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第二十五章 『氷炎』の昔話

ゲームファンタジー!


こんにちは、電池が残り二つ、パソコンがウィルス(と僕の手)によりご臨終された白燕です。くそぅ


今回のお話は結構迷いました…。タイトルにもあるように昔話が主体、しかも『氷炎』。やるべきか否かは最後まで決めかねていましたが…書き上げました。


何故か昔話は楽しい(・ω・)

こう…キャラに厚みが増すというか、知られざる秘密がっ!みたいなのが好きなのかもしれない…自覚はないんですが(^^;

夏休み、しかもお盆が入ったので書く時間が少なかったので遅くなりましたが…これでちょこっとでも楽しんでもらえたら嬉しいです



それでは、本編へどうぞ〜

* ̄0 ̄)ノ



6年間使ったPC、壊れたのは凹むなぁ…(T_T)

クロアはエントランスのソファーに寝転がっていた。

夜遅い時間で軽い眠気が沸いてはいるが眠ろうとは思わない。こうしているあいだにもアレイアの身に何か起きているかもしれないのだ。休んでなどいられない

―だが

ふと思う。俺に助けられるのか、と

さっきもメインコンピューターにログインする事は出来た。だがその後は失敗と失態以外の何物でもない…。クロアはかなり高いガラスから見下ろす自分を見つめる。

「俺は、何にも出来ないな…。もう少しくらいは何かできる奴だと思ってたがな…」

返事はない

「そっかなぁ…私は頑張ってると思うよ?クロア」

コツン、と頭の上に冷たいものが乗せられて思わず飛び起きる

「びっくり…、いつも通り『あぁ…』とかで終わると思ったのに」

エアリアルが隣にあった椅子に腰掛けながら缶ジュースを一口含む。

「いつの間に来た?!」

「ちょうど新人クンがセンチメンタルになっちゃったあたりからかなぁ〜」

オレンジジュースと書かれた缶を何回か回して中身を撹拌(かくはん)させながら彼女はクロアに笑いかける。

はい、と渡された缶を受け取る

「私だって昔はそんなだったわよ…。どんなに頑張っても勝てないし、何度も失敗して恥ずかしい思いもしたし、『氷炎』なんて今考えたら恥ずかしい通り名もあったし…今思えば、いい……やっぱハズイ思い出よぅ」

カタン、と椅子に缶が触れる。クロアは葡萄味の炭酸飲料に口をつけながら『氷炎』…と呟く

「なぁ…『氷炎』って何のことだ?説明なしでお前らみんなその話をしてるだろ?」

エアリアルは目を丸めると、そういえばそうねぇ、と頷く。

「仕方ない…新人クンの頼みとあればっ!」

「いや、頼んでねぇし」

「話してあげるわ」

「話すのか…」昔々…といっても2年前だからね!

私が『ヴァルハラ』を始めたばっかりの頃、すごい腕前のプレイヤーが上位を独占していたの。

―――――

1st嶺

2nd瀬名

3rd御簾

4th緋糸

5th黒須

―――――

上位五人はなんと同じ同盟を組んでいた仲間でね、6位のランカーとの勝率差はなんと20%…。当時も今も化物みたいな強さは有名でね、彼らを敵は『死神』とか味方は『天界の守護者』とか…その時々で呼び分けてたの。

今思えば勝手なことだけど彼らも気にしないで日々遊んでたわ…。そしてある日、御簾さんと同じ試合に出たの。その時私はまだ弱っちだったんだけどね、あの人は私の目の前で他の参加者を全滅させてこう言ったの。

「立ち振る舞いは悪くない。けど、まだ一手一手の詰めが甘い…。」

彼女の手には氷の剣、私の手には三枚の初級呪符…彼女はいつでも私を殺せた。それでも彼女は立ったまま私を見つめていた。

「…あなたは、人を殺す覚悟があるの?」ゆっくりと喉元に突きつけられた剣は冷たかった。冷徹な冷たさ、凍てつくような冷静さ、それら全部が私との違いだと気付いたとき愕然としたわ…。

