とある少年のとある1日のとある1とき‐その1‐
オレはノートと教科書を交互に見ながら、朝の教室で自習をしていた。
一応言っておくと、普段からこんな事をしているわけではない。
今は誰もがそうすべき時なのだ。
なぜなら今日は定期考査、いわゆる期末試験の日なのである。
周りではクラスの皆が問題を出し合って、少しでも単語を覚えようとしている。
「空気中の水蒸気が凝固し始めるときをなんというか?」
後ろの席で、誰かが誰かに問題を出している声が聞こえてきた。
俺は誰にも聞こえないように小さな声で、「露点」と呟いた。
問題を出された側の人は、「う~ん」と唸っていた。
どうやら答えが分からないらしい。
「秋、答え分かる?」
俺は何かの間違いで『盗み聞き』をしたと思われないように、
「問題なに?」
と、聞いた。
「えーと、空気中の水蒸気が凝固し始めるときを何というか?」
問題を言い終えるとすぐに俺は答えた。
「『露点』……じゃなかった?」
「これくらいなら秋には楽勝か~」
そう言いながら『進研ゼミ』と書かれた問題集のページを捲り始めた。
どうやらまた問題をだすつもりのようだ。
ページを捲る手を止めて開かれたページを10秒ほど見ると、問題を読み始めた。
「凝灰岩から無色鉱物2種類見つかった。
その鉱物の組み合わせとして最も適当なものを、次のア~オから1つ選んで記号で答えなさい。
ア、輝石と石英。イ、長石と石英。ウ、角閃石とかんらん石。エ、長石と角閃石。オ、輝石とかんらん石」
「『イ』」
俺は間髪を入れずに問題で言われていた通り記号で答えた。
「即答!?
しかも合ってるし!?
うっわ~、流石は天才だなぁ~」
「天才言うな。
じゃー今度俺からな」
「どんな教科でもドーンと来い!」
「じゃあ、World Heritage siteとはどういう意味でしょうか?」
「はっはっは。中学生レベルの範囲で頼むよ」
「中学生レベルの参考書にあったんだけど……」
俺がそう告げると、
「……う……うわー!」
と、叫びながら教室から出てトイレがある方へと走っていった。
「勉強再開…」
そう言って俺は勉強を再開した。
実を言うと、彼が走っていってしまうことはこれまでの経験上わかっていたことなのだ。
だからこそ、言ったのだ。
自分は勉強は1人でやった方が頭に入るし集中出来る、つまり1人で勉強したい派なのだ。
一通り教科書に目を通して、パタンと閉じた。
そして、今回も100点いけるなーと思った。
普通の人からしたら、痛い奴だとか思われるかもしれないけれど、俺の場合はそれは当たり前のことだった。
俺は巷で『神の子』や『神童』などの異名を持つほどで、今は中2だが全教科で高2までの過程をすべて終えているほどである。
そんなことを考えていると授業開始チャイムがなった。
先生が回答用紙と問題用紙を配り始めた。
急いで教科書とノートを鞄に閉まって、チャックをしっかり閉めた。
配られてすぐに回答用紙に自分のクラスと出席番号と名前を書いた。
いつも通り解答を問題用紙に書いていく。
後で見直しができるようにするためである。
10分ほどですべて解いて、大きな欠伸をひとつした。
簡単だなぁ~と思って問題用紙に書かれた解答を解答用紙に写そうとした。
すると急に、強烈な睡魔に襲われた。
昨日はテスト前ということでいつもより2時間も遅く寝たのだ。
テスト時間は残り35分以上ある。
周りから聞こえるシャーペンのカリカリという音が、睡魔を余計に強烈にしているようだ。
どうせ解き終わってるし少しぐらい寝て良いかなと思い、結局睡魔に身をゆだねた。
「秋~」
気が付けば、俺は後ろの席の人に揺らされていた。
「今テスト中だろ~」
「何寝ぼけてんだよ。もうテスト終了のベルなったぞ」
「えっ!?」
慌てて時計を見るとテスト終了1分後になっていた。
そして、自分の解答用紙を見た。
自分の起こしてしまったことにひどく後悔しながら、名前しか書いていない解答用紙を先生に提出した。
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