(2)
「はぁ。さて、どうしたものかなぁ」
洗濯物を干し終えて、雲一つない青空を見上げて呟く。
“時夜を元に戻す方法”
探す……っといっても、何をどう調べていいのか分からない。
ジュリアは一度家へ戻って考えてみると言い、朝食を食べ終えてから帰っていった。
ザットは家にある古めかしい書物をひっくり返して、色々と調べてくれている。
私も手伝いたいけど、まったく文字が読めないのだ。
どうやら、サガラにもらった腕輪は、言葉は翻訳出来ても、文字は対象外ということらしい。
暫くザットの周りをウロウロしていたのだけど、「何かあったらご報告しますから」と、やんわりと追い出されてしまった。
サガラは……と言えば、今は体力温存中……つまり寝ているのだ。
(まぁ、むやみに外に出て時夜と鉢合わせ……なんてことになるよりはいいけどさ)
それに、治りが早いと言っても怪我をしていたし、昨夜は眠れなかったみたいだから、疲れが出たのだと思う。
「それにしても、一人で外には出るわけにはいかないし、調べるって言ってもネットもテレビもないし。おまけに文字も読めないんじゃ、お手上げだわっ」
一日目にしてかなりの挫折っぷりだ。
「あー、ダメダメ。暗くなってる場合じゃないっ。少し散歩でもしよ」
家を取り囲む森一体には、結界というものがあるらしい。
なので、家の周りは、一人で出歩いてもいいと許可を得ている。
それと、防犯として傀儡から身を守る“結界石”と“妖精の笛”というものをもらった。
『いいか? 知らない奴には絶対付いていくなよ。それから、何かあったら結界石を投げつけて、笛を力の限り吹け』
まるで過保護な母親のように、サガラからそう念押しされている。
(ていうか、結界があるから知らない人は入ってこないと思うんだけどなぁ)
なーんてことを思った時だった。
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