剣を取り、立ち上がる。手にした剣は一本、神影化を続けているせいで頭が正常に動いていない感じがする…

知識が溢れて脳内を掻き乱す

自分が誰でどこがオーディスタなのかわからなくなる曖昧な境界線に吐き気を覚えつつ自分の半身を呼んだ

「…来るよ」

壁がまた揺れた。

まるで物凄い力をぶつけているかのように何度も揺れていた。

「…遅いわね」

「仕方ないわよマリア…」

バキッ、と壁の穴付近が軋む。いや割れる

援軍、最後の援軍が二人現れる。その二人は良く知った人物達で…

「イギリス支部上位ランカー『リゼ』、Ms.御簾の召喚に応じ参じました。ご主人様供、ご命令を」

なんか一文字多い自己紹介の後にもう一人が名乗る。もしかしたらクロアが一番待ち望んでいた人物かもしれないソイツは…

「ガルド参上!ったく、俺抜きで終盤かこの野郎」

青竜刀を手にした友人が『白蛇』を引き連れて飛び込んできた…。二人の目が合う

(乗れ)

そう伝えられた気がした。

クロアは剣を手に小さく頷いた

ニヤリと笑うガルトは自身の所有するモンスターを操作する

「走れ!白蛇!」

体長4m、胴の太さは160cmを超える巨体が物凄い速さでクロアを跳ね上げる!

頭に着地した少年は懐かしげに白蛇を撫でる…。昔はコイツに守られてばかりだったなと回想しつつクロアは黒い剣を構える

―『天より舞い散る流星は…ぐっ』

ヘルの詠唱は喉を掴まれて不自然に途切れる。ギリギリと小さな手で締め上げるマリアのなんたる恐ろしさ!

手にした武器は何もなく、彼女の盤面は詰みの様相を見せる

「終わらせろ!黒陽!」

鋭い光が剣を包んだ―まさか、これを使わなくてはならないとは…人間ごときと侮った私の失敗か

ジジジ…と剣が『ブレイク』された

―『虚を繋ぐ崩滅の光(バニティ・ブレイク)

天空を飛んでいた星が配列を変えて部屋中に移動する。そしてピタリと動きを止めて…光を放った

「気をつけて、それは『ブレイク』よりキツいよ!当たれば無事にすまない!」

内包存在が叫び、閉じた壁の穴を放棄して走り出す

二人は元の姿に戻り、迫り来る光に照準を合わせる。

「『データ・ブレイク』!」

無数の光が合わせた照準(サイト)に捉えた光を極太の極彩光が迎撃する

次に飛来した光を避け、次はステップで避け、その次は強引に下を抜ける。どうも先に進むのは辛い…だが進まねばいけない

シュー…と白蛇が舌を出す。不安なのか、クロア…いやオーディスタが撫でると鳴きやんだ

「広域隔壁、スタンバイ」

小さく周囲の座標を設定、広域防御を行う。範囲は味方全員を庇う程度、展開!虹色の光が走り広大な部屋にやや平べったいドーム状の防壁が生まれる。色は一瞬にして半透明になり、細い光を跳ね返した

「オーディスタ、よくやった。が…」

長くは持たないぞと無言で告げられる。

「建て直す。ワルキュレア、追加防壁を」

「無理だ」

あっさりと『勝利』の女神は答える。不機嫌になったオーディスタを見てうろたえるようにしてから、

「私は…そんな器用な術は使えない…。魔術師たるオーディンの影だからお前は出来るだけだ!」

偉そうに威張れない事を呟いた。

流石の女神も苦手分野か…とオーディスタは知識に追加しておく。また知らないことが一つ消えた。自然に笑みが浮かぶのに気付いて無表情を取り繕って誤魔化す

「なら…リゼ!防壁くらい…」

「Sorry、Mr.クロア。私は召喚師なのでお役にたてません…攻撃ならば防壁ごと粉砕…ケホン、破壊できますが」

オーディスタは軽い目眩を覚える

頼りにしていたメンバーがことごとく使用不可だとは…知識を検索しきれなかった自分を悔やむ

―時間稼ぎは終わったか?

