勇者、魔界で孤児院を営む。

魔界の方がよっぽど平和

ここは魔界。

人間界より派遣された勇者カイル一行は目の前の光景に目を疑っている。

「なぁ、ここ…魔界だよな？なんか、聞いてたのと違うくない？」

「えぇ、これは一体どういう事でしょう？」

「ふむ、随分と整えられたインフラと家々ですね」

「凄えな！人間界なんかよりよっぽど文化的だぞこれ」

人間界は３つの国で構成されており各々の国で得意分野が違い、国の様相もそれぞれ異なっている。

中には未だ国からの支援や技術の恩恵を受けられず、十分な食料も確保できない村があったりなかったりしている。

ところがここ、魔界では国の端(はじ)から端までが整えられており、人間界より発展している印象を受ける。

勇者一行は国王三人に魔王討伐を任命され意気揚々と魔界入りするも魔獣や魔人、その他敵と思しきものと遭遇する事なく国と呼ぶに相応しい街並みに唖然として居た。