私が叫んで呪符を放つと彼女は鋭く私の心臓を貫いて言ったの

「また戦いましょう。その時は全力で殺しに来なさい?」

あれは鮮烈な思い出だったわ…エアリアルは一旦話を区切り、オレンジジュースを一口飲む。

「…で、『氷炎』は?」

「まぁ待ちなさい、これからよ」

エアリアルは、ふぅ…と一息ついてもう一度話を始めた。今度はその後の話…冷徹な強さに惹かれた私はその後変わったわ。

どんな時も意識を乱さず、感情を消して相手を仕止める…。最初は只の剣だった私の武器が『フランメリーゼ』に変わったのはその頃

私のランクは徐々に上がっていき、ようやく中級ランカーの最上位になったの。そしたらね、御簾さんにあったのよ

「『氷炎』エアリアル。昔はもっとかわいい眼をしてたのにね」

よっぽど冷たかったのかしらね?私は言い返したの

「私はあなたの強さに惹かれました。昔より強くなっています。言われた通りに覚悟を手にして」

「馬鹿ね、あなたが手にしたのは覚悟じゃない。思考を止めた逃げ道よ」

軽くあしらわれた私はね、彼女に挑んだの。1vs1の戦いをね

「そんなに言うならば私と戦って下さい。今の私ならばあなたとも戦えます」

彼女は笑って言ったわ

「馬鹿ね…そんな勝負やる必要はないわ。それは私たちのランクがものがってるわ」

「逃げるんですか?ランク3位のあなたが、ランク51位の私を相手に」

御簾さんは今度は無表情になったわ…。そして

「いいわ。管理者に言って次の試合の前にエキシビジョン扱いで入れてもらうわ。私とあなた、『氷の御簾』と『氷炎』の戦いをね」

「えぇ、必ず勝ちますから」

私は一人で会場に向かったわ…ズズズ…とクロアは炭酸の抜け始めた飲み物を飲み込む。

「ほぅ…お前の冷たい時期か」

「そうよぅ…。まっ今考えれば信じられないけど、たぶんそれは御簾さんのお陰」

エアリアルは缶を振って中身がないことに気付くとゴミ箱向けて投擲した。

カンッ!と弾かれた缶が床に転がり、やっぱ無理かぁ…と苦笑いしながら彼女は拾いに行く。ゴミ箱に押し込んで隣の自販機からさらに一本購入して彼女は椅子に座って封を開ける

