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『すっげー! まさか、こんなとこで同じ世界の住人に会えるなんてな』


 初めて出会った時、満面な笑顔を浮かべていた時夜を思い出す。

 同じ世界の同い年の男の子。

 この世界にいると、時々自分の世界のことがあやふやになって、何だかちょっと切なくなる時がある。

 でも時夜といると、元の世界のことが鮮明になる。

 サガラたちには、首を傾げられちゃうことだって、時夜となら普通に話せる。

 そんな単純なことが嬉しくて楽しかった。

 もし元の世界で普通に出会っても、すれ違うだけの、そんな存在だったかもしれない。

 だからきっと、この世界で出会ったのは、奇跡だっていえるくらいの巡りあわせ。


傀儡かいらいだっていうのが分かった時点で、駆除の対象になる。殺すしかねーんだ』

 

 サガラの言葉がずしりと心にのしかかる。


 あの後、サガラは何も言わず、部屋を出て行って、心配そうなザットとジュリアを置いて、私もすぐに部屋に戻ってしまった。

 頭の中を整理しようと、何度もサガラたちの話しを思い返すけれど、全然考えがまとまらない。


「時夜が殺されるとか意味分からないよ……」


 ベットに寝転んで、口に出してみたってやっぱり実感なんかわかない。

 あれからかなり時間が経って、夜になって大分経つ。

 体は疲れ切ってダルいのに、眠気は一向に訪れてくれない。

 それどころか、目は冴える一方で、答えは堂々巡りだ。


(時夜を救いたい。絶対に死んでほしくなんかない)


 何度考えても、行き着く答えはそれだけだ。


≪……ユーミ≫


「え?」


 声が聞こえた気がして起き上がると、風で窓が開け放たれる。


「あれ? ちゃんと閉めてなかったのかな?」


 ベットから起き上がり窓辺へとよると、外に人影が見え、よく見るとそれはサガラだった。


(こんな時間にどこに行くんだろう?)


 私は慌てて部屋を飛び出し、その後を追った。


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