『アルカナフォーチュン』の『ホイールオブフォーチュン』を展開して彼女は呟く。どうやら盾など無意味と教えるためにわざわざ黄金銃を使う気らしい

カチリ、と引き金に指がかけられた。

「『リビングフェアリー』」

ピタリと動きが止まったヘルの後ろから意外と大きな幻想生物が顔を覗かせて魔力が渦巻く球体をヘルの頭スレスレに押しつける…

「αθχ?」

「やりなさい!」

空中で炸裂する。

―くっ…流石は人間最高峰のパワープレイヤーか、重いな

「λθχλ!」

周囲に散らばる破片が再び弾け、辺りが煙に包まれる…。どうやらその煙は只の煙ではないようでヘルは一瞬だが様子を見る

「さぁ、いでよ!『ナイト・ドールズ』」

カチリ、と引き金に指がかけられた。

「『リビングフェアリー』」

ピタリと動きが止まったヘルの後ろから意外と大きな幻想生物が顔を覗かせて魔力が渦巻く球体をヘルの頭スレスレに押しつける…

「αθχ?」

「やりなさい!」

空中で炸裂する。

―くっ…流石は人間最高峰のパワープレイヤーか、重いな

「λθχλ!」

周囲に散らばる破片が再び弾け、辺りが煙に包まれる…。どうやらその煙は只の煙ではないようでヘルは一瞬だが様子を見る

「さぁ、いでよ!『ナイト・ドールズ』」

空間に突如として現れた小型の魔法陣が複数個展開して中から黒衣の人形が現れる。目の部分は騎士甲冑のような仮面でおおわれていて長い金糸が流れるように動きに合わせて揺れた

手にした武器は槍と剣で半々といったところ。黒と銀に覆われた人形は一斉に飛びかかる

―『緋色に染める呪殺剣(ダーレンスレイブ)

カシャン、と持ち変えられた剣が音を立てる。灰暗色の光が剣から噴き上がり膨大な魔力を撒き散らす!

巨大な斬撃は全ての人形を飲み込み、砕く。塵になるまで砕いてようやく人形は残された粉末を形見代わりに落としていく

「次!」

マリアが素早く目を走らせる

「舞い踊れ『ヘヴンズニール』!私を…空へ!」

バサリと羽が広がり、巨大な鳥を思わせる素早さで空へ舞い上がる…。槍を用いた高速攻撃でも一人ではヘルの隔壁・呪殺剣・黄金銃を越えられないだろう…

「行くぞ『クロア』。もう少しだけ神影化を解くなよ」

(はいはい、任せといて)

剣を手に跳び上がる。床を砕いて無理矢理天空の神々の元へ飛翔した

足場を作り、着地する

―来たか、私の愚かな子らよ

槍と剣を握る二人の手に力が入る。敵は強く、自分達だけでは勝てないかもしれない。だがそれ以外に戦いに勝てるものもなく、二人はただ静観して敵を見る

―なるほど、もはや情を捨てたか…。実に人間らしい………愚考を!

足元に巨大な魔法陣が広がったのを見て二人の神影は退避する―『アルカナフォーチュン』

キャラクターカードが捲られてホイールオブフォーチュンの効果が消えた。次の効果は

―『ハングドマン』

両足に魔法陣から伸びた雷が粘着質に絡み付いた。

思わずその場に倒れこんでしまい鼻を打つ

「っ…セコイなおい!」

剣で絡み付いた雷を破壊する。神剣となっているこの剣は概念を破壊することができる

「ワルキュレア!無事か?」

白い羽が舞い散るので彼女の無事を確認する…と頭上を素早い光がいくつも飛んでいく

足枷の雷が、星の光が滅茶苦茶に交錯して飛び続けるワルキュレアを撃墜せしめんと猛っていた

「リゼ!援護頼む」

「承りました。保護対象設定、捕捉」

メイドが三小節の呪文を唱えてから手を掲げる…。先程リゼが作った魔法陣を少しだけ大きくした六芳星の模様が浮かび上がり、中から今度は盾を持った人形が飛び出してくる

「耐えて…私の騎士人形!」

キッと睨み付けるような眼光を人形が放ったかと思うと構えた盾と共に光が交差する中に飛び込んだ!リゼの人形達は小さな体で上手く盾を使い、直撃しないように攻撃の軌道を反らす。

