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落ちこぼれと呼ばれた超越者  作者: 四季崎弥真斗
2章 創世樹の森
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完成と旅立ち

 公都からアルバ村に向って2日目。


 途中でモンスターの群れや小規模の盗賊達の襲撃にあったりしたが問題なく返り討ちして順調に進み、正午にはアルバ村へと到着することが出来た。


 「では、私はこれで」


 「ああ、色々とありがとな」


 アルバ村の入口で村人青年と別れてドーンの鍛冶屋に赴く煉太郎達。


 「帰ってきたぞ親父」


 「おう、帰ってきたか」


 相変わらずの無愛想な態度で煉太郎達を迎えるドーン。


 「ん、そいつはエルフ族か?」


 「初めまして、セレンです。ドーンさんのことはレンタロウさんから聞いています」


 「まさかこんな別嬪なエルフ族まで連れて帰ってくるとは、小僧も羨ましい限りなことだな……」


 恨めしそうに煉太郎を睨むドーン。


 セレンもフィーナに負けず劣らずの美少女だ。既にフィーナと言う美少女を侍らせているのに、更に別の美少女を侍らせて帰ってきた煉太郎に殺意を抱くのは男として当然のことだろう。


 そんなドーンの殺意のある視線を他所に、煉太郎は異空間から頼まれていた調合薬を取り出し、机の上に置く。


 「頼まれていた調合薬だ。これで魔動ジープが完成するんだよな?」


 「ふん、既に完成してるぞ。付いて来な」


 若干不貞腐れながら調合薬の入った瓶を手にすると、煉太郎達を作業場へと案内する。


 作業場はお世辞にも綺麗とは言えず、床には金槌などの工具やマジックアイテムの図面が散乱しており、ある意味作業場らしい部屋だった。


 そして、作業場の中心には布を被った物体が置かれていた。


 「さあ、こいつがお前の望んだ魔動ジープだ!」


 ドーンは誇らしげに布を取る。


 「「「おお」」」


 完成した魔動ジープを目にして感嘆の声を上げる煉太郎達。


 ボディサイズは長さ:4795、幅:1900、高さ:1830。ミスリルタートルの甲羅で造られたボディは黒で塗装。ガラスはストーンゴーレムの石材で造られた防弾ガラス。ゴム代わり使用されているのはマウンテンワームの伸縮性のある皮で作り上げた特殊タイヤ。ボンネットにはエンジンとして魔石が設置されている。内部は右ハンドル、3列レザーシート7人定員。『燃焼石』、『冷却石』と言う鉱石が設置されており、エアコンの機能を有している。


 「流石ドーン、見事な仕上がりだ」


 期待以上の出来映えに素直な感想を述べる煉太郎。


 「最後の仕上げだ。この調合薬を魔石に注げば魔動ジープの完成だ」


 そう言って、ドーンは調合薬が入った瓶の蓋を空けて、それを魔石に注ぐ。すると魔石は一瞬、光を発して何事もなかったかのように消える。


 「これで完成だ。早速起動させてみようか」


 魔動ジープを外に出し、ドーンから渡された鍵で起動させて村の外周を走ってみる煉太郎。


 地球で造られる自動車と違ってガソリンを燃焼させて動かしている訳でなく、魔石の魔力を利用して動かしているので200キロ近くの速度を出していると言うのに駆動音は非常に静かだった。


