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落ちこぼれと呼ばれた超越者  作者: 四季崎弥真斗
1章 超越の始まり
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アルバ村

 途中で煉太郎達はレッドモンキー(ランクDの猿型モンスター。人間の大人程の大きさで全身が赤い毛で覆われれいる。雑食で非常に好戦的)、テツグモ(ランクDの蜘蛛型モンスター。鋼鉄並みの強度を誇る糸を出して罠を作り、獲物を捕らえて捕食する)、アームベアー(ランクCの熊型モンスター。四本の腕と鋭い爪と牙で、テリトリーに侵入する者を襲う)、マダラスネーク(ランクCの蛇型モンスター。牙には猛毒が分泌され、弱った獲物を丸のみにして捕食する)などに遭遇するも、圧倒的な実力で蹴散らしながら移動を続ける。


 そして――


 「レンタロウ、あれ」


 「ああ。出口だ」


 覆い茂っていた木が途中で途切れているのが視界に入った。


 森を出ると、見渡す限りの草原が広がっていた。ここを真っ直ぐ進めばアルバ村がある。


 「このまま一気にアルバ村に向かう。しっかり掴まっていろよ、フィーナ」


 「うん!」


 アルバ村に向けて猛スピードで草原を駆ける抜ける煉太郎。


 数時間程走り、そろそろ日が暮れるという頃、前方に村が見えた。


 「あれがアルバ村か」


 「やっと着いたね」


 ようやく村に着いて、安堵の息を吐く煉太郎とフィーナ。


 きゅうううう~。


 可愛らしい腹の音。


 「お腹空いた……」


 「村に着いたら宿探しだ。そこでたらふく飯を食べさせてやるよ」


 「やった!」


 大はしゃぎするフィーナ。


 村に入ると、一人の老婆が煉太郎達に話しかけてきた。


 「おやおや、見かけない顔だね。旅人かい?」


 「ああ」


 「そうかいそうかい。ようこそアルバ村へ。辺境の小さな村だけどゆっくり身体を休めるといいよ」


 「お婆ちゃん、この村に宿はない? もうお腹が空いちゃって……」


 「それならあそこの建物がこの村唯一の宿屋、『辺境の夕暮れ亭』だよ」


 老婆が視線を向けた先には、『辺境の夕暮れ亭』と書かれた看板が付いた青い屋根の2階建て建築物があった。


 老婆によると、1階は酒場兼食堂になっていて、2階が宿屋になっているようだ。


 「あそこの女将が作る料理は絶品だからね。きっと満足するはずだよ」


 「絶品……!」


 絶品の料理と聞いて目を輝かせるフィーナ。


 「レンタロウ、早く行こう!」


 「分かった、分かったからそう引っ張るな」


 強引に煉太郎の腕を引っ張りながら宿屋に向かうフィーナ。


 ギィッ、と扉を開くと、もう夕暮れだからだろうか、数人の客が酒を飲んだり、食事をしている。


 「どうもいらっしゃいませ。私はここの女将をしている者です。それで今日はお食事ですか? それとも宿泊でしょうか?」


 宿屋に入った煉太郎をふくよかな体型の女性が声を掛けてきた。


 「両方だ。2人部屋を頼む。食事は直ぐにでも用意してくれ」


 「はい、ありがとうございます。宿泊料金は前払いになっています。朝と昼と夜の食事付きで1泊銀貨5枚になります。お2人ですから銀貨10枚、金貨1枚でも構いません」


 「分かった。取り敢えず今日の分を払っておこう」


 懐から袋を出して金貨を1枚女将に手渡した。


 「確かに。では、料理を運びますのでお好きな席に座ってお待ちください」


 女将に言われて空いている窓際の席に着く煉太郎達。


 「お待たせしました。今夜のメニューは胡桃を混ぜたパン、特別ソースを掛けたサラダ、ノロウシの乳で作ったシチュー、デザートは冷たく冷やしたフウラの実です。お酒をお飲みになりたい時は別料金となります」