「えっと…確か私と御簾さんの戦いの所からよね?」

エアリアルは話の続きを始めた。会場で私たちは顔を合わせたの。

「今日は乱入の特別試合だっ!御簾(上級ランカー)が指名したのは『氷炎』!凍てつく乙女の戦いだぁっ!」

いつも通り司会が盛り上げたけど、会場は静まりかえっていた…。私の、無表情で敵を殺すってのが広まりきっていたから…私は悪役以外何者でもなかったわね

私たちは共にログイン、街中エリアで武器を構えたわ。

「貫け『フランメリーゼ』。」

「氷原の雪乗華、『白華』」

その解放だけでエリアの半分が凍り付いたわ。

「行くわよ。その強さに自信があるなら…せいぜい足掻いて見せなさい?」

「その言葉、返す!」

氷剣の名を持つ剣に炎熱の剣は優位に立てる。私は一撃で彼女の喉に剣を突きたてた。…と思ったんだけど

「『雪原の亡霊ブリザード・ファントム』」

剣が御簾さんを突き抜けて何もない場所を穿ったの

「言ったわよね?一手一手の詰めが甘い…って。本当の氷はこんな火で溶けたりはしない。理解できて?」

「くっ…!」

ようやく背後に回り込まれたのを理解して私は剣で払った。素早く、鋭く

「…緋糸に弟子入りでもしたら?」

「誰が」

ピン、と服が張ったのよ

「何?」

振り返ると何て事はない氷の破片が引っ掛かっていただけ。でも彼女はほらねと言った

「だから甘いのよ」

彼女が振るった剣は凄かった。

たった一回の攻撃。しかも私には触れていない斬撃がエリアのもう半分を一瞬で凍らせてしまったの

もちろん私は氷漬け、しかも誰も助けてくれない1vs1…。私は絶望したわ。こんなにも弱かった力と悠然と佇む彼女の姿、凍り付けども凍らない悔しさが私をさいなんだ。

「わかったかしら?」

彼女は振り返りながらそう言った。そして

「…今度は私を本気で殺しに来なさい。そうでないとまた凍らせてあげるから」

パキン、と私の世界が砕けた…。氷の破片と金の粒子が見えて、私は負けた。

「っと…言うわけよ。私の始まりから今までのお話、一回200円〜」

「有料かよ」

素早くツッコミを入れる。もっとも薄々予想はしていたのだが…

「飲み物代だ」

銀色の硬貨を投げ渡す。驚きの表情で受け取ったエアリアルはありがと、と笑う。

「…そーいえばあの時は妙なネタが噂されてたわねぇ…。確か最上級ランカーは武器がもらえる、とかなんとか。何であんな噂がたったのかしらね?」

「知るか」

クロアは立ち上がり、ゴミ箱に空き缶を放り投げる。

カロン、と滑り込んだ缶はゴミ箱の中の先客達とぶつかって音をたてた

「G達を手伝ってくる。お前はそこで寝てろ」

「そう?…って寝れないわよ。乙女として!恋する子としてっ!」

バタン。と無情に扉が閉じられてしまった…。エアリアルは一瞬泣きたくなったがなんとかこらえる

「瀬名さん…あなたの苦労がわかります…」

一筋だけこらえきれなかった涙が頬を伝ったクロアは扉を閉めて試合会場を横切って舞台裏のスタッフ用の扉を開ける。その先は薄い緑がかった廊下、クロアは先に進む。

いくつかの扉を抜けた先に中央管理室への大きな扉へたどり着く。内部からは何人もの人の声が響いていた。

『クロア』のキャラクターカードを端末に差し込んで扉のロックを解除、奥へ開いていく扉について行くようにして広大な空間に足を踏み入れる。

中央に巨大な機械が聳える中央管理室は今はかなり騒がしかった。

「D、復旧は?」

中央まで歩いていき、クロアはメインコンピューターを操作しているDに声をかける。彼は画面に表示されているキーボードを叩きながらそうだな…と考え込む仕草をする。

「誰かさんがエラーを起こした部分と、そこに付随したプロテクトの解除が70%。ついでにエラー時の仕様変更が50%ってところだね…ヘラヘラ」

だが、笑い声にもいつものような覇気がない。現在の時刻は…午前三時。瀬名と出会ってからまだ十時間とたっていないことに驚きつつ、また非常に長いこの一日に軽い目眩を覚える「長いな、今日は」

「そうだね、君が余計なことをしなければ…全部カタがついてたかもよ?ヘラヘラ」

クロアは振り返り、部屋を眺める。

白衣を羽織った管理者達は主に画面の前で端末を操作しており、何人かは書類や本なんかを持って走り回っていた。

緑の制服の職員は数人がまばらにいるだけであまり復旧作業に参加している様子はない。管理者達の働きと比べると随分と差があるようにも思えるが、普段は逆なのだろうとクロアは思う。

「D、手伝えることはあるか?」

キーボードを打つ音が止まる。

そのまま数秒硬直したDはゆっくりと振り返り、言った。

「ないよ。」

即答された

「即答かよ…。まぁいいが」

軽くやる気を失いかけたがクロアは仕方がない、と軽く頭を振って眠気を払う。徐々に夜が更けてきたからか体が気だるさに飲まれていく…。

もう一度頭を振ってクロアは目を覚ます。

「なぁ、一つ聞いてもいいか?」

「なんだい?」

カタカタとキーボード…と言うべきなのかイマイチ判断に困るものを叩きながらこちらも向かずにDはクロアに返答する

「『氷炎』って言われてたんだな…。アイツ」

「…聞いたのか。」

「あぁ」

ふぅ…とため息をつきながら彼は少しだけ手を休める。

「見えないだろ?今はちゃんと笑えてるからな」

「…あぁ。それに、なんだろうな?