 村の外周を一周してフィーナ達の元へと戻ると、満足そうに笑みを浮かべる煉太郎。


 「良い仕上がりだ」


 「当然よ」


 誇らしげに胸を張るドーン。煉太郎のタスラム同様、この魔動ジープはドーンが今まで製作してきた物の中でも非常に良い出来映えだった。


 「これで直ぐにでも旅に出られるな」


 「……もう行くのか?」


 「ああ。俺達の目的はオルバーン王国ヘ早く向かうことだ。魔動ジープが完成した今、もうこの村に留まる必要はないからな」


 煉太郎がこのエルバナ公国に連れてこられてもう1ヶ月以上が経過していた。煉太郎としては一刻も早くオルバーン王国へと向かいたいのだ。


 「そうか。そいつは寂しくなるな……」


 何処か寂しげな表情を浮かべるドーン。短い時間であったが、それなりに有意義な時間を過ごしたと思っているのだ。


 「だったら俺からの餞別として旅に役立つマジックアイテムをやろう。ちょっとこっちに来な」


 煉太郎達がドーンに連れてこられたのは倉庫だった。


 「こいつだ」


 ドーンが煉太郎に渡したのは薄汚い布の固まりだった。


 「この布がマジックアイテム?」


 渡された薄汚い布の固まりを呆然と見つめる煉太郎だが、ドーンは笑みを浮かべて口を開く。


 「ただの布じゃないぞ? そいつに魔力を流し込んでみな。そうすればこいつの価値が分かるだろうよ」


 「?」


 ドーンに言われるがまま、煉太郎は布を床に転がして魔力を流し込んでみる。


 次の瞬間――


 「うおっ!?」


 床に転がっていた布が魔力を流し込んだ瞬間、テントへと姿を変えたので、思わず驚く煉太郎。


 「驚いたようだな。中を見てみな。もっと驚くことになるぞ」


 「どれどれ――うわぁ!?」


 「これは凄いですね!」


 「クルルルル!」


 ドーンに従い、最初にフィーナ、後に続いてとセレンとクルがテントの中に入ると、驚いた声を漏らす。煉太郎も中に入ってみる。


 「これは驚いたな……」


 外見は薄汚いテントの筈なのに、内部は10畳程はある豪華な部屋だった。中にはテーブルやソファー、ベットが2つ、そしてキッチンまで備わっていた。


 「驚いたようだな?」


 煉太郎の後にドーンがニヤニヤと笑いながらテントの内部に入ってきた。


 「このマジックテントは俺が世界中を旅してした時に使っていた物でな、こいつをお前達にくれてやるよ」


 「……いいのか? このマジックテント、恐らく古代級以上のマジックアイテムだと思うんだが、結構高いんじゃないのか?」


 煉太郎の言う通り、このマジックテントは古代級の代物だった。これを売れば一生は遊んで暮らせる程の金額になることは間違いないだろう。


 「俺にはもう必要ない物だからな。物は使われてこそ価値があるんだ。それに、何も只でこいつをやるとは言ってないぞ?」


 「何?」


 「このマジックテントをやる代わりに、こいつを届けてもらいたいんだ」


 そう言ってドーンが取り出したのは2通の手紙だった。


 「1つを俺の故郷であるガルアス鉱山国に、もう1つをアルテマ興国に届けて貰いたい。それだけでこのマジックテントはお前の物だ。どうする?」


 煉太郎としてもこのマジックテントは非常に魅力的だ。旅をすれば当然野宿をすることが多いだろう。寝心地の悪い普通のテントとベットが付いているマジックテント、どちらが良いかは目に見えている。


 「分かった。その手紙は責任を持って届ける」


 「よし、交渉成立だな」


 ドーンから手紙を受け取り、必ず届けると誓う煉太郎だった。



 ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆



 マジックテントを貰い受けて外に出る煉太郎達。


 そしてそこには――


 「お待ちしておりましたよ、皆さん」


 アルバ村の村長を含めた村人達が佇んでいた。


 「どうしたんだ?」


 「いえいえ、皆さんがこのアルバ村を離れると聞いたので、お見送りをと思いまして」


 アルバ村の者達にとって煉太郎達は村を救ってくれた英雄のような存在だ。そんな煉太郎達を見送らないのは失礼だと思ったようだ。


 「フィーナちゃん、これは貴方達の為に作ったお弁当よ。よければ食べてね」


 「ありがとう、女将さん……」


 弁当箱を受け取りながら涙ぐむフィーナ。女将には色々と世話になったからか、余計に別れが辛いのだろう。


 「そろそろ行くぞ」


 運転席に乗り込む煉太郎に言われて助手席にフィーナ、セレンは後部座席に座る。


 「元気でな」


 「貴方達のことは忘れませんぞ」


 ドーンやアルバ村の村人達に見送られながら、煉太郎達はオルバーン王国を目指して旅立つのだった。

今日中に登場人物紹介を投稿して2章は終わりです。

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