数発弾いた時にはほぼ全体の盾にひびや損傷が目立っていた。やはり人形程度では神の影には太刀打ちできないのかとワルキュレアは後ろに残す形になった人形達を哀れむ

「リビングフェアリー、補強を!」

コクン、と妖精が頷いて、何かを呟いた

[Reinforce]

盾に文字が浮かび上がり、壊れかけた盾に堅牢な防御が上乗せされた!削れた表面は修繕されて再び滑らかな光沢の銀に光を反射する

「やるな、お前」

楼騎の感想にリゼは柔らかく微笑んだ


「やれやれ、僕らは僕らで動くよ」

付き合ってられないとばかりの大げさな仕草でルイエスはお供を引き連れて歩き出す

「待ちなさい」

裏人格のマリアが鋭く呼び止める

「あなたなんかここから出たらすぐに死ぬわよ?」

白い衣服に身を包んだ少年は鼻で笑う

明らかに不機嫌になったマリアをメリアルがなだめて暴れないようにする

「ふん、僕が死ぬ?そんなわけ無いだろ…。このルイス師匠の教えがあればどんな戦場だろうと遊技場に変わりないのさ!」

チッ、と舌打ちが聞こえた。

「ルイスの所有者このマリア・フィオーレにたかだか押し掛け弟子風情が…」

「マリアちゃんストップ!あなたが暴れたら全滅だからー」

ルイエスは興味ないと言いたげに武器を空に向ける。狙いはヘル。引き金を引いたオーディスタは風切り音に素早く反応して左にずれて飛んできた弾丸を避ける。下から複数個矢継ぎ早に弾丸が体を掠める

「貴様…俺を殺す気か?」

弾丸を再装填してルイエスが狙いを固定した。小さく舌打ちして、隔壁を強める

―仲間割れか?愚かな

ダーレンスレイブが振り上げられ、灰暗色の光が放たれ…

「主への暴言、聞き捨てなりません」

十の爪がヘルの喉元に触れる

―何?!

背後から抱かれるように突き出された十の爪はゆっくりと首筋に赤い線を刻む…。星を呼び光を放つ

「『ガーネットウォール』」

光が内部で複雑に屈折して本来の狙いとは違う場所へ飛んでいった。首筋に爪痕を刻まれた神がなるほどと頷いた

―透過と屈折率の盾か、厄介な

爪を素手で弾き、黄金銃を突きつける。ラムダの顔が危機を察知してひきつった

…と、黒い影が降ってきた

既に上空で停止していた神影よりも高い位置からその質量は叩きつけられた

白亜の大斧、あまりにも巨大な一撃は銃を砕き腕を外しヘルを地表にまで叩き堕とした!

小さなクレーター状の破壊痕を一つ作って着地したヘルが憎々しげに剣をとる

―人間が…『保護対象』が…図に乗るな!!

大斬撃を放つ。灰暗色の光は大気を引き千切り虚空に裂け目をいれて空中に止まる四人を襲う

「ワルキュレア!」

「はい!『二重隔壁』展開!」

左右から強靭な盾が光を遮断する。相克する二つの力が噛み砕こうと、守り抜こうと悲鳴を上げる

―っ…!

砕けない、そうヘルは直感した。

何故呪殺剣をもってしても砕けないのか、理解できない…。

ガチャン、と四方を金属が囲んだ

「残念だったな」

ガルドが白蛇と共に右辺を、

「チェックメイトだね、裏切り者」

ルイエスが左辺を、

「抵抗すれば首をいただます」

背後から鎌を伸ばしたメリアルが前面を、

「抵抗したいならいいわよ?ただ、良い声で鳴いてくれるなら、ね」

サディスティックプリンセスをメリアルの隣で頭の後ろにギリギリつかない場所で駆動させて背面を塞いだ。

―くっ…

空からは神影が攻撃体勢に、人間二人はそれに掴まるようにして浮いていた

―八方塞がり…か。武装解除

ダーレンスレイブが崩壊して空気に溶けるように消滅した。敵の武装解除をもって一応の停戦となる…―武装じゃなければ構わぬな?

