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落ちこぼれと呼ばれた超越者  作者: 四季崎弥真斗
2章 創世樹の森
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チンピラ冒険者

 フィーナの一時間にも及ぶ長い問い詰めの後、一通り店を見て回ってそろそろ調合屋に向かおうかと思っていると、煉太郎は不意にフィーナの手を掴んでそのまま路地裏へと進む。


 「どうしたの、レンタロウ?」


 突然の行動に思わず首を傾げるフィーナ。


 「誰かに付けられている……」


 「――ッ!」


 煉太郎の言葉にフィーナは思わず息を呑む。


 人目がつかない場所まで進むと、煉太郎は歩を止める。


 「おい、そろそろ出て来たらどうなんだ……?」


 そう煉太郎が言うと、いかにもチンピラのような格好をした冒険者が現れる。


 チンピラ冒険者の顔には見覚えがあった。『月夜の酒場』で酒を飲んでいた男の1人だ。


 「へえ、俺様の気配に気がつくか……。いつからだ?」


 「最初からだよ」


 このチンピラ冒険者は煉太郎達が『月夜の酒場』から出てからずっと尾行していた。


 せっかくの観光だからフィーナには黙っていたのだが、いい加減鬱陶しいのでこうして出てきてもらったのだ。


 「それで俺達に何の用だ?」


 「なーに、お前が地下の裏組織に通じる倉庫から出てきたのを見かけたんで大金を持っていると思たんだよ。それにお前の肩に乗っているモンスター……。それって『幸運の獣』と言われているカーバンクルだろ?」


 煉太郎の肩のクルに視線を向け、不気味に笑うチンピラ冒険者。どうやらカーバンクルであるクルの価値を理解しているらしい。


 「おい、お前達も出て来いよ」


 チンピラ冒険者が手を上げると、彼同様チンピラの屈強な男4人がぞろぞろと物陰から現れる。


 チンピラ冒険者達は二ヤリと欲望に塗れた笑みを浮かべると、それぞれの武器を取り出して煉太郎達に向ける。


 「おいガキ、命が惜しければ金とそのカーバンクルを寄越しな!」


 「カーバンクルを売れば、俺達は一生遊んで暮らせるぜ!」


 「俺は金よりもそっちの女がいいな!」


 「こんな上物の女はなかなかいないからな~!」


 「俺達が可愛がってやるからよ!」


 チンピラ冒険者達はクルだけでなく、フィーナにまで目をつけてきた。フィーナを見つめる視線はいかにも嫌らしいものだった。


 「レンタロウ……」


 卑猥な視線を向けられてフィーナは心底気持ちが悪いと言った感じで煉太郎の後ろに隠れてしまう。


 煉太郎も心底面倒臭いと言う感じで溜め息を吐く。


 そして煉太郎は頭をガリガリと掻きながらチンピラ冒険者に近寄る。


 「おいおい、まさかガキのお前が俺様達を相手にしようと思っているのか? 俺様達はこれでもランク――」


 パァン!


 「――がっ!?」


 チンピラ冒険者がセリフを言い終えるよりも先に、煉太郎が取り出したタスラムの銃弾が先に脳天を貫き、訳が分からぬままチンピラ冒険者はこの世を去ってしまう。


 「……話が長い」


 煉太郎が倒れているチンピラ冒険者の死体に視線を向けながら呟く。


 「お前、よくも――がっ!」


 「お、おい――ぎゃあああっ!」


 「に、逃げ――がっ!」


 「た、助け――ぎゃあああっ!」


 チンピラ冒険者に続き、残りの冒険者達はカルンウェナンで首を刎ねる煉太郎。


 命乞いをしようとも、敵には一切の容赦をしない。それが煉太郎ののスタンスだ。それが自身の恋人を不快にさせる相手なら尚更だ。


 「これはこれは……」


 突然の声。


 煉太郎は反射的にタスラムの銃口を声の方に向けると、そこには黒装束を纏った男達がいた。


 「待ってください!? 私達は貴方の敵ではありません! 私達はボスの命令でこの者達を回収しに来た者です!」


 両手を上げて敵意がないと言いたげの黒装束の男。どうやらこの黒装束の男達はゴルザンの部下のようだ。


 「ゴルザンの命令と言うことは、そこのチンピラ冒険者はやはり裏組織の者か?」


 「はい。我が組織の構成員――と言っても下っ端の構成員なんですがね……」


 「お前達のボスとは正当な商談で金を受け取ったはずだ。それに今後俺達とは関わらないと言っていたはずなんだが?」


 煉太郎との約束を破ったと判断したのか、煉太郎は怒りと同時に殺気を放つ。


 煉太郎の殺気に当てられて黒装束の男は僅かに震えながらも口を開く。


 「この大馬鹿達とんだ御無礼を致しました。ですが今回の一件はこの男達の独断で動いていることなのでボスとは全く関係ございません。どうか怒りを沈めては貰えないでしょうか?」


 黒装束の男の必死の説得に煉太郎は殺気を弱め、タスラムを懐に戻す。


 「部下の失態を事前に防げないとは上司失格だぞ?」


 「仰る通りです。これはほんのお詫びです。受け取ってください」


 黒装束の男は煉太郎に白金貨数枚が入った袋を渡す。どうやらこれで今回の件を許して貰おうとしているようだ。煉太郎を敵に回すぐらいなら白金貨数枚なんて惜しくはないとボスは判断したのだろう。


 「次はないぞ?」


 「はい。では失礼します」


 黒装束の男達はチンピラ冒険者の死体を担ぐと、そのまま路地裏の闇へと姿を消してしまった。

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