 机の上に置かれた料理に煉太郎達はごくりと唾を飲み込む。


 まずは胡桃を混ぜたパンから。


 焼きたてだからだろうか、香ばしい匂いが鼻を擽る。


 パンを千切って口に入れると、生地はまるで餅のようで、胡桃が混ぜ込まれている為、歯ごたえのある食感があった。


 次はサラダ。


 サラダに至っては普通だが、その上にさらさらとした茶色いソースが掛けられている。試しにソースだけ口にする。


 まるでドレッシングのような味わい。生野菜に非常に合うソースだった。


 次はメイン料理のシチュー。


 汁を掬い上げて口に運ぶ。


 「美味い……!」


 ほのかに甘みを帯びた柔らかな味。


 「確かノロウシの乳で出来ているんだよな」


 『ノロウシ』


 ランクGの牛型モンスター。


 穏便な性格で争いを好まない大人しいモンスターで主に家畜として飼育されている。


 乳は非常に栄養が豊富で美味である。


 「肉も柔らかい」


 良く煮込まれいるからか、噛み締めた途端に肉の旨みが口の中に広がる。野菜も歯を立てるととろけるように崩れる程柔らかい。


 最後は冷やしたフウラの実。


 糖分が高く柑橘類のような酸味があるフウラの実。それが冷えているせいか、より強く甘みを感じられた。


 「確かに絶品だな」


 「うん! どれも凄く美味しいよ!」


 どの料理も文句のつけようがない程の美味しさに顔が綻ぶ煉太郎達。


 「あらあら、嬉しいことを言ってくれますね」


 思わず口から出た言葉に丁度横を通った女将が嬉しそうに笑みを浮かべる。


 「うちの宿は料金が高いんですが、その分料理には力を入れていますので」


 (これ程の料理が朝食、昼食、夕食付いて一日の宿泊料が銀貨5枚――日本円にすると5000円か。十分安いと思うんだが、そこはやはり地球と異世界との差なのだろうか?)


 「女将さん、おかわりください!」


 あっという間に料理を平らげたフィーナはおかわりを女将に要求する。


 「料理の追加は別料金になりますが、構いませんか?」


 「ああ、構わない。好きなだけ食べさせてやってくれ」


 「分かりました。それでは追加の料理をお持ちしますので少々お待ちください」


 その後、煉太郎達は絶品料理を堪能するのだった。



 ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆



 「お腹が一杯でもう動けないよ……」


 2階の一番角にある部屋で満足そうにベットに腰掛けるフィーナ。


 「女将さん、凄い顔してたぞ」


 フィーナの底無しの胃袋に驚いた顔をする女将を思い出して思わず苦笑いする煉太郎。


 最後には食堂中の客が集まって驚く事態になった。


 「それにしても、辺境の村にある宿屋だと思っていたが、なかなか良い部屋だな。料理も美味かったしな」


 料金が高いというだけあって部屋の中は小奇麗にしており、ベットも布団も文句無しだった。


 さらにこの宿屋には風呂が設備されており、料金を支払って時間の予約をすれば入浴が可能になっている。


 「マーディンの研究施設に比べればかなり快適だな」


 不死鳥のローブを脱いでベットに腰掛ける煉太郎。


 マーディンの研究施設は研究だけに没頭出来る為だけの場所だったので、それ以外の設備はお世辞にも良いとは言えなかった。風呂なんてあるはずも無く、お湯を沸かして身体を拭くぐらいしか出来なかった。


 久しぶりのまともな部屋に気を緩める煉太郎。


 「レンタロウ、明日の予定は?」


 「取り敢えず買い出しだな。当分の食料と旅に必要な道具を調達しておきたいしな」


 「明日も忙しくなりそうだね」


 「そうだな。今日は早く休もう。疲れた」


 煉太郎達が疲れるのも無理も無い。あの人喰いの森のモンスター達との連戦、特に煉太郎は一日中走り続けていたのだ。疲れが出るのは当然のことだろう。


 コン、コン。


 扉をノックされ、扉を開けると、女将がいた。


 「失礼します。そろそろ予約された入浴の時間です」


 「分かった。わざわざすまないな」


 「では、ごゆっくり」


 そう言って女将は一階へと降りていった。


 「先にフィーナから入れ。俺は後からでいい」


 「レンタロウも一緒に入る?」


 「何でだよ。早く入れ」


 久しぶりの風呂に入ってゆっくり疲れを癒した煉太郎達は、部屋に用意された寝間着に着替えると、あっという間に眠りに着くのだった。

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