オーディスタは空に輝く瞬きが膨大な数に増したのをみて愕然とした…。悪あがきの反撃が…これほどの…

―終焉『アルカナ・デス』

―亜式解放『天を覆う星々の断罪』

死神のタロットが浮かび上がり、星々に暗い影が降りる…。仄暗い明滅を繰り返す小さな光点は不気味に周囲を回遊し始めた

「抵抗しようというならば…良い声で鳴いてもらうわ!」

爆音響かせてチェーンソーが振り上げられる

とすっ、とマリアの体を光が抜けていった。マリア自身気付かないような一撃だったがそれはとてつもない激痛を伴って彼女を内側から蝕み始めた

普段、滅多な事では上げない悲鳴がマリアの叫びが広大な空間を揺さぶった!

「マリアちゃん!」

「来る…なぁ!」

痛みをねじ伏せるようにマリアは武器を振るう。ヘルの頭蓋を一撃で砕いて…終わらせなくては

―良い悲鳴、か。人間が優位に立つと放つ言葉の一つ、使用頻度3%

少し思案した顔で付け足す

―未満、でしたね

空が一際激しく輝きまるで光だけの天井を見ているように錯覚してしまう。まぶしくてマリアは目を閉じる

仮にも『吸血鬼』に光は大敵なのだ。灰になることはないが目が眩んで小さくよろめいた

「くっ…なんて…無様な!」

片目を手で隠して光を遮り、半分だけの視界を確保した

―『天を覆う星々の断罪』

目映い光の中に更に光を放つ物体が放たれた。『ブレイク』の力を持った破壊の星の光…歯を食い縛って武器の回転駆動を全開に変更、片手でぶれる刀身を人外の握力で従える

「『嗜虐的な姫君サディスティックプリンセス』!!」

全身を貫く光にあらがうように彼女は絶叫してその駆動部分を叩きつけた!

―『|貫かれぬ七日七晩の胸飾り《ブリージング》』「ごめん…マリア…私…」

三千三百もの光に貫かれたマリア・フィオーレは金の粒子に変わって退場する。主を失った武器がクマのぬいぐるみに戻って床に落ちた

「マリア…ちゃん…」

メリアルは鎌を振り上げた!

「よくも、あの娘を!!」

美しい鎌が不気味に輝いていた。

「待て!ヘルは!」

オーディスタが叫んだが、間に合わない

「『フレイの自走剣』」

操り手もいないのに剣が現れ、鋭い線を三つ描いた。

「そんな…、一撃で…」

バラバラと崩れた水晶の鎌の残骸に気をとられたメリアルを素早く逆袈裟に自走剣が引き裂いた。

主力二人を早々に潰したヘルは次にガルトを攻撃対象にする。

「ワルキュレア、頼む!」

ゾルアを投げて地表に飛び降りる。手にした混沌幻影を自走剣にぶつけ…

背中から光が射抜いた。痛みが走り、肺の空気が僅かに口から漏れた

「これくら…い゛!」

変な濁音をつけてオーディスタは傷口を押さえて倒れる。頭の中がひび割れるような痛みが走り抜けた

ピシッと全身が細かく割れて裏返るようにして蒼碧のコートのクロアに戻ってしまった。神影化が強制解除をうけたのだ

「ぐっ…あ…ブレイク…か」

頭の中がぐるぐると回転しているようだ。思考が無駄に広がり収束し展開し圧縮し無駄に無駄に連鎖する

神影の時にブレイクされるとこうなるんだったな…と掻き回された思考の中で思った

青竜刀と自走剣が激しくぶつかり火花が散った

「不気味だな、おい!」

水を纏った剣が上段から斬りかかる剣を払った。ぐるんと向きを変えて自走剣はガルドの右肩に食い込んだ

「動かないでよ、クロア君」

三連射の閃光が剣の(みね)を正確に穿いて刀身の根本にひびを入れた…。

「染まれ『ルージュ・アン』」

紅いレイピアが止めだと言わんばかりにそのひびの中央を貫通した。見事に割れた自走剣は金の粒子に変わって消滅した

ガルトは貫かれた右肩の剣の残りが消滅すると傷口を押さえながらだが構えた。

「…ねぇ、クロア君」

「なんだよ、ガキ」

二人は広かった距離をゆっくりと詰めながら会話していた

「ちょっと頼みたい事があるんだけど…いいかな?」

クロアは小さく笑う

「そうだな、俺も…ひとつだけな」

二人は笑い、突然真顔になって叫んだ

「僕の盾になって」

「俺の盾になれ」

空は光が飽和していた

ガルトは貫かれた右肩の剣の残りが消滅すると傷口を押さえながらだが構えた。

「…ねぇ、クロア君」

「なんだよ、ガキ」

二人は広かった距離をゆっくりと詰めながら会話していた

「ちょっと頼みたい事があるんだけど…いいかな?」

クロアは小さく笑う

「そうだな、俺も…ひとつだけな」

二人は笑い、突然真顔になって叫んだ

「僕の盾になって」

「俺の盾になれ」

光が飽和した空の下で二人は互いの襟を掴んで引き寄せる!

