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第十五章 成長するBUG

ゲームファンタジー!


さて、前書きと言う名の駄文コーナーです。


そうだなぁ…書くことと言えば…

高三にして初めてカラオケに行ったー、とか、昔虹色の雲を見たー、とかじゃ駄目ですよねぇ…むぅ…


あぁ、ならあれだ。ちょっと不思議な話。

中学時代に夕立がきたんですよね、土砂降りで傘持ってないよコンチクショウみたいな雰囲気になったときふと教室の反対側の窓を見たんですよ


―あれ?


窓を開けると、雨が降っていない…

急いで振り返ると、先程の方向は土砂降り…。

そう、丁度自分達のいる校舎の真上で夕立と夕方の境界が出来てたんですよね

え?たいして珍しくない?

いいじゃん、たまにはこんな昔話も…ね

「…柄にも無いな」

そう言ってクロアは笑う。

本当にガキは苦手だ…。いつの間にか向こうのペースに乗せられて昔の自分に帰ってしまう…

彼は昔が嫌いだった。

「…ねぇクロア」

少女は後ろから覆い被さるようにして抱きついてくる。あまり重さを感じさせない重量の彼女は耳元で囁く

「ワタシ、こどもじゃないよ」

ほんの少しだけ重心が動く

「ずっと、『私』も待ってた…って」

少し、重くなる

「クロア」

いや、重い。

彼女が何かを話す度に重量が増していく。もっとも、最初と比べたら…なのだが

「大好き」クロアの周囲を光が包む…。いくつもの大粒の光がまるで蛍か何かのように優雅に宙を舞う。

―これで

アレイアの声が聞こえた

―私の役目はおしまい

声だけが同じで、まるで別人のような口ぶりだった

―この子をよろしくね、クロア

光が消えて、背後の少女が崩れ落ちるようにクロアの横に倒れる。

白い肌、そしてうっすらと金色が入った白髪。アレイアとひどく似ていて、まったく違う無衣の…ん?

「おい、お前!」

頬をぺちぺちと叩いてみる。

「うぅ〜ん…」

なんだこいつとりあえずこの状況はただの犯罪者だ。クロアはいつも着ているコートを脱いで、薄い長袖姿になる。

「…」

とにかく眠っているのか、一向に動く気配の無い少女にコートをのせて、それだけだと駄目な事に気付くのに意外と時間を要した…

「なんで俺が…」

手早くコートを後ろ向きでボタンを留め紐に通して必要以上の露出が無いようにする。そしてコートを半回転させて前後ろを無理矢理正す。袖に腕を入れて…よし、なんとか大丈夫だろう。と判断する

「むにゅ…」

その間少女は幸せそうな声を出して唇を波形に揺らしただけだった

「運ぶか…アレイアっぽいしな」

いくらBUGだとしてもこんな急成長はあるのだろうか…とかの疑問を全て頭の隅に追いやる。それは若草にでも聞いてみよう…

少女を背負って、立ち上がる。

ふにっ、という柔らかい感覚がどうにもやり難かった……意外と目立つ。

市場を抜ける間中、クロアと背中の少女は奇異と好奇とついでに尊望らしき視線にさらされ続けていた。

まぁ、薄着でコートの少女を背負い、さらになまめかしい艶やかな足が覗いていれば…流石に目立つのは仕方ない。クロアはやや心労となりつつある少女を横目で見やる

「幸せそうだな…ったく」

そろそろ、中央通りを抜けるだろう。そこからは人も少ない…もうこんな苦労もしなくてすむだろう…横道にそれ、少し歩く。あまり長くはないが人を背負って歩くにはやはり…辛い。

まるで古いゲートボール場、そんな広場が若草の領地…いや、部屋だった。

最初は気付かなかったがアレイアの『家』も若草の『領地』も実際は大差無いのだった

「おやおや、噂のカップルご帰還ですね。ひゅーひゅー」

囃したてるな…めんどくさい。とクロアは優雅に茶をすすっていた若草を払い除ける

「…アレイアさん。ご気分は?」

笑いかけた先が、ぴくりと動く

「さいっこー!、クロアったらね、赤くなりながらこのコートを…」

手を放す。

どてっと少女…アレイアは地面で尻餅をついて痛みと抗議の声を上げる

「うるせぇ!てめぇ起きてたなら自分でやれ!」

「ぷぅー!いやだよぅ!クロア以外この体はさわらせないんだから!」

「てめぇは例外だろうがぁぁぁ!!」クロアはこの得体の知れない大きなアレイアへのストレス全てを込めて叫ぶ。少しだけ気も楽になった気も楽になったことだし、若草に色々と聞いておくとしよう…まずは…

