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落ちこぼれと呼ばれた超越者  作者: 四季崎弥真斗
2章 創世樹の森
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マンドラゴラ戦

 マンドラゴラと一体化したローランは醜悪な笑みを浮かべると、触手を自在に操り、煉太郎に襲い掛かる。


 「――チッ!」


 舌打ちしながらカルンウェナンからヴェルシオンに替えて無数に迫る触手を斬り伏せていく煉太郎。


 しかし、切断された触手は瞬時に再生して再び煉太郎に襲い掛かると、その内1つが煉太郎をそのまま丸呑みしてしまう。


 「レンタロウ!?」


 触手に喰われて思わず叫ぶフィーナ。そんなフィーナの表情を見て、ニヤリと笑みを浮かべるローランだが、直ぐに異変に気付く。


 「シャアアアアアアアッ!?」


 触手が苦しむかのように暴れ始めると、一気に膨張して飛散する。


 「危うく消化されるところだったぜ……」


 触手から無事に生還した煉太郎は身体中に付着する粘液のような液体を振り払いながら呟くと、タスラムの銃口をローランに向けて引鉄を引く。


 ドパンッ!


 「――ガッ!?」


 放たれた銃弾は見事にローランの頭部を粉砕する。


 しかし――


 「ハハハハハハハハハハッ! コノテイドデハマンドラゴラトイッタイカシタワタシヲコロスコトハフカノウダゾ!」


 粉砕された頭部を再生させながら笑うローラン。どうやらマンドラゴラと一体化したことにより再生力が大幅に上がっているようだ。


 「ワタシ達も行きますよ!」


 「はい、シスリカ様!」


 セレンとシスリカは煉太郎達に助太刀するべく、セレンは弓を構え、シスリカは魔法を発動するべく詠唱を開始する。


 「〝矢に風の力を纏わせろ――ウインドエンチャント〟」


 「〝放つのは光の矢――ライトアロー〟」


 セレンとシスリカが風を纏った矢と光の矢がマンドラゴラ向けて放たれる。しかし、マンドラゴラには傷1つ付けられなかった。


 「ムダダムダダ! キサマラノゼイジャクナマホウデハマンドラゴラニハツウヨウシナイゾ!」


 高笑いするローラン。そこにニンフがマンドラゴラに指を指す。


 「眼球よ! あの幹についている眼球なら貴女達の攻撃でも通じるわ! 〝見えなき風の刃よ――ウインドカッター〟」


 僅かだが魔力が回復した妖精が風の刃がマンドラゴラに向かって放ち、茎に付いている眼球の1つを切り刻む。


 「ガァアアアアアアアアッ!?」


 先程の余裕な態度から一転。眼球を切り刻まれてローランが悲鳴を上げると、それに呼応してマンドラゴラも暴れ出して地面が大きく揺らぐ。どうやらかなりのダメージが与えられているようだ。


 「眼球の部分ならワタシ達でも攻撃が通じるみたいですね……。セレンさん、眼球をねらうのです」


 「はい! シスリカ様!」


 攻撃が通じる箇所が判明し、セレンとシスリカは眼の部分を集中的に攻撃する。矢や魔法が複数の眼球に直撃して潰れ、消し飛んでいく。


 「クソッ、チョコザイナマネヲシオッテ! キサマラノアイテハコイツラデジュウブンダ!」


 ローランが叫ぶと、幹の部分から生命力を吸収されてミイラ化した冒険者達が這い出しくる。その身体の至るところが植物に成り果てており、最早モンスターに近い外見だ。


 「イケ! ヤツラヲコロセ!」


 「「「「「「「「「「アアアアアアアアアア……」」」」」」」」」」


 ローランの指示を受け、呻き声を上げながら植物冒険者達が煉太郎達に目掛けて襲い掛かってきた。元は人間だが、半分は植物なので動きは思いのか遅い。


 「チッ! 撃退するぞ!」


 最も早く反応したのは煉太郎だった。


 煉太郎の言葉にフィーナとシスリカはコクリと頷くと、魔法を発動する。


 「〝アイスアロー〟」


 「〝放つのは光の矢――ライトアロー〟」


 無数の氷と光の矢が植物冒険者達に目掛けて放たれる。


 「「「「「「「「「「ギャアアアア……!」」」」」」」」」」


 氷と光の矢を受けて悲鳴を上げながら次々と植物冒険者達が倒れると、身体が砂状となって崩れてしまう。


 「……」


 無言で迫り来る植物冒険者を見つめている。微かに震えていることから怯えている様子だった。


 今目の前にいるのは半分は植物になっているが、生きている人間だ。モンスターを殺す経験なら今まで何度もしてきたが、流石に人殺しの経験がないセレンにとっては抵抗があるようだ。