グイと絞まる首に窒息しかけて二人は衝突する。光が降り注いだ時は流石に死んだとお互いに呪いあった…「『フレイムアスピス』!」

轟熱が二人の頭上を覆い、光を跳ね返した。一瞬だけエアリアルが戻ったのかと思ったが声が別人だったのを思い出して少し気が沈んだ

…なんで気が沈んだのかはわからないが、なんとなく嫌な気分だ

「悪い、黒須に『石化』を解いてもらうのに手間取った」

紅蓮を引き連れて緋糸がやってくる…が、若干歩き方がおかしい。右足を引きずるような歩き方は奇妙で不自然だった

「普通の状態異常じゃなかったから…完治させられなかったの…」

手に複数の医薬品を持って黒須が走ってきた。どうやら治療はそれらを用いて行なったらしい…注射器は何に使ったのだろうか

「来るぞ、構えろ」

盾がみるみる削られて炎が次第に小さくなっていくのが手にとるようにわかった。クロアは装具を解放して名を呟く

「極限剣『矛盾交差』」

ルイエスは何故だか横目でそれを見ると新しい武器の名を呼んだ

「『ルーシー』」

手にしたのはまるで旧式のライフル銃。木製ストックに黒い砲身が映えるオールドスタイルの武器だ。弾は二十二口径、弾数は…三程度か、彼の手に握られたライフルは砕けそうな盾を越えて狙いを定めた

「………」

静かにトリガーに指をかけたルイエスは、くっ、と息を止めて引き金を引いた。

全く同時に砕けた盾の残骸はまるでルイエスを避けるように散り降り注ぐ光は従者の決死の分散化によりかすりもせずに地表に降り注いだ

唖然としたヘルの右頬を薄く弾丸がすりむいた。ブリージングの防御を無視した弾丸にワルキュレアが嫌悪を露にする

「『幻想破壊の弾丸』…!御母様がコイツを仲間にしようとしたのはこれだったの?!」

クロアの内側から声が聞こえた

(幻想破壊は僕らのような『特異概念』を多用するキャラクターに対して絶大な力を持っているんだ。使用可能条件は『一切の伝説、魔法を信じない事』信じた瞬間影響的に使用不能になるように御母様がシステムを書き換えてる)

クロアは内心あきれるようにため息をついた…。どっちもチートのようなものじゃないか

(人間の多様性って凄いよね…)

いや違うだろ、ツッコミを入れてから空を見上げる。赤い液体が一筋垂れた女がこちらを形容しがたい目で見ていた

驚き、嫌悪、憐れみ、冷淡な顔の裏側では複雑な感情がこみあげているのだろうヘルの目に戸惑いの影が降りる

―馬鹿な…あれだけの魔法を前に見せ、我々神影の神器を用いた戦いも信じていないのか?ルイエスは小さく鼻で笑った。ふん、と

それからさも当然そうに言った

「魔法?下らない…。僕は生憎とお父様に似ていてね、そんな話よりも心理学や経済学を聞いていたからね。妄想、幻覚の類いは信じないのさ」

愕然とヘルはルイエスを見つめた

―ならば、神は信じないのか?