「あいつは…アレイアなのか?」

とりあえずここがハッキリしなければ質問も何もない。返ってきた答えは

「はい、そうですよ」

客観的にも間違いないらしい…。ならば何故大きくなったか聞いてみてもいいかもしれない、と判断して聞いてみる

「…」

彼は一瞬アレイアを見た。そしてクロアを見た。

「ならば私たちの関係をお教えしなくてはなりませんね、少し長いですよ」

そう前置きして彼は二人の出会いから話し始めた「私たちはこのサーバーで出会いました。最初…彼女は普通の…円と球で構成されたBUGでしたが、私の目の前で人の姿に変わったのです。

最初は理解できませんでしたが、彼女と二・三会話すると次第に彼女が何のためにいるのかが分かってきました…」

句切られた事に気付いてクロアはハッとする。まずい、ついていけない…

「まず、彼女はやはりBUGであること。私はその時はじめて本物を見たのであまり実感が沸きませんでしたよ…。

そして、違和感に気付きます。聞いた噂だとBUGは無差別に人を襲っているそうです。

ですが、彼女には戦う意思すらも感じない…。そこで仮説を立てました。

彼女には、戦う以外に目的があるのではないか…、と。そして、その姿から目的は『生長』ではないか…と。そして、何かのきっかけを待っているのではないか…。

予想は当たっていたようですね」

若草は、無邪気にくるくると回って微妙に余った袖を弄んで遊んでいるアレイアに笑いかける

「つまり…なんだ?」

既に頭の容量(キャパシティ)が限界に近かったクロアは音をあげる。どうにも複雑過ぎて追いつけない…

「彼女は特別。というわけです。

ですが理由の無い特別はありません。無意味なようでも必ず意味があります…。彼女にもまた、理由があるんでしょうね」

そう言って、彼は話しは終わりです。と笑って両手を広げてみせたクロアはふむ…と小さく呟く。

理由のない特別はない…か、彼は考えたことはなかったが心理なのだろう。

特別…とはやはり何かしらの理由がなければ存在しない、ある意味では幻想なのかもしれない。

特別と名のついた道具が店頭でしか光を放たないのもそんな幻想の力か…

クロアは頭に沸いた馬鹿な理論を頭を振って廃棄する。そんなことはどうでもいい。今は、全てを知らなくては…。思考など後でいくらでもできるのだから…

「では、もう一度手合わせしますか?彼女を守る力のために」

茶化して笑う若草にクロアは額を弾く

「いいぜ?…次は負けねぇよ」

若草は優雅に微笑んだ…

「巡れ!」

「開け」

二人の解放宣言が古びたゲートボール場に響いた。二人がいた場所が吹き飛ぶ…。

ジャキッ、という金属部品がいくつも揺れて音をたてる。若草の手に握られたのは超大口径の回転式弾倉拳銃(リボルバー)…。最初にパンドラが発動した時に彼が手にしていた武器だ。

それが地面を抉るように強大な力を放った。そして、クロアは姿を消した。

「だいぶ反応がよくなりましたね」

ジャキン。と銃口が天空を捉える

「ちっ…やっぱりあれくらいじゃ油断しねぇか…」

跳躍強化の呪符を使ってかなりの高さまで一瞬で跳んだクロアは白と黒の双剣を構える…。

砂煙と紅い火柱が地上で起こる

大気を乖離させんと物凄い風圧と回転をもって巨大な弾丸が攻撃圏にいるクロアに襲いかかる。

「あめぇ!」

白陰で『風圧』を消し、切り裂く。体を捻りつつ黒陽で『自壊』を付加する

クロアの背後でボロボロと崩れた弾丸は地面に落ちるまでに原子レベルにまで崩壊して目に見えなくなる

今頃になって聞こえる銃声というよりは爆発音と言うのが近い轟音が聞こえる。

重力に引かれて落ちていくクロアめがけて三連射するのが火柱で確認される。先程と同じ能力で一発目を白陰で切り裂き、二発目を黒陽で切り捨て、三発目を同時に振り降ろした剣で切り払う。

