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落ちこぼれと呼ばれた超越者  作者: 四季崎弥真斗
3章 漆黒の暗殺者
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常闇の団

今年最後の投稿です。

 見知らぬ少年達の姿に動揺する盗賊達。


 「な、何だ、何なんだてめぇらは!?」


 「見ての通り、お前達の敵だ」


 「見かけねえ顔だな。どうしてこのアジトが分かったんだ?」


 ダイスの問いに煉太郎は呆れたように肩を竦める。


 「敵のお前に説明する必要はない。俺達は商人達を救出して帰るだけだ」


 「ふざけやがって……このダイス様の邪魔をするたぁ良い度胸じゃねえか」


 「親分、どうしますか?」


 「あん? そんなの決まってるだろうが。こいつらを始末して計画通りにことを進めるだけだ」


 「親分、男はともかく女は生かしておきましょうよ。俺、こんな上玉は見たことがありませんよ」


 「確かにこいつらは上玉だな」


 この場にいる全員がこれまで生きてきた中で見たことのない美貌。盗賊達の視線が煉太郎の背後にいるフィーナとセレンに向けられる。


 「あの銀髪の女は俺に回してくれよ……」


 「俺はエルフの方が良いな」


 「ヘヘヘ、可愛がってやるよ!」


 獣のようにギラついた目でフィーナ達を見つめる盗賊達。その瞬間、彼らの運命は決定した。


 「口を開くな塵屑共……。ぶち殺すぞ……」


 フィーナ達に卑猥な視線を向けられて、煉太郎は憤りを感じ、盗賊達に殺意を向ける。


 煉太郎の不遜な言葉に盗賊達は額に青筋を浮かべる。


 「たった少数で調子くれてんじゃねえぞ! 全員かかれ!」


 ダイスの合図で一斉に部下達が煉太郎達に襲いかかる。


 それが今から起きる蹂躙劇の合図でもあった。


 「〝サンダーボルト〟」


 幕開けの攻撃はフィーナから始まる。彼女が手をかざすと、盗賊達の頭上に魔法陣が出現、雷が盗賊達に目掛けて落ちる。


 「「「「「「「「「「ぎゃああああああっ!?」」」」」」」」」」


 雷が直撃する。盗賊達の半分が原型を留めないほどの塵と化し、遺体も残らなかった。


 「人質だ! 人質を盾にしろ!」


 人質を盾にすれば勝機が生まれると思ったのか、3人の盗賊が商人達に迫る。


 「させません」


 ヒュン! ヒュン! ヒュン!


 「「「――がっ!?」」」


 同時に3本の矢が盗賊3人の頭部を貫く。3本同時に矢を射ると言う芸当に思わず唖然とする盗賊達。


 「おい、余所見している暇があるのか?」


 不意に煉太郎が近付き、盗賊達の首が飛び、鮮血が迸る。


 「「「「「ひいっ……!?」」」」」


 煉太郎達の実力に今更ながら気がついたのか、残りの盗賊達が逃げたそうとする。当然逃げられるはずもなかった。


 「クル、頼んだぞ」


 「クルル!」


 「邪魔だ、どけ!」


 「クルルルル!」


 入り口に待機させておいたクルが逃げ出そうとする盗賊達に目掛けて火球を放つ。


 「「「「「ぎゃああああああっ!?」」」」」


 火球が盗賊達に直撃すると、断末魔を上げながら火達磨となる盗賊達。


 「クソが……何でこうなるんだ……!」


 僅か数分で全ての部下を失い、ダイス自身もどうしてこうなったと言った状態だった。


 「やっと、金が……力が手に入るってのに、邪魔しやがって……許さねぇぞ!」


 「遺言はそれだけか? 」


 「俺はこんなところで終わるような男じゃねぇんだ……まだまだ、始まったばかりなんだ……絶対に諦めねぇ……! 覚えていやがれ、この仕打ちは絶対に忘れねえぞ……そこの赤髪の餓鬼!」


 ダイスは狂ったような目付きで煉太郎を睨む。


 「覚えておけよ、この仕打ちは絶対に返すからな……! くくく、はははははは!」


 ダイスは大声で笑うと、懐から取り出した石を掲げて地面へと叩き付けると、広場中に煙が蔓延し、視界を妨げる。どうやら逃走用に用意していたのだろう。


 そして、煙が消える頃にはダイスの姿はなかった……。


 「クソ、逃げられたか……」


 「けど、人質は全員無事に救出出来たよ」


 「これで依頼は完了ですね」


 「……そうだな。おい、お前がザーギィの孫娘だな? 大丈夫か?」


 「ひっ……!?」


 怪我がないかと思い、孫娘に近付く煉太郎に思わず悲鳴を小さく漏らす。レンタロウに対して激しく怯えているようだ。


 無理もないだろう。野蛮な男に数人がかりで襲われそうになったとあれば、いくら自分を救出してくれた者とは言え生理的に男を拒絶するようになってもおかしくないだろう。


 「レンタロウ!」


 煉太郎の名を呼びながら広場に飛び込んで来たラウアは、広場の状況を見て結果を察したようだ。


 構えていた大剣を降ろし、緊張を解いて小さく息を吐く。


 「どうやらアタシ達の出番は必要なかったみたいだね。野郎共、人質のみんなを連れて帰るよ!」


 ラウアが部下に声をかけると、囚われていた商人達は安堵の溜息を吐いた。見知った顔であるラウアが救出に来たことで、ようやく自分達が助かったと言う現実を受け入れることが出来たのだろう。


 「3人共、協力してくれて助かったよ。お陰で人質は無事に救出出来たよ」


 「気にするな。それよりも首謀者を取り逃がした」


 「そうか……。まあ、仕方がないね。今は無事に救出出来ただけでも良しとしよう」


 「そうだな。ラウア、この娘を頼むぞ」


 「この娘はギルドマスターの孫娘だね……」


 ラウアは孫娘の姿を見て、彼女の身に起きようとしたことを察したのか、労るように声をかける。


 「危険な目に遇っただろうけど、もう大丈夫だからね。アタシ達が責任を持って街まで連れて帰るから、安心しな」


 「は、はい……う、ううっ……」


 心の底から安心したのか、孫娘はラウアに身を寄せて嗚咽を漏らし始めた。


 「さあ、街に帰るよ!」


 こうして煉太郎達は『常闇の団』のアジト後にし、セバーラの街へと戻るのだった。

今年も自分の作品を読んで下さりありがとうございます。


来年も頑張って投稿していきますので、よろしくお願いします。


では、良いお年を過ごして下さい。

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