それも下らないと一蹴する

「神は、僕以外なりえないでしょ?」

……………。

「す、清々しい程の自己陶酔ね」

―人間ごときが…なんと傲慢な

「ヘル、それには同意するな…。最初は違うが」

「空の羽美人さんよ、こいつの頭大丈夫なのか?」

「主…それは言い過ぎでは…」

「ラムダ、言わなくて良いことだ」

「Mr.ルイエス、あなたの敬称を破棄したいと思います。神よ、愚かなこの者に救済を…」

「まさか…フィオーレ人格のマリアを超える自信家とはな」

「緋糸…世界って広すぎよね」

三者三様に批難轟轟だが、ルイエスは微塵も反応せずに次の弾丸を発射可能にする

「いくよ、師匠の技と僕の才能の連携技…!」

ルイエスの銃がカチリと鳴った。

幻想破壊の弾丸が飛び出してヘルの眉間へと飛んでいく…

スッ…と手を掲げて彼女は魔法陣を展開する。いつかの蒼い雷撃の陣の小型版が小さな弾丸を攻撃対象にする

―無理か…。仕方ない

何故か止まり、雷撃を円環状に発生、複雑に絡み合った魔法の紋様の角から蛇のように細長い電流を内側むけて緩い弧を描くように射出する

弾丸が陣を貫き、対峙していたヘルが左手の手甲で受け流す。魔法の防御と強化、そしてあらゆる無効化の幻想を破壊して弾丸は物理防御に負ける

傷ついた手甲を見てヘルは嫌そうにリカバリーさせた。傷がみるみる修繕されて数秒も待たずに元通り黒い輝きを手にしていた。

―『天を覆う星々の断罪』

三度目の術式詠唱。彼女の夜天は終わりを知らないかのように無限の力を見せつける光が滑るように動き、停止する。クロアの足元に一つ止まり「ちっ」と舌打ちする間もなく光が放たれた

「シュー…」

と白蛇が舌を出してクロアを突き飛ばした。

光が大蛇を貫いて、金の粒子が舞い上がる…。前にも見た光景、何かが…何かが叫びをあげる。

「貴様ぁぁぁぁぁ!」

自分の声とは思えない絶叫。喉がちぎれるんじゃないかと錯覚するほどの叫びにヘルが興味を持ったように見つめてきた

―怒り、か。人間の感情の大半であり…人間の悲劇の生みの親…だな

床を蹴り、手にした矛盾交差を背後に持って走る。走る。走る!

「模倣槍技『刺し貫く一糸の光』!」

白い刃を槍に見立てて投げつける

―そのような劣化品、効かぬ

隔壁とブリージングに阻まれて模倣槍は空中で静止する…ガシリと隔壁が揺れて彼女は意外そうに槍を見つめる

「『神砕く人の槍』」

ジリッ…とまるで焼けるような音がして隔壁が軋む。何?と不審な目を向けて…気付く

見立てた槍が防壁を少しずつ透過していくのを…!槍が確実に力を増しているのを!その槍を掴む人間の姿を!

―クロア…お前も『幻想破壊』の能力者だったか!

初めて、ヘルが忌々しいという表情を見せた。ジリッと焼くようだった槍は今はバターに突き立てる熱いナイフのように易々と侵食してきている…いや、また加速するように穴を広げて槍が近づいてきている

「幻想破壊?ルイエスと同じとか言うなよ…。傷つくぜ?」

―ふん、目が笑ってないぞ。神影の身で自身を否定するとはなんと愚かな!

手甲を振り上げ、狙いを定める。魔防印章最大、物理神話問わず無効の領域に至る

―打ち返せ『神の手甲(ゴッド・ハンド)

ガツン、パリン。

呆気なく砕けて破片が舞い散る…。クロアもヘルもお互いにあまり予想していない結末だったからかもしれない

砕けた黒い手甲は床に散乱し、槍となった両剣が彼女の腕まで一撃で貫いた。ぽたりぽたりと流れる血があまりにも痛々しかった「条件問わず無効。俺の…武器の能力だ」

流れ出る血を見つめてヘルは小さく項垂れる…。星の煌めきが消えて完全に戦意を失ったようだ

―確かに。我が身が示した通りクロア…あなたの武器は『幻想破壊の剣』。…私が、お前に否定されようとはな

内側から声が響いた。

(御母様、これが…彼の本当の力。『矛盾』の先の『真理』。深淵の見届かぬ先の記憶のカケラです)

なるほど、と呟いて彼女は膝をついた

―矛盾…か。

深いため息と共に天に舞うワルキュレアを見やる

―ワルキュレア、お前は…私を見捨てるか?

少女は降り立ち、羽を閉じる。酷使した翼は乱れていたがその気品は微塵も失われてはいなかった

「…ワルキュレア、か」

パリン、と細かく割れるようにして少女は二人の姿に戻る。再生された二人は静かに目を閉じる

「私は…アレイアは…クロアと共に生きたいです。BUGでも、ちゃんと接してくれる…人の隣に」

熱い視線がウザイ

「私は…お姉様の隣にいます。あの時の償いのために、御母様…お許しを」

神だった母親はそうか、と呟いて項垂れた。二人が手元から離れたのだから戦力的に辛いのか?

