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落ちこぼれと呼ばれた超越者  作者: 四季崎弥真斗
2章 創世樹の森
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廃坑

 アルバ村に戻った煉太郎達はドーンの鍛冶屋へと向かった。


 一刻も早く討伐したマウンテンワームを持っていきたかったからだ。


 「親父、戻ったぞ」


 「ただいま」


 「クルルル!」


 「おう、遅かったな。何かあったのか?」


 煉太郎達の実力なら大抵のことは大丈夫だろうとドーンは思っているが、予想以上に帰りが遅かったのでちょっと心配していた。


 「悪いな。ちょっと盗賊達のアジトを潰してたら遅くなった」


 「はぁ……、帰りが遅いと思っていたがまさか盗賊団のアジトを潰しているとはな……」


 ドーンは大きく溜め息を吐いた。心配していて損したと思ったのだ。


 「それで、そのモンスターは何だ?」


 フィーナの肩に乗っかっているクルが気になっている様子のドーン。


 「こいつはクル。カーバンクルだ。盗賊達のアジトに捕まっていたところを俺達が保護した」


 「ほう、こいつがカーバンクルか。俺も見るのは初めてだな……」


 まじまじとクルを見つめるドーン。正確に言えば見ているのはクルの額に埋め込まれている赤い宝石だ。


 カーバンクルの赤い宝石は非常に稀少で滅多なことでは市場に出回らない程の高価な代物だ。強力なマジックアイテムを造るのに最高品質の素材にドワーフの血が騒いでいるのだろう。


 「クルちゃんをそんな目で見ないで……」


 静かな声音で冷めた視線をドーンに向けるフィーナ。


 いつも穏和なフィーナがここまで冷めた視線を向けるのは珍しかった。


 手懐けてまだ数時間しか経っていないが、フィーナは相当クルのことを可愛がっていた。なのでクルに邪な視線を向けるドーンに若干だが不快な気分になっているようだ。


 フィーナの冷めた視線に思わず後退り、「コホン」と1つ咳払いすると、ドーンは話題を変える。


 「それで肝心のマウンテンワームはちゃんと討伐してきたんだろうな?」


 「ああ、もちろんだ」


 裏庭に移動して討伐したマウンテンワーム5匹を出してドーンに見せる煉太郎。


 「これでタイヤを造ることが出来るな。残りの素材も集める必要があるな」


 「そうだな。明日は俺と一緒に廃坑へ行ってもらうぞ、お前達」


 「廃坑に?」


 「そうだ、魔石を採掘しに行くぞ」



 ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★



 翌日。


 「ここが廃坑だ」


 煉太郎達はドーンに連れられて村外れの廃坑に訪れていた。


 人の手が入らない山の近く、雑草が生えている道の先にその廃坑はあった。


 入口には数本のツルハシやトロッコなどの作業道具が放置され、捨てられている。


 元々この廃坑は魔石という特殊な鉱物が採掘される場所として有名な鉱山だったのだが、多くの危険モンスター達が住み着いてしまい魔石を採掘することが困難になったことで、今では誰も手を出すことが出来ない廃坑になってしまったのだ。


 魔石とはマジックアイテムに良く使われる特殊な鉱物で、魔力を吸収して蓄え、それをエネルギーに変換して放出する性質を持つ。


この魔石が魔動ジープのエンジンとしての機能を果たすことになっている。


 今回はその魔石の採掘が目的だ。


 「この廃坑には危険なモンスターが住み着いている。護衛は頼むぞ」


 ドーンに先頭に煉太郎達は廃坑を進んでいく。


 内部にも作業道具がたくさん散乱されており、中には白骨化した人の亡骸もあった。装備品を見てみると、どうやら冒険者のようだ。


 恐らくだが魔石を求めて採掘に来たはいいが、逆にモンスターに返り討ちにあってしまったのだろう。


 煉太郎達は警戒しながら廃坑を進むこと約10分。


 「止まれ……」


 先頭を歩いているドーンがそっと手を伸ばして一同の歩みを止める。


 「どうした?」


 通路の暗がりの向こうから人影が煉太郎の視界に入る。


 石で出来た身体。大きさで考えれば身長は3メートル程。姿は一応人型と言っていいのだろうが、大雑把な人型でしかない。右腕は大きく、左腕動きは小さく、動きが非常に遅い。


 「あれはもしかして、ゴーレムか?」


 「ああ。ストーンゴーレムだな」


 『ストーンゴーレム』


 ランクCの無生物型モンスター。


 空気中の魔力を吸収してモンスター化した石で、動きは遅いが非常に頑丈に出来ている。


 身体の石は建築素材として高く売れる。


 「丁度良い。あいつを討伐してくれ。あいつの素材で魔動ジープに使用するガラスを作る」


 ストーンゴーレムの石は魔力を帯びているので普通の石に比べては強度が高い。その石を細かく砕いて砂状にして1000度以上の高熱で熱すれば非常に品質の良いガラスを造ることが出来る。普通のガラスよりも強度が高いので防弾ガラスとしての役割を充分果たせるだろう。


 「んじゃ、さっさと片付けるか」


 煉太郎はカルンウェナンを異空間から取り出すと、ストーンゴーレムに目掛けて駆け出す。


 狙いは頭部。カルンウェナンの刃が一閃するとストーンゴーレムの頭部が刎ねられる。


 しかし、切断された頭部はガタガタと音を立てながら揺れると、宙に浮いて元の位置へと戻る。


 「何だと?」


 異常な光景に眉を顰める煉太郎。


 ストーンゴーレムは煉太郎に反撃しようとして大きな右腕を振り上げて、そのまま勢いよく降り下ろす。


 「――チッ」


 舌打ちしながら後方に跳んで、ストーンゴーレムの攻撃を避ける煉太郎。


 続いてストーンゴーレムは身体の一部の大石を手にし、そのまま煉太郎に目掛けて投げる。


 このまま大石を避ければ、フィーナ達に当たるので懐からタスラムを抜くと、引き金を引いた。


 ドパンッ!


 タスラムの銃弾が大石を粉砕する。しかし、バラバラになった大石は再びストーンゴーレムの身体に張り付いてその身体を修復してしまう。


 「ゴーレム型のモンスターは核を破壊しない限り動き続けるぞ! 核を見つけ出せ!」


 ドーンによれば、ゴーレムと言うのは身体のどこかに心臓とも言える核を隠しており、それを破壊しないと討伐することはできない。しかも核の場所は個体によってそれぞれ違うので見つけ出すのは非常に困難であった。


 「だったら、徹底的に粉々にしてやるよ……」


 煉太郎は銃口をストーンゴーレムに向けると――


 ドパン! ドパン! ドパン! ドパン! ドパン! ドパン!


 連続でタスラムの引き金を引いた。すると、放たれる無数の銃弾がストーンゴーレムの身体を徐々に粉砕していき、弱点の核が露になる。


 核はまるで心臓が鼓動しているかのように赤く点滅していた。


 「これでチェックメイトだ」


 核に向けて銃弾を発砲する煉太郎。


 銃弾が核を破壊すると、残されたストーンゴーレムの身体は動きをピタリと止め、その身体をガラガラと音を立てて崩れさせて動かなくなってしまう。


 「ランクCのストーンゴーレムをこうもあっさりと……。相変わらずの化け物じみた実力だな……」


 もう動かないストーンゴーレムを見つめて呟くドーン。


 そんなドーンを無視してストーンゴーレムの石を異空間に収納する煉太郎。


 「さあ、行こうぜ」


 何事もなかったかのように煉太郎達は先に進むのだった。

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