妙になつっこい気がする。誰にでもあんな風なんて俺には一生出来ないな」

Dはジッとクロアを見つめる

「…何だよ?」

いや、そう言って彼は再び作業を再開する。カタカタと響く音の切れ間に

「鈍感」とか

「鈍いな」とか聞こえた気がした。

クロアは目の前の男に気にかけつつ巨大な機械を見上げる

天井まではゆうに十メートル以上あるだろう空間にまるで柱のようなその姿には威圧される

「なら、私も少しだけ昔話といこうか。『氷炎』のその後だ」

彼はキーボードを叩きながら語り始めたまぁ…、一年と少し前の話だな。

私はエアリアルがBUGと対峙した時に彼女と出会ったのだが、とりあえず妙な感じだったよ。

どこか遠くを見ていたんだ。別に『ブレイク』を受けたわけではない、違う理由…。

彼女と何度か話してね、ようやく理由がわかったんだ。

『天界の守護者』、最上級ランカー達の一斉脱退。それがあまりにもショックだったらしくてね、軽く人間不信になりかけていたんだ。

まだあまり話す人もいなくて…と言うよりまだ彼女にキルされた人達は怖がって近寄らなかったんだ。まったく難儀な話だよ

…そして、三回目のBUG遭遇の時、彼女は二人に出会った。

『マリア・フィオーレ』と『メリアル』。この二人は一般プレイヤーだったがBUGと戦うエアリアルに加勢して驚くべき事にBUGを倒してしまったんだ…当然、我々は彼女達にコンタクトを取ったが…拒否されてしまったよ…。ヘラヘラ

そしてその時、彼女達は言ったんだよ

「やっぱり、御簾の言う通りの子ね」

「…メリアル、さん。あんまりそう言わない方が」

エアリアルはメリアルに掴みかかるようにして聞いた

「御簾さん?!知ってるの?!」

メリアルは腕もはらわずに言った。

「えぇ。まだ危なっかしい子がいるから面倒を見てあげて…って。」

「…」

そのままその場に座った時の顔は未だに忘れられないな…。藁にすがり、藁を掴んだ顔だったね、あれは。

「ソロプレイもいいけど、たまには仲間と一緒に戦ってみなさい。状況判断・選択肢の取捨選択、今とは全然違うスタイルになるけれど強くなるわよ?クスクス…」

「メリアル…悪い顔ですね」

呆然としていたエアリアルにマリアは手をさしのべる

「…私達でよければ一緒にやりましょう。きっと楽しいですよ?」

エアリアルは戸惑いつつもその小さな手をとった…。カタカタカタカタ…とキーボードを叩く音がクロアの耳に響く

「…メリアルとマリアか…。どうりであいつら強かった訳だ」

あの鎌とチェーンソーの二人組は忘れたくとも忘れられそうもないほどに強烈な強さをもっていた。ガルトとの協力がなければ…考えるだけでも恐ろしい

「ヘラヘラ、あの二人は元10、9位のランカーだからね。今はランクに興味はないみたいだけど」

「本当、あの強さでランクに入らない方が逆に難しいわよねぇ…」

背後からエアリアルが現れた。

Dはそうだね、と実に微妙な相づちをうち、カンッ!とエンターキーを叩く。

ブゥン…と機械の動作音がして巨大なモニターが光を発する

「システム再起動成功〜。いやぁ疲れたよ」

管理室からまばらな拍手と小さな歓声が沸いた

「さて、昔話は終わりにしようか。次はこれからの話だよ?ヘラヘラ」

クロアは空気が変わったのを感じ、真剣な眼差しで頷いた

―――――

あとがき

―――――

D「あとがき…と」

G「む…クロア達担当ではないのか?」

D「知らないよ、まぁ気まぐれだろうね」

G「儂らの出番少ないしの…。たまには譲る優しさも良かろうて」

T「えっ…」

D「なんだい?T」

T「なんでもない…うん」

G「さて、儂らも何かするかの。何がしたい?」

D・T「…」

T「あっ、私達の自己紹」

黒燕「黒燕様の力で却下だ。」

T「わっ喋った?!」

黒燕「そういえば初めてのリアクションだな。」

D「Gさん、燕鍋なんていいんじゃない?」

G「じーさん言うな」

D「いてっ」

黒燕「食うなよ、黒燕は食べ物じゃないからな?絶対食うなよ?」

T(フラグ立てちゃったー!)

G「主は何用じゃ?」

黒燕「てめぇら静かすぎんだよ。盛り上げろ小じわ!」

G「今夜は燕鍋で決まりじゃの」

黒燕「だが…作者権限で回避だ」

G「その程度で逃げたつもりかの?」

黒燕「背後だと?!」

T「Gさんが掴んだっ!」

G「じーさん言うな」

D「ヘラヘラ」

黒燕「いだだだだ!羽が痛む!黒燕様の艶やかフェザーに何しやがるっ!」

G「羽が邪魔で調理できぬからの…。まずは抜く。」

黒燕「目がマジだー!誰か助けろー!」

D「いやぁ…鶏肉はよく食べるけど燕肉を食べるのは始めてだな…ヘラヘラ」

T「夏の鍋も乙よねぇ〜」

黒燕「ぴっ…!」



教訓『言葉には責任を持とう!』

T「オチ無し?」

うん

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