クロアは武器の力を弱める

―下がれ!

頭を掠める銃弾に、クロアは忘れかけていた人物を思い出し…

「空気読めよ、坊っちゃんよ」

「ルイエス、評価Downです。じちょーなさいな」

リゼの日本語が怪しくなってきた…

「なんだっ!このっ!はなせ!」

暴れるルイエスを従者が掴まえて、ログアウトした。場に静寂が降りてきて神影たちは少しだけ間を開けてから会話を再開する

「聞きたい。お前は何だ?神影って何なんだ?」

ヘルは呟く

―私は…この『ヴァルハラ・メインコンピューター』の搭載AI、自律監視システムの中核

自律監視システム?とクロアがアレイアに聞いた

「完全自動型の人工知能…。ようは機械の監視人よ」

なるほど、と頷いて神影について聞いた

「神影ってなんだ?」

―字のごとく。だな。

―私が作ったAI『神』のプロトタイプの断片を内包したプログラムを『神影』と呼称する

…再び見つめる

「御母様の試作プログラムの一部を組み込んだものを神影って言うんだって」

なるほど、意味が分からない

―私は…監視システムとして戦闘を見続けてきた。

―そして、気付いたのだ。人間の愚かさを

ヘルの言葉は頭に響いて、何故だか流れるように再生を始めた。セピア色の記憶の回想の渦にクロアは足をとられたように飲み込まれていった…

――――

あとがく

――――


あとがいた白燕です。こんにちは

終わらない最終回とも感じるアヴィス・メモリアル。いかがでしたか?僕はもっと作り込めたと思いますorz


さてさて、実はこの前のお話には裏パートにあたるものが『au one GREE』に投稿されています。現実世界の嶺の小さな物語、旧作コラボでもありますが(^^;

本当は、この回で使う予定でした。だけど脳内のクロアが

「ふざけんな、バカドリ」

…と、言って下さりやがったので最強のチートカードとなる予定だった『無限の青剣』はお流れに

はぁ…。と、思った矢先に

「なら、僕を出すといいじゃないか」

キラキラと輝いたルイエスが現れたので、即決。出番ができたな。と内心笑いながら(善良な笑顔ですよ?)彼を登場させ…


最後は……反省しています

もうちょい作りこもう、と課題ができました(^^;


それでは次のお話でお会いしましょう!また~( ̄▽ ̄)ノシ



―――――

エア「こんな片隅でもやるわよ!脱落者の宴を!」


嶺「主役続投のため代理で僕らも参加」


瀬名「エア、サクサク行こうー」


御簾「そうね。枠もないし」


エア「ズバリ、皆さん…なんで来たの?」


嶺「ズバッと来たなぁ…」


エア「援軍にしては来すぎよね?」


瀬名「簡単よ、ねぇ御簾?」


御簾「そうね。」


エア「なんとっ」


瀬名「私たちのス…おっとっと」


御簾「物が…危ない危ない」


エア「寸止め?!これが…最上級ランカーの実力かっ!」


嶺「いや、関係無いし。思いっきり言ってるし」


瀬名「瀬名パンチ」


嶺「にゃんとっ?!」


クリティカル!


御簾「はいはい、退場退場っと」


エア「ズルズル引きずられてますね、あなたたちのリーダー…」


瀬名「あぁ、いつもの事よ」


ノピア「な…なんてハレンチな」


エア「あっ」


瀬名「生意気なちびっこだ」

御簾「生意気なちびっこね」


ノピア「な…なにをー!」


ヨロワ「(エンドコールして!!)」


瀬名「あっ、カンペ」


エア「それでは、また次のあとがきでお会いしましょう!またねー」


瀬名「またねー♪」




御簾「…(次もなにも、予定そのものが予定帳に無いんだけど…ね)」


瀬名「なんですとー!」


御簾「心を読むなっ!」


瀬名「にゃふん!マイクで殴らないで、痛いからっ!…なんちゃって瀬名パンチ」


御簾「クロスカウンター」


瀬名「にゃふん」

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