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落ちこぼれと呼ばれた超越者  作者: 四季崎弥真斗
2章 創世樹の森
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調査

 植物モンスター達との一戦を終えた煉太郎達は一度エルフの里へと戻る。


 煉太郎とフィーナはともかく、セレンには少々荷が重い相手だったようだ。


 「貴方達はいったい……」


 戸惑いながらも問うシスリカ。あれほどの大群を前に苦戦することもなく難なく殲滅してしまった煉太郎達に心底驚いているようだ。


 「別に、唯の化け物人間だよ……」


 皮肉っぽく呟く煉太郎。先程のエルフの言葉に若干だが、不快感を感じたようだ。


 シスリカはこれ以上聞くのは失礼だと思ったのか、それ以上何も問わないことにした。


 「それで、あのモンスター達はいったい何なんだ? あんたの話では植物モンスターはエルフ族を襲わないと言っていたと思うのだか?」


 「……分かりません」


 煉太郎の問いにシスリカは首を横に振るう。


 「植物モンスターが現れ始めて1年が経過しますが、こんなことは今までなかったことです。どうして今になって……」


 これで植物モンスターが人間族、ハーフエルフだけでなく、エルフ族も襲うことが判明した。


 しかし、何故、今まで植物モンスターはエルフ族を襲わなかったのか。何故、今頃になってエルフの里を襲ってきたのか。謎は深まるばかりだ。


 「貴様達のせいだ……」


 ポツリと呟いたのはローランだった。その目付きはまるでたいそう憎たらしいと言った感じのものだ。


 「貴様達がこの里に来たから植物モンスターがこの里を襲ってきたのだ! これは妖精様のお怒りなんだ!」


 ローランの言葉に周囲のエルフ達に動揺が走る。


 「物騒なことを言うものではありませんよ、ローラン」


 「しかし、奴らがこの里に来た直後に植物モンスターが襲ってきた! どう考えてもそれしかあり得ません!」


 「てすが、彼らがこの里に入ってきたからと言って、妖精様の逆鱗に触れたとは考えられません。やはり、妖精様直々に真相を聞かなければならないようですね……」


 しかし、現在聖域への道は植物モンスターによって閉ざされている。行こうにも手段がないのだ。


 エルフ達はどうするべきかと、話し合っていると――



 「だったら俺達が聖域に行こう」


 煉太郎の言葉にシスリカを含む全員のエルフ達が彼に視線を向ける。


 「俺達なら植物モンスターを倒しながら聖域へと行ける自信がある」


 煉太郎の言うとおり、彼らの実力なら聖域へと辿り着ける可能性は高い。それは先程の戦闘を見れば一目了然だ。


 「確かに、貴方達の実力ならそれも可能でしょう。しかし、どうして貴方達が聖域の調査を……?」


 わざわざ煉太郎達が聖域の調査をしても何のメリットにはならない。それなのにどうしてそんなことをしようとするのか。シスリカにはどうしても聞いておきたいことだった。


 「セレンへの借りだ」


 ポツリと呟いた言葉にセレンは呆然とする。


 「セレンには一宿一飯の恩義がある。だから聖域の調査を引き受けようと思った。それだけでは不服なのか?」


 「「「「「「「「「「……」」」」」」」」」」


 予想外の答えにエルフ達は唖然とする。


 そんな周囲のエルフ達の視線を尻目に煉太郎は「何か問題でもあるのか?」と言って肩を竦める。


 煉太郎は敵対する相手には容赦はしないと決めている。


 しかし、いくら敵には容赦と言っても、善意ある者に対しては話が別だった。


 受けた恩には恩で返すというのが煉太郎なりのポリシーだった。幾ら性格が変わったとは言え、外道に墜ちたつもりは毛頭ないのだ。


 「貴様、いったい何を馬鹿なことを言っているんだ!エルフ族でもない人間族のお前が聖域に行くだと? ふざけるのも大概にしろよ!」


 煉太郎達が聖域に行くことをもう反対するのはローランだった。人間族を最も憎んでいるからか、やたらと煉太郎達に反論してくる。人間族など信用する価値はないと思っているのだ。


 「そうだ! 人間族の言うことなんて信じられるやけがない!」


 「そうだそうだ!」


 「人間族が聖域に行くなどおこがましいにも程がある!」


 それに続いて周囲のエルフ達も煉太郎達が聖域に行くことを反対する。


 聖域はエルフ族にとっても神聖なる場所。エルフ族の長老であるシスリカですらおいそれと立ち入ることが出来ない場所で、聖域にはエルフ族しか入れないと掟まで決められている。そんな聖域に人間族である煉太郎が入ることに若干、抵抗があるようだ。


 そんな周囲の反応にローランはニヤリと笑みを浮かべる。


 「分かったか、人間族! 貴様達の助けなど不要だ!さっさとこの森から消え失せるがいい!」


 (こいつ、何をそんなに焦っているんだ?)


 煉太郎だけにはローランは何か別の意味で聖域に行くことを反対しているようにも思えた。まるで煉太郎達に聖域へ行かれると困るかのように……。


 「なら、これ以上この現状を放置しておくのか? 今回は俺達がいたからこの里の被害は最小限で済んだんだぞ? 俺達が去った後でまた植物モンスター達が里を襲ってきたらどうするつもりだ? 今度こそこの里は一巻の終わりだぞ」


 「ぐぅ……それは……」


 煉太郎の言葉にぐうの音も出ないのか、一瞬黙り込むローランだが、それでも煉太郎に食い下がる。


 「それでも人間族と忌み子であるお前達を聖域へ行かすことは出来ない! この件は我々エルフ族だけで――」


 「ローラン、もう黙りなさい……」


 「長老……?」


 ローランの話の途中でシスリカが割って入って静止させる。


 そして、何かを決意した表情で口を開く。


 「分かりました。今回は異例中の異例として、貴方達を聖域への調査を依頼しましょう。ただし、聖域にはワタシも同伴します。それでよろしいですね?」


 シスリカの意見に煉太郎は頷いた。


 「ああ、それでも構わない」


 シスリカの言葉に周囲がざわめき始める。それを聞いて1番唖然としているのはローランだった。


 「な、何を言っているのですか長老!? 奴は人間族、そしてあの女は大罪人の娘ですよ!? そんな奴らを聖域に行かすなんて正気の沙汰ではありません!?」


 「分かっています。ですが彼の言うとおり、このまま何もせずに待つだけだは何も始まりません。ワタシは少しでも可能性のある方に賭けてみたいと思います」


 「しかし!」


 「これは長老としての命令です。貴方はこの里に残り、怪我人の手当てを。そして再び植物モンスターが襲撃してきても良いように準備を整えておきなさい。良いですね?」


 「……分かりました」


 シスリカの命令に、ローランは渋々了承して他のエルフ達を連れて行ってしまう。


 「さあ、聖域に行こうか」


 煉太郎達は、異変を調査する為に、聖域へと向かうのだった。

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