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落ちこぼれと呼ばれた超越者  作者: 四季崎弥真斗
1章 超越の始まり
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村に行こう

 「どうだフィーナ、何か役に立ちそうなものはあったか?」


 「ううん。どれも役に立ちそうにない本ばかりだよ」


 煉太郎の問い掛けにふるふると首を横に振るうフィーナ。


 「これが最後の本か……。どうやらこれも違うみたいだな……」


 煉太郎がフィーナを目覚めさせてから1ヶ月が経過した。


 二人は現在、マーディンの書斎で調べ物をしていた。


 書斎には優に100冊を超える書物があり、煉太郎達は直ぐにでもオルバーン王国に戻れる方法がないかと、全ての書物に目を通していた。


 しかし、あるのは実験に必要な知識がしるされたもの、種族やモンスターの特徴や性質が記されたもの、神々に関する神話が記されたものなどがあるだけで、帰還方法に関する書物はなかった。


 「これだけあればオルバーン王国に戻れる方法が記された書物があると思ったんだが、とんだ無駄骨だったな……」


 舌打ちをしながら髪をガリガリと掻く煉太郎。


 「だとしたら、地道にオルバーン王国へ向かうしかないね」


 「そうなるな。帰還方法がない以上ここに留まる理由はもうないな。よし、明日にはここを出て人のいる場所に向かうとしよう。確かこの森の付近に村があったはずだ」


 煉太郎はエルバナ公国の地図を机の上に拡げる。


 「あった。アルバ村か」


 人喰いの森から北東に少し離れた場所にあるアルバ村という小さな村に指を指す。


 「まずはこの村に向かう。今日はゆっくり身体を休めて明日に備えよう」


 「うん、お腹空いちゃった」


 頷いたフィーナと共に書斎を離れて食堂に向かう煉太郎。


 フィーナの要望で作ったオムレツを腹に入れ、夕食を終えた煉太郎達は一日中書斎で調べものをした疲れもあって寝室で眠りについたのだった。



 ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆



 翌朝。


 朝食をとり、準備を整えた煉太郎とフィーナが建物の外に出ると、周囲の確認する。


 建物の周辺には巨大な樹木が連なっている間から朝の清々しい光が差し込んでくる。


 周囲の空気も朝だからか非常に澄んでおり、森林浴をするなら持って来いの場所とも言えるだろう。


 「マーディンの手帳によればこの建物から半径100メートル程に特殊な結界が張られているようだ。その結界のお陰でこの建物には人やモンスターが近寄れないようになっているようだ」


 「じゃあ、その結界から一歩でも出ると……」


 「モンスターの巣窟になるな……」


 人喰いの森はエルバナ公国の辺境にある森でランクが低いモンスターも多いがそれ以上にランクCのモンスターが数多く生息する為、危険地帯とされている。


 理由は不明だがこの人喰いの森のモンスターは森の外に出ることは滅多にない為、進んでこの森に出向く者は少ない。


 マーディンがこの森に実験施設を建てたのもそれが理由である。


 「まずはこの結界のある場所まで行くぞ」


 「うん。分かった」


 煉太郎の言葉に頷くフィーナ。


 歩を進めて五分程のところで――


 「お、見えてきな」


 薄い膜のようなものが見えてきた。どうやらあれが結界のようだ。


 「これが結界か。何だか出るのに緊張するな……」


 この結界を越えれば危険なモンスターが出現することになる。それにここから先は煉太郎達にとって未知の世界とも言えるだろう。


 「だが、ここから出ないと食料のない俺達は餓死することになる。早く村に向かわないとな……」


 煉太郎が異空間に収納しておいた食料とマーディンの食堂にあった食料――合わせて一ヶ月分は残されていたはずの食料は先程の朝食で底を突いてしまったのだ。


 数ヵ月分の食料をたった1ヶ月で食い尽くしてしまったのは当然、煉太郎の隣にいるフィーナだった。


 「ごめんね、煉太郎……」


 申し訳なさそうに俯くフィーナに煉太郎はくすりと笑い、くしゃりとフィーナの頭を撫でる。


 「まあ、気にするなフィーナ。それよりも、そろそろ行くぞ。覚悟はいいな?」


 「うん!」


 改めて決意を固めた煉太郎とフィーナは、結界の外へと一歩踏み入れた。

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