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落ちこぼれと呼ばれた超越者  作者: 四季崎弥真斗
2章 創世樹の森
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盗賊

 討伐したマウンテンワーム4匹を異空間に収納した後、アルバ村に向けて下山する煉太郎達。


 その途中で――


 「誰か、誰か助けてくれー!」


 突如、助けを呼ぶ声が聞こえて歩みを止める煉太郎達。


 どうやら煉太郎達以外にもこの山に訪問者が来ているようだ。


 「レンタロウ、今の聞こえた?」


 「ああ、行くぞ」


 煉太郎達は声が聞こえた場所まで向かうと、冒険者らしき男がマウンテンワームに襲われていた。


 「シャー!」


 「ひいっ! もうダメだ!」


 大口を開けて喰らおうとするマウンテンワームに男は身を竦める。


 煉太郎はタスラムの銃口をマウンテンワームに向けて銃弾を発砲する。


 ドパンッ!


 マウンテンワームは頭部を粉砕されてそのまま絶命する。


 「おい、無事か?」


 煉太郎が尋ねると、唖然としていた男が我に返ったのか何度も頭を下げて礼を述べる。


 「あ、ありがとう! お陰で助かったよ!」


 男によると、冒険者の仕事で薬草を採取するためにこの山に立ち寄ったのだが、その最中にマウンテンワームに襲われていたようだ。


 男は煉太郎達がアルバ村に向かうことを知ると、自分も同行させて欲しいと提案。その分の報酬も支払うと言うので、煉太郎達はそれを承諾することにした。


 煉太郎達を先頭に男はその後を付いていく。


 しかし、男は嘘をついていた。


 (ひひひ、騙されていやがる! 俺が盗賊と知らずにな……!)


 そう、男は冒険者ではない。彼の本職は『双頭の犬』と言う盗賊団の一員だったのだ。


 周辺の村の娘を拉致しようと山を下る最中にマウンテンワームと遭遇し、襲われそうになっていたところを煉太郎達に助けられたと言うのが真実であった。


 (マウンテンワームに襲われた時は正直ヤバかったが、まさかこんなところで上玉の女を見つけられるとは、俺も運が良いな……)


 男は下卑な笑みを浮かべて舐めるような視線をフィーナに向ける。


 フィーナは誰もが振り返るほどの美貌を持つ美少女だ。それほどの少女をアジトに連れて帰れば頭領はきっと大満足するはずだろう。


 (女を拉致するにはまず男の方を殺すべきだな……)


 マウンテンワームを一撃で屠るほどの実力がある煉太郎を男は決して侮っていなかった。


 だが今は、完全に油断しているので奇襲をすれば充分に勝機はあると思っているようだ。


 男は不適に笑みを浮かべると、煉太郎達に気づかれないように腰のショートソードを抜き取る。


 (死にやがれ……!)


 男がショートソードを煉太郎に降り下ろそうとした時――


 「……え?」


 ショートソードを持っていたはずの男の手が鮮血を迸らせながら宙に舞う。


 男の攻撃よりも先に煉太郎がカルンウェナンで彼の手首を切断したのだ。


 「ぎゃああああああああ! お、俺の手が、俺の手がぁぁぁっ!」


 自分が攻撃を受けたことが信じられなかったのだろう。呆けたような声を出しつつも、時間が経過してから襲ってくる激痛に、地面を転げ回りながら喚く。


 「残念だったな」


 カルンウェナンを器用に扱いながら煉太郎は地面に這いつくばる男を見下ろす。その表情は酷く冷めきっている。


 「お、お前……俺の奇襲に、気がついていたのか……!」


 「生憎、俺はそう言った気配には敏感なんでな……」


 煉太郎は他人の視線には敏感だった。


 地球にいた頃から周囲の嫌な視線を受けっぱなしで得た一種の特技のようなものだ。『ラディアス』に召喚されてからは特に人の敵意や殺意などと言った視線に敏感になっていた。


 盗賊団がこの山を根城にしていることは事前にドーンから聞いて知っていたし、男が煉太郎に放つ嫌な気配はマウンテンワームから助けた時から気がついていたのでいつでも奇襲が来ても良いように警戒は充分にしておいた。


 案の定、男は煉太郎達に奇襲仕掛けようとして、見事に反撃されると言う結果で終わった。


 「さて、どう落とし前をつけさせようかな……」


 呟き、煉太郎は殺意を放ちながら男に近寄る。


 「ひいっ! 来るな、来るなぁ! 嫌だ、まだ死にたくねえよ!」


 男は煉太郎から発せられる凄まじい殺気に身体を震わせ、顔を恐怖に歪ませ、命乞いをしながら後退る。


 「ま、待ってくれ! 何でもするから、何でも話すから助けてくれ!」


 男は煉太郎が何も聞いていないのに次々と喋りだす。


 自分が『双頭の犬』という盗賊団に所属していること、アジトが山奥の崖下にあること、盗賊団員の人数、盗んで集めた宝、拐った女と子供は奴隷として商人に売ったことなど、知っていることを洗いざらい話した。


 「知ってることは全部話したぞ……。だから助けてくれるよな?」


 「別に俺は話せとは言っていない。それにお前は助けを求める女と子供をどうした?」


 「お、俺は好きでやってたわけじゃないんだよ! 頭領に指示されただけだ!」


 「せっかく助けてやった言うのにお前は俺に恩を仇で返すような真似をしたよな? 俺を殺してフィーナを拉致しようと考えていたんだろ? 俺は敵意を向ける奴や恩を仇で返すような奴、フィーナに手を出す奴には容赦はしなし、するつもりは毛頭ない。それが誰であろうとな」


 「ち、ちくしょう!」


 どう足掻いても煉太郎は自分を見逃してくれないと判断したのか、男は逃走を図ろうとする。


 しかし――


 ドパンッ!


 逃げようとする男の頭部を銃弾が貫通し、そのまま倒れる。


 「これで盗賊のアジトがある場所は分かったね。どうするの、レンタロウ?」


 「もちろん行くさ。盗賊達が溜め込んでいる宝も気になるしな」


 旅をするには資金が必要不可欠だ。盗賊達が集めた宝は旅の資金として使おうと考えているのだ。


 煉太郎達は男の死体から使えそうな物を剥ぎ取ると、教えられた盗賊のアジトへと向かうのだった。


 ちなみに残された男の死体はモンスター達によって跡形もなく喰われることになる。

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