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落ちこぼれと呼ばれた超越者  作者: 四季崎弥真斗
3章 漆黒の暗殺者
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剣鬼との再戦

 冒険者ギルドの裏口通って、冒険者ギルドが管理する訓練場に移動する煉太郎達。


 他の冒険者達も煉太郎とラウアの決闘に興味が湧き、ザーギィは決闘で煉太郎達が無茶をしない為の監視役として付いていく。


 暫く進むと、訓練場が見えてくる。


 訓練場と言っても、特に大仰な設備が整えられていると言う訳でもなく、学校のグラウンド程ある広い空間に柵を立てて囲っているだけで、雨除け用の屋根すらない状態だ。


 訓練場には冒険者が数人訓練に励んでおり、視線を煉太郎達に向ける。


 「ん? 何だあの集団は?」


 「おいおい、あれってもしかして『剣鬼』じゃねえか?」


 「ギルドマスターのザーギィをいるぞ……」


 訓練を中断して何事かと首を傾げる。


 そんな視線を無視し、煉太郎とラウアは訓練場の中央へと移動し、互いに向かい合う。


 「さあ、始めようかね。遠慮は無用だよ。アタシを殺すつもりで掛かって来な」


 背中の大剣を抜き、構えるラウア。その表情は早く煉太郎と闘いたいと言う気持ちが出ている。


 「ああ」


 煉太郎も異空間からカルンウェナンだけを取り出して構える。


 普段ならラウア程の実力者ならタスラムやヴェルシオンを使うところだが、これは煉太郎なりの配慮である。


 ラウアは煉太郎の実力を認めて決闘を挑んできた。それをチートなマジックアイテムで勝負するのは無粋だと思ったようだ。


 それに煉太郎自身、ラウアとは純粋に実力勝負と行きたかった。


 ラウアもそれを感じたのか何も言わずにただ、煉太郎を見つめる。


 「じゃあ、こっちから行くぞ!」


 その言葉と動じに煉太郎が地を蹴って間合いを詰めるが――


 「近づかせないよ!」


 短剣の煉太郎と大剣のラウア。接近戦においてリーチが長い大剣を得物にしているラウアが圧倒的に有利だった。


 それを知っている以上、ラウアは煉太郎を近寄らせず、自分の間合いで攻撃を仕掛け続ける。


 「だったら隙を作るまでだ」


 地面を蹴って、ラウアの顔に目掛けて砂を飛散させる。


 「――チッ!」


 辛うじて目に入ることは防いだラウア。だが、ほんの一瞬のであったが、煉太郎がラウアとの距離を縮めるめるには充分の隙だった。


 「はああああああぁっ!」


 魔力を流しながら振られるカルンウェナンの刃。


 「――くっ!」


 咄嗟に大剣を横薙ぎに一閃するラウア。


 キィンッ!


 甲高い音を立てつつ、弾かれるカルンウェナンと大剣。威力はラウアの方に分があったようで、煉太郎は弾き返される。


 「ほう、その大剣はマジックアイテムか……」


 「ああ、自慢の相棒だよ」


 カルンウェナンはオリハルコンで出来ており、魔力を流し込むことにより切れ味を向上させ、鉄を紙のように切断する。


そんなカルンウェナンでの一撃と打ち合って刃こぼれすらしないラウアの大剣に煉太郎は興味を抱く。


 「闘いの最中に余所見してるんじゃないよ!」


 ラウアの拳が煉太郎の腹部を抉り込むように放たれる。


 「ぐうっ!?」


 呻き声を上げつつ3メートル程吹き飛ばされる煉太郎。


衝撃を和らげるフェニックスローブを纏っていると言うのに衝撃が煉太郎の身体に叩き込まれるあたり、ラウアがどれ程の鍛練を積んできたのか理解できる。


 「やるな……」


 「レンタロウこそ……」


 互いの実力を改めて認識する煉太郎とラウア。


 (やっぱりアタシの目に狂いはなかったようだね……!)


 ラウアは喜びを感じていた。


 先程の一撃は確実に煉太郎を戦闘不能にするつもりで叩き込んだ一撃だった。フェニックスローブで衝撃を緩和したとしてもそれなりの衝撃は受けた筈。


それでも平然と立ち上がる煉太郎に思わず笑みが浮かんでしまう。


 それに――


 「乙女の顔に傷をつけることがどういう意味か理解出来てるんだろうね、レンタロウ?」


 ラウアの頬から血が滴り落ちる。ラウアの拳が腹部に直撃した瞬間、煉太郎は咄嗟にカルンウェナンを振るっていた。


 かすり傷程度で済んだが、後もう少し深ければラウアは重傷を負っていただろう。


 「乙女はこんな強烈な拳を打ち込んでこない」


 「はは、言えてるね!」


 笑いながらラウアは煉太郎の攻撃を防いで大剣を振るい、それを煉太郎は避けてカルンウェナンを振るう。


暫く煉太郎とラウアの激しい打ち合いが続いた。


 「凄ぇな……」


 煉太郎とラウアが繰り広げる決闘を眺めていた『守護の剣』の冒険者の1人が思わずと言った感じで呟くと、他のメンバーも頷いた。


 いつも間にか訓練場の周りには観客が増えており、食い入るように煉太郎とラウアの決闘を観戦していた。


 打ち合い続けること10分。


 「大した体力だなラウア。けど、もうそろそろ限界じゃないのか?」


 見た目に変化はないが、僅かに震えている腕と足、小刻みに乱れている呼吸を見てラウアの体力は限界に近づいていることを表している。


 それに対して煉太郎の体力はまだ余裕が残っている。


このまま持久戦に持ち込められればラウアの敗北は目に見えている。


 「悔しいけど、アタシの体力はもう限界が近いようだ。次が最後の一撃になるだろうね」


 「来いよ、お前の全力を見せてみろ」


 煉太郎は一気に加速してラウアとの間合いを詰める。


 「ああ見せて上げるよ!」


 煉太郎を迎え撃つべく、大剣を構えるラウア。


 そして――


 「はあああああああぁっ!!」


 渾身の力で大剣を降り下ろす。


 ドオンッ!


 まるで地割れが起きたかのように地面が割れる。降り下ろした大剣が地面へ刺さるとその衝撃で砂塵が舞い、地面を砕き、揺らす。


 直撃すれば間違いなく肉塊となる即死の一撃。並の冒険者なら避けることは不可能。


 だが――


 「惜しかったな……」


 ラウアの背後から煉太郎の声。振り向こうとした瞬間にはカルンウェナンの刃がピタリとラウアの首筋へと向けられる。


 「…………………………」


 完全な決着。


誰の目にも勝敗は明らかだ。


 ラウアは軽く笑みを浮かべると、大剣を手放して崩れるように地面へと座り込む。


 「……アタシの負けだよ」


 敗北を受け入れるラウア。だがその表情は、まるで悔しさを感じさせない。寧ろ喜んでいるかのようだった。

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