特製オムレツ
勇者一行が異常トレントの討伐を終えていたその頃、煉太郎とフィーナは食堂を訪れていた。
フィーナが「お腹すいちゃった……」と言い出したのだ。
煉太郎は実験の影響で空腹というものがなくなってしまって気が付かなかったが、時刻は昼を過ぎていた。
1ヶ月前のバルロス迷宮での実戦訓練用意しておいたパンとスープはあるが、それだけでは物足りないだろうと考える煉太郎。
「仕方がない。何か適当に作るとするか」
煉太郎の両親と妹は仕事の都合で帰りが遅いことが多い。なので夕飯は殆ど煉太郎が作るのである程度の料理は作れるのだ。
厨房を見渡すと、一通りの調理器具や調味料等の食材はは揃っているので調理は可能のようだ。
「さて、何を作ろうか……」
厨房にあるまともに使えそうな食材は卵やニンニク、玉ねぎやトマト等といった野菜のみ。マーディンは食事にはあまり関心がなかったようだ。
(この食材なら、オムレツが作れるな。まずはトマトを使ったソースから作るとするか)
まず煉太郎は起用にニンニクと玉ねぎを細かく刻み、フライパンにオイルを引いて炒め始める。
(次はトマト)
トマトを包丁でサイコロ状になるようにして切り、フライパンに入れる。
沸騰するまで中火で、後は弱火で形が残らなくなるまで炊く。
(トマトソースが出来るまでの間にオムレツの方を作っておくか)
煉太郎は卵を割って溶いておくと、あらかじめ用意しておいた熱したおいたフライパンに目をやる。
(よし、フライパンも丁度いいな。ここでバターだ)
風味をよくするためにフライパンに少量のバターを入れ、溶け始めたら卵を入れて少しかき混ぜながら半熟になるまで焼く。
半熟状態までになった卵を奥に寄せて火から外し、フライパンの端を使って形を整える。
「ほいっと」
フライパンを皿に当てて、ひっくり返して乗せる。
「トマトソースも丁度良いタイミングで出来たな」
トマトソースをオムレツに掛ければ――煉太郎の特製オムレツが完成した。
後は異空間に収納しておいたバターをつけた焼きたてのパン、野菜の煮込みスープを取り出して皿に注ぐと、それらをフィーナが座って待っているテーブルに置く。
「美味しそう……!」
テーブルの上に置かれた料理に目を輝かせるフィーナ。特にオムレツを見つめている。
「レンタロウ、これは何?」
「オムレツだ」
「おむれつ……?」
「まあ、食べてみな」
スープンをフィーナに渡して、食べるように促す。
「うん」
渡されたスプーンでオムレツを掬うフィーナ。
すると、先程よりもバターの香りが強くなった。その香りが更にフィーナの食欲をそそらせ、ごくりと唾を飲み込む。
「いただきます」
ぱくり、と一口。
「ふわあぁぁぁぁぁぁぁぁ~!」
感嘆の声を上げるフィーナ。
とろとろの卵は下で溶けると口の中をするりと通り抜け、バターの香りが残る。 酸味のあるトマトソースが非常に絡み合う。
「美味しい!」
満足そうにオムレツを食べるフィーナ。五分も掛からずあっという間に皿にあるオムレツを平らげてしまう。
そして、パンとスープも綺麗に食べ終えると――
「オムレツおかわり!」
どうやらオムレツが気に入ったのか、おかわりを要求するフィーナ。
「はいはい」
煉太郎は肩を竦めると、再びオムレツを作り始めるのだった。
今回は料理を作るだけの話になってしまいましたが、このような話が時々あると思います。