 「レンタロウさん、どうすれば……」


 セレンは助けを求めるように声を出す。


 ゆっくりではあるが、間違いなく前進している植物冒険者達は、既にその差し伸ばされた手が目の前に来るほどまで接近している。


 「チッ!」


 舌打ちすると、煉太郎は先頭にいた植物冒険者の頭部をカルンウェナンで躊躇うことなく斬り落とす。


 頭部が地面に転がるのを目の当たりにしたセレンは思わず口元を押さえる。


 そんなセレンに煉太郎は躊躇わずに叫んだ!


 「躊躇するんじゃない! どうせこいつらはもう助からない命なんだ! 助からない者をいちいち気にかけていたら俺達もこうなるんだぞ! それが嫌なら闘え!」


 怯えの表情をはらんでいたセレの瞳が煉太郎の言葉に覚悟を決める。


 「……そう、ですよね。レンタロウさんの言う通りですね……」


 セレンの震えていた手が、弓を強く握り直すと、弓を構えて狙いを迫り来る植物冒険者に定めるて矢を放つ。


 「――ギャッ!」


 セレンが放った矢は見事に植物冒険者の額を穿つと、その場で倒れ、砂となって崩れる。


 「よし……」


 覚悟を決めたセレンを煉太郎は承認するかのよに呟くと、残りの植物冒険者を次々と屠っていく。


 20人近くいた植物冒険者達を瞬く間に蹂躙されてローランは忌々しく煉太郎達を睨み付ける。


 「ヤハリニンゲンゾクハヤクニタタナイナ……。ナラバコイツラナラドウダ!」


 そうローランが叫ぶと、マンドラゴラの茎から幾つもの花が咲き、瞬く間に実へと変化すると、そこから種子のような物が溢れ落ちる。すると地面に落ちた種子は植物巨人や人喰い花などの植物モンスターへと形を変える。


 「コロセ!」


 「「「「「「「「「「……オオオオオオ」」」」」」」」」」


 「「「「「「「「「「キュエエエエエ!」」」」」」」」」」


 「「「「「「「「「「アアアアアア」」」」」」」」」」


 ローランの指示でセレンとシスリカに襲い掛かる植物モンスター達。


 「フィーナ、一気に片付けるぞ!」


 「うん!」


 フィーナに指示を出すと、煉太郎はヴェルシオンに魔力を込めるてそのまま振り上げた。


 ヴェルシオンから発せられた衝撃波が植物モンスターに向い飛んでいく。その衝撃波は半分以上の植物モンスターを消滅させる。


 「〝ブラックホール〟」


 フィーナも上級魔法で残りの植物モンスターを消滅させる。


 複数生み出された植物モンスター達を一瞬で蹂躙されてなお、ローランは余裕の笑みを浮かべている。


 「ハハハハハハハハハハッ! イクラモンスターヲホフロウトムダダゾ! ワタシハジュウネンカンカケテコノマンドラゴラニイケニエヲアタエテキタノダ! マダマダモンスターハウミダセルゾ!」


 そう言いながらローランは次々と種子を生み落として植物モンスターによる軍勢を作り出していき、煉太郎達を襲わせる。


 「――チッ!」


 「レンタロウ、流石にモンスターの数が多すぎるよ!」


 幾ら雑魚モンスターと言えどここまで数が多ければ流石の煉太郎達でも苦戦を強いられる。このままでは先に煉太郎達の体力・魔力が消耗するのは時間の問題だろう。


 「これでは埒が明きませんね……。いったいどうすれば……」


 矢を次々と放ちながら悔しげに歯を鳴らすセレン。母親を殺し、父親をあのような姿に変えたローラン相手に一矢を報いることすら出来ない自分に腹を立てているのだ。


 「1つだけ……1つだけマンドラゴラを止める方法があるわ……」


 妖精の言葉にセレンは思わず俯いた顔を仰向かせる。


 「それはいったい何ですか!?」


 セレンの問いに妖精は表情を暗くさせる。


 「それを実行すれば、貴女はきっと心に深い傷を残すことになるわ……」


 「それは、どう言うことですか……?」


 セレンの質問に妖精は少し沈黙すると、覚悟を決めたのか、セレンにその方法を教える。


 「マンドラゴラの核となっている者――貴女の父親の命を絶つことよ……」


 それは、セレンにとって1番残酷とも言える方法だった。

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