唐揚げ
コカトリスの死体を1時間程かけてようやく解体し終える煉太郎達。
普通の鶏と違ってコカトリスの身体はかなりの大きさがあり、しかも尻尾は蛇だ。解体するのに少々骨が折れたが、これで料理が開始出来る。
毟った羽毛は布団や枕などの寝具の材料に、尻尾の蛇は装飾品として使用されて中々の額で売れるので、公都ハーンスに戻ったらさっそく 換金して貰うことにする。料理に使う鶏肉以外の物は全部異空間に収納しておく。
「それで、コカトリスのお肉でどんなお料理を作るんですか?」
「鶏肉と言えばやっぱり唐揚げだな。セレンはサラダをお願いな」
「はい」
「私も手伝うよ」
「クルルルル」
セレンの手伝いをするフィーナとクル。女子同士なのでお互い気が合うのか、楽しく談笑しながら料理をしている。
(さてと、俺も料理を開始するか)
唐揚げ作りを開始する煉太郎。
まずは鶏肉に浸けるタレからだ。
生姜とニンニクを摩り下ろし、それにアルバ村の『辺境の夕暮れ亭』の女将から譲り貰った醤油と料理用の酒を加えて混ぜ合わせればタレが出来る。
出来たタレに一口大に切ったコカトリスの鶏肉(もも肉)を漬け込み20分程馴染ませる。
鶏肉にタレが充分に染み込んでいるのを確認したら、小麦粉と片栗粉を混ぜて作った特製粉を満遍なくまぶせる。
次に鍋に油を注いで火を点ける。特製粉を鍋に入れて音を立てながら浮かんできたら特製粉をまぶせた鶏肉を投入し、狐色になるまで中火で揚げる。
揚げ上がったら余分な油を切って皿に盛り付ければ完成。
「特製唐揚げの出来上がりだ」
「こっちも出来ましたよ」
「出来たよー!」
「クルルルル!」
どうやらフィーナ達の料理も完成したようだ。
互いに料理を完成させて見せ合うことにした煉太郎達。
「おお、そっちは色鮮やかなサラダだな」
フィーナ達が作ったサラダは赤や黄色や緑色などの様々な野菜が綺麗に盛り付けされており、その上にはドレッシングのような物が掛けられている。
「うわ~!」
「美味しそうです!」
「クルルルル!」
揚げ立ての唐揚げに目を輝かせるフィーナ達。特にセレンは初めて目にする唐揚げに御執心のようだ。
それと異空間に収納しておいた炊きたての白いご飯をテーブルに出して夕食の準備は完成した。
「「「いただきます」」」
「クルルルル!」
まずはサラダを一口食べる煉太郎。
「ほう、実に瑞々しいなこの野菜」
サラダに盛り付けられている野菜はシャキシャキとした食感があり、どれも独特の苦味やえぐみがなく、代わりに甘くて酸味があって生で食べても充分美味しい。
「フフフ。私が端正込めて育てた野菜ですからね。味は保証しますよ」
「それにこのソース、唐辛子が使われているのか……。ピリッとした辛味が良いな」
更に野菜に掛けられているソースが絶品だった。ソースには磨り潰した唐辛子を使用しており、舌に来るピリッとする辛さが野菜の味を引き立てている。
「このカラアゲと言う料理、美味しいです! コカトリスの鶏肉をここまで美味しく料理するなんて、レンタロウさんは凄い人です!」
サクッ。
一口齧った瞬間、心地のよい音が響く。
外の衣はサクッとした歯応え、中の鶏肉はふんわりと柔らかい。噛み締めるたびに鶏肉の旨味を余すことなく含んでいる濃厚な肉汁が溢れ出て、炊き立てのご飯と非常に合う。
揚げ立てなので口に唐揚げを入れるたびに火傷をしそうになるが、構わないとフィーナ達は唐揚げを食べる。
唐揚げを口にしながら「美味しい~」とセレンは唐揚げに絶賛の声を上げる。
「唐揚げ最高!」
「クルルルル!」
フィーナとクルも唐揚げを口にして満面の笑みを浮かべる。
「これを掛けたらさらに美味いぞ」
煉太郎はカットされたレモンをフィーナ達に渡すと、自分の唐揚げに絞って掛けて見せて食べる。
フィーナ達も煉太郎に続いて唐揚げに絞ったレモン汁を掛けて一口。
「「おおー!」」
爽やかな酸味のあるレモンの果汁とタレが染み込んだ濃厚な唐揚げの肉汁が合わさり、唐揚げはさらに美味い味を生み出す。先程よりさっぱりとしており、断然食べやすくなっている。
「森の外にいる人達はこんな美味しい料理を毎日食べられるんですね。羨ましいです」
「街に行けばこんなに美味しい料理がたくさんあるよ」
「本当ですか!」
フィーナの言葉にまるで子供のように目を爛々と輝かせるセレン。
「もっと森の外について教えてください!」
夕食を食べ終えた後、煉太郎達は夜遅くまで森の外の世界について話し合い、一晩をセレンの家で過ごすのだった。




