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落ちこぼれと呼ばれた超越者  作者: 四季崎弥真斗
1章 超越の始まり
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ドワーフ

 チュン、チュン、チュン……。


 「ん、んん~……」


 鳥の囀りで目を覚ますフィーナ。


 窓から差し込む陽光が顔を照らし、朝であることを知らせる。


 寝ぼけた眼を凝らしながら起き上がって隣のベットに視線を移すと、そこには寝転がりながら書物を読んでいる煉太郎の姿があった。


 「ん、起きたのかフィーナ?」


 「おはようレンタロウ。ずっと起きてたの?」


 「いや、少し寝た。この身体はあまり睡眠が必要ないせいか、目が冴えてな。暇潰しに本でも読んでた」


 マーディンの実験による影響のせいか、煉太郎は睡眠を殆ど必要としなくなってしまった。どれだけ疲れていても1日に1、2時間程度眠るだけで十分なので、時間を潰すには読書が1番だった。


 煉太郎は読みかけの本を閉じ、ベットから降りる。


 「さて、フィーナも起きたことだし、少し早いが朝食にしようか」


 「うん、お腹空いちゃった」


 寝間着から私服に着替えて一階の食堂に向かう煉太郎とフィーナ。


 どうやら煉太郎達が一番乗りらしく、食堂にには客が1人もいない。女将が厨房で朝食の準備をしている。


 「おはようございます。もうすぐ朝食が出来ますので少々お待ち下さい」


 煉太郎達は席に着いて朝食が出来るのを待つ。


 暫くすると、女将が朝食の料理を持ってきた。


 「お待たせしました。今日の朝食はノロウシの牛乳、バターロール、ベーコンエッグ、特製スープです。フィーナさんの方はサービスで大盛りににしておきました」


 「美味そうだ」


 「ありがとう女将さん! いただきます!」


 朝食を食べ始める煉太郎達。昨日の夕食と同様に凝った料理の味に満足する。


 「そう言えば、お二人はどうしてこの村にいらっしゃったんですか? やはり、ドーンさんにお会いしに来たんですか?」


 「ドーン? 誰だそいつ?」


 知らない人物の名に首を傾げる煉太郎。


 「あら。ドーンさんを知りませんか? てっきりドーンさんに武器や防具を作って貰う為にわざわざこんな辺境の村に来てくれたのかと……」


 煉太郎がドーンと言う人物を知らないことに少し驚いた顔をする女将。


 「いや、俺達は食料品などを調達する為にこの村を訪れただけなんでな。それで、そのドーンとはいったい誰なんだ?」


 「ドーンさんはアルバ村の外れに住んでいるドワーフの鍛冶師です。このエルバナ公国に唯一滞在するドワーフで鍛冶師としての技量は超一流。多くの冒険者や兵士の方がドーンさんの武器目当てでこのアルバ村に立ち寄るんです」


 「ほう。ドワーフがこんな所にいるのは珍しいな」


 ドワーフは本来、シュバーン大陸のガルアス鉱山国に住む種族。しかもあまり他国に住むことを好まない頑固な種族でもある。


 そんなドワーフが何故、遠く離れた大陸の辺境の村に住み着いているのか。


 女将の話によると、ドーンは数十年前まで冒険者として世界各地を旅して回っていたようだ。


 しかし、強力なモンスターとの戦闘で瀕死の重傷を負うことになる。


 そんな重傷をおったドーンをアルバ村の住人は親切に介抱して、なんとか一命を取りとめたようだが、冒険者としての活動が出来なくなってしまった。


 ドーンは村人に恩返しがしたいと考え、村おこしの為にこのアルバ村に住み着いたようだ。


 「アルバ村は辺境にある村ですから、旅人があまり立ち寄らなかったんですがドーンさんのお陰で今では多くの旅人が来るようになりました。本当にドーンさんには感謝しています」


 「ドワーフ……」


 顎に指を当てて何やら考え事をしている煉太郎。


 (超一流の技量を持つドワーフか……。そいつならあの武器を造り出すことが出来るかもしれないな……)


 煉太郎の脳裏に浮かぶ武器。


 「よし、買出しが済んだらそのドーンに会いに行こう」



 ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆



 朝食を食べ終え、旅に必要な食料と道具を購入すると、女将から教えて貰った村はずれにあるドーンの鍛冶屋へと向かう煉太郎達。


 「あれがドーンの武器屋か」


 煙突付きの一階建ての建物が見えてきた。


 「おお」


 「武器や防具がたくさんあるね」


 窓から店内を覗き見見すると壁には剣や槍が、弓などの武器が掛けられており、まさしく鍛冶屋と言った内装。


 他にも盾や鎧、冒険に必要な装備が一式取り扱っている様子だ。


 「いらっしゃい」


 店に入ると右足は義足で小柄の禿げた男がカウンターに立っていた。


 歳は六十代ぐらいだろうか。身長は百四十センチ程度だが筋骨隆々な屈強な肉体。もじゃもじゃの髭。間違いなくドワーフだ。


 「爺さんがドーンか?」


 「誰が爺さんだ! 俺はまだ四十代だぞ!」


 爺さんと呼ばれて顔を真っ赤にして激怒するドーン。


 どうにか落ち着かせて、親父で許して貰った。


 「それで、どんな武器が欲しいんだ?」


 「親父には造って貰いたい武器があるんだ」


 「造って貰いたい武器だと?」


 「ああ。ちょっとこれを見てくれ」


 煉太郎は異空間からタブレットかを取り出す。電波がないので通話は不可能だが、保存しておいたデータを見ることなどは出来る。


 「何だこれは? マジックアイテムか?」


 「まあ、似たような物だ」


 そう言って、煉太郎はタブレットの電源を入れる。


 「おお! 急に絵が映し出されたぞ!? これは絵を映し出すマジックアイテムか!? どんな構造になっているんだ!?」


 初めて目にするタブレットに興味津々のドーン。


 「親父に造って貰いたい武器はこれだ」


 煉太郎は武器の構造が描かれている設計図のデータをドーンに見せる。


 「何だこの武器は?」


 「こいつは拳銃と言う武器だ。簡単に言えば大砲の小型版といった感じだ」


 煉太郎がドーンに見せたのは拳銃デザートイーグルの設計図。以前銃マニアの友人にラノベ小説を書く為の資料として貰った物だ。


 煉太郎がオルバーン王国にいた頃、自分の弱さを不甲斐なく思った彼は弱さを補う為に城下町の武器屋に拳銃を造ってくれるように依頼したのだが、独特な形状の部品はこの世界の技術では造ることが困難で、ドワーフが持つ『錬金』という技術でしか造れないと言われて諦めたのだが……。


 「ドワーフのあんたにしかこの拳銃は造れない。頼む、この銃を造ってくれ!」

 今年中には一章を終わらせるように頑張って投稿しようと思います。

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