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落ちこぼれと呼ばれた超越者  作者: 四季崎弥真斗
1章 超越の始まり
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精神の異常

 「が、あ、がぁあああああああああああああああっ!?」


 煉太郎の絶叫が広間に響き渡る。傷口から尋常じゃない量の血が噴き出す。


 その顔は涙と鼻水などでベトベトに汚れている。


 「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い…‼」


 あまりの痛みに泣き叫ぶ煉太郎。


 「ニク……!」


 「ヒッ! 誰かぁ! 助けてくれぇえええええ!! モンスターに襲われているんだ!! このままじゃ殺される!! 誰でもいいから助けてくれぇえ……!! 誰か……助けてくれよ……」


 煉太郎の助けを呼ぶ声が広間に響く。


 しかし、助けは来なかった……。


 「ウルサイ、ゾ……シ、ネ……」


 そんな煉太郎に止めを刺そうと斧を掲げて、振り下ろそうとするオーガ。


 「グルアアアアアアアアアッ!!」


 「――ッ!?」


 咆哮を上げながらオーガに襲い掛かるサーベルベアー(稀少種)。


 自分の獲物をオーガに横取りされそうになって激怒したのだろう。


 「グオオオオオオオオオオッ!!」


 そんなサーベルベアー(稀少種)に雄叫びを上げてを迎え撃つオーガ。


 「グルルルルルルルルルルッ!」


 サーベルベアー(稀少種)がオーガの右腕に噛み付いた。鋭い二本の牙がオーガの肉に食い込み、メキメキと音を立てる。


 「ハナ、セ!」


 右腕を振って振り払おうとするオーガだが、サーベルベアー(稀少種)は離そうとしない。


 「オオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」


 「ガアアアアッ!!」


 いつまでも離そうとしないサーベルベアー(稀少種)に痺れを切らしたのか、オーガはサーベルベアー(稀少種)の頭部を掴み、強引に右腕から引き離すとそのまま地面に叩きつけた。


 「マズ、ハ……オマエ、ダ……!」


 更にオーガはサーベルベアー(稀少種)の腹部に向けて斧を振り下ろした。


 「ガァアアアアアアアアアッ!」


 その生涯で一度も感じたことのない強烈な痛みに悲鳴を上げるサーベルベアー(稀少種)。傷口からは大量の血が噴水のように噴き出している。


 「グルルルルルルル……」


 しかし、それでもサーベルベアー(稀少種)は生きており、足掻こうとしている。


 そんなサーベルベアー(稀少種)にオーガは再び斧を振り下ろす。


 「グガァァァァァァァァッ!」


 頭部を粉砕されて、ようやくサーベルベアー(稀少種)は絶命した。


 「エサ、ダ……!!」


 オーガはサーベルベアー(稀少種)が絶命したのを確認すると、嬉しそうにその死骸を引き裂きながらバリッ、ボリッ、グチャッ、と音を立てながら咀嚼し始める。


 (……俺は……死ぬのか……)


 壁に背をもたれさせるように座り込み、サーベルベアー(稀少種)を咀嚼しているオーガを見つめながら、煉太郎はそう思った。


 出血のせいだろう。意識が朦朧としていた。


 (どうしてこうなったんだ? 俺が、何をしたというんだ……? 何か悪いことでもしたのか……?)


 頭の中に疑問が巡る。


 (何で俺がこんな思いをしなければならないんだ……? 何が原因だ……? 俺は、何も悪くないはずだ……)


 徐々に煉太郎の精神に異常が現れ始める。


 (そうだ、俺は何も悪くない。悪いのは俺をここに置き去りにしたあのクズ共だ……)


 煉太郎は自分をこの広間に置き去りにした忌々しい生徒達の顔を思い浮かべる。


 (そうだ、全てあのクズ共のせいだ! あいつらがこんなことをしなければ、俺はこんな痛い思いをしなくて済んだんだ……!)


 煉太郎の心に何か暗く澱んだものが噴き上がった。それは少しずつ煉太郎の奥深く染めていく。


 憤怒、憎悪、怨嗟、悪意、敵意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意、殺意……。


 今まで感じたことのない負の感情が煉太郎の精神を侵食していく。


 (俺は死にたくない! 俺は生きて帰りたいんだ! そして俺をここに置き去りにしたクズ共に復讐してやる!)

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