クロアは黙って撃たれるのも癪なので白陰をくわえて左手で虚空からカードを引き出す

「土塊符『天地落爆』」

若草の足元の岩盤が小さく砕けて天へと舞い上がる…。どことなく『ヴァルハラ』のエリア作成シーンを思い出す動き、

若草は次は攻撃として使用される石と土の塊から逃れる。退避の僅かな時間にクロアは着地し、距離を詰める。

「デカイ遠距離武器は不便だな!」

くっ…と若草が苦し紛れに引き金を引く。だがそんな適当な射撃が当たる筈がない。クロアが銃を破壊して、終わりだ

「なんて、ね」

若草は反動で跳ね上がった銃を放す。巨大な銃はその反作用もまた巨大。それを利用して彼は邪魔な巨体を廃棄する手間を省く

「時符『逆巻き時計』」

一瞬。本当に一瞬で飛び抜けた筈の銃が彼の手に握られていた。何がどうして…

カチン!

引き金が引かれた。弾は切れていたようだが…彼はわざとそうしたのだろう

「時符まで使わせたのは評価します。が、もう少しバックアップとなる策が欲しいですね」

どうやら本当に彼の手のひらで踊らされていたらしい。まったく、腹立たしい事だ不思議と、不快ではないのだった

なんだかな…

クロアは双剣を放す。

剣はゆっくりと透明になっていき、地面に落ちる直前に見えなくなった。

若草も同様に武装解除する

「勝てねぇな」

それでもクロアは愉快そうに笑う

「たまにはそんな奴がいても悪くない」

そんな呟きに若草も同意する

「人は、何か目標がないと生きられませんからね」

ふふふ、と笑ってクロアの額を叩く。先程の仕返しのつもりなのかもしれない

穏やかな空気、

なぜだかその時はそれだけで満ち足りたような気がしたのは錯覚だろう

「クロア」

アレイアがかなり乱暴に振り返らせたのだから、もう穏やかな空気は消しとんだ


もう少し、消えない空気はないのかね


そんな風に思ったのは錯覚だろう「必中の―」

微かに聞こえた解放宣言をクロアは空耳だろうと聞き流す。だが、どうやらそれはミスだったようで

「クロア!伏せて!」

目の前にアレイアが立ちはだかり、右手を前に突き出す。

一瞬、激しい光が現れたかと思うと、アレイアを覆うように存在する半球状の隔壁に槍が阻まれる

「く…」

激しい衝撃の余波で風が吹き荒れる。アレイアも隔壁だけでは受けきれずに両手を重ねて突き出す

片手だけで数人分の攻撃を止めた人物が受けきらない槍…その持ち主をクロアは一人しか知らない。


―何だってんだ、ったくよ


心の中の自分が呟いた

―――――

あとがき

―――――


アレイア「私、参上!」

クロア「…(冷たい目)」

アレイア「クロアぁ!乗ってよ!ほら」

クロア「…わかった」

アレイア「やった♪それじゃぁ…」

クロア「…長年育ててきた娘がグレた父親の気分…か…あんなに…かわいかったのに…」

アレイア「クロア…ひょっとしてロリ…」

クロア「『空間転移』」

アレイア「…どっかいっちゃった」

―――

内面アレイア(以下、黒アレ)「まったく」

アレイア「ぷぅ…あんたのせいだからね!こんな体にした…むきー!」

黒アレ「ふん。知らないわよ。私は引き金を引かれただけ、私が引くはずだったものを奪ったんだから…チャラよ」

アレイア「知らない!」

黒アレ「…まぁ、そこはいずれ。」

アレイア「また嫌われた…クロアぁ〜」

黒アレ「…いい?心に留めなさい。アナタはアナタ。もう、その体はアナタのもの。だから…」

アレイア「?」

黒アレ「…。なんでもないわ。クロアと仲良くしなさい。これは、私個人の忠告」

アレイア「個人?」

黒アレ「…次は、お母様からの警告」

アレイア「!?」

黒アレ「これ以上、人間との仲を取るようなら、世界の全てが敵となる。注意なさい?」

アレイア「待って!それって…」

―――

クロア「おい!」

アレイア「むにゅ?」

クロア「寝てんな、起きろ」

アレイア「夢…?」

クロア「字数だ。みんなまたな!」

アレイア「また…ね…?」

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