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落ちこぼれと呼ばれた超越者  作者: 四季崎弥真斗
2章 創世樹の森
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聖域

 「……オオオオオオオ」


 「キュエエエエエッ!」


 「……アアアアアアア」


 植物モンスターの大群が煉太郎達に襲い掛かる。


 「全員、戦闘準備! セレンとシスリカも援護を頼むぞ!」


 「はい!」


 「分かりました」


 タスラムの引き金を引きながら指示をする煉太郎に従って、セレンとシスリカは援護をするべく動き出す。セレンは弓を構え、シスリカは右手を掲げる。


 「オオオオオオ……」


 植物巨人がセレンに目掛けてその巨腕を振り払うと、まるで舞うが如く華麗な身のこなしで回避する。


 「〝風よ、我が放つ矢に恩恵を――ウィンドエンチャント〟」


 セレンが構える弓に風が纏い始める。強く引き絞られた弓から矢が放たれる。彼我の距離がなかったかのように矢が植物巨人の頭部を見事に粉砕する。


 セレンは風系統の魔法適性を持っており、先程の魔法は矢に風を付与させて速度と貫通力を向上させるものだった。


 狙いも正確かつ迅速で、矢を構えてから間を置かずに植物モンスターへと射る。


 セレンは幼少の頃から父親に弓と風魔法の手解きを、体術に関しては母親に手解きを受けていたので、この程度のモンスターなら何とか対応出来る実力を持っていた。


 「〝空から落ちる光よ、その力で敵を滅ぼせ――スターダスト〟」


 シスリカが手を掲げると、植物モンスター達の真上に巨大な魔法陣が出現。そこから光球が流星群の如く植物モンスター達へと降り注ぎ、一網打尽にしていく。


 シスリカは光系統の魔法適性があり、流石はエルフ族の長老と言うべきか、その身に宿す魔力の量はエルフの里でも一二を争う程の膨大な量だった。


 今のシスリカの魔法で残っていた植物モンスター達は消滅する。


 戦闘が終了し、煉太郎達は一息入れる為にその場で休憩を取ることにする。


 「それにしても、かなりの数の植物モンスターを倒したな……」


 水筒に入っている果実水を口にしながら呟く煉太郎。


 煉太郎達がエルフの里から離れて10回目の遭遇。聖域に近づくにつれて植物モンスター達が出現する確立が上がって来ている。


 やはり聖域で何かが起きているのは間違いないようだ。


 休憩を終えて暫く歩いていると、先頭を歩いていたシスリカが立ち止まる。


 「ここから先が聖域になります」


 一見普通の森と変わらない風景。しかし、より濃厚な魔力が溢れていることだけは感じられる。


 「それじゃあ早速聖域に入るとするか」


 煉太郎が歩き出すと、視界が徐々に真っ白い霧に覆われていき、気が付くと元いた場所へと戻っていると言う不思議な現象が起きる。


 「どうなっているんだ……?」


 訳が分からず、首を傾げる煉太郎。そんな彼にシスリカは語りかける。


 「そう簡単に創世樹のある聖域には辿り着けませんよ」


 シスリカの言う通り、ここから先は創世樹の加護が施された土地である為、容易に聖域へと辿り着けないようになっている。聖域に行くには正しい通路を歩かなければならないようで、少しでも間違えると元の場所へと戻ってしまう仕組みになっているようだ。


 これは余所者が聖域に近づかないようにする為の防衛手段のようなもので、正しい通路を知る者はシスリカを含む極僅かのエルフしか知らないことだった。


 「ワタシが正しい通路を歩きますので、皆様は付いて来て下さい。くれぐれもワタシが通る道以外に足を踏み入れないで下さいね」


 そう言ってシスリカは歩き始める。煉太郎達もそれに続いて歩き出す。


 同じような景色が続く中、突然角度を変えたり、巨木や大岩の周りを1周したりするなど、普通ではあり得ない順路で進み続ける。


 「今さっき右に回ったと思ったら今度は左? 本当にこの順路であってるのかな?」


 「シスリカを信じて進むしかないだろう……」


 シスリカの後を追う煉太郎達。


 そして――


 「着きました。ここが聖域です」


 シスリカの後を追い続けて30分。ようやく広場がある場所へと抜けることが出来た。


 「あれこそが、我々エルフ族が神の如く崇める存在――創世樹です」


 そこで煉太郎達が目にしたものは、他の樹よりも遥かに巨大な大樹だった。

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