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「驚いた。あんたがあんな馬鹿な真似をするなんて」


 意識を取りもどした時夜は、立ち上がり服の汚れを払い落としながら、忌々しげに言い放つ。


「お前にユーミをくれてやるつもりはねーからな」


 サガラは、私を時夜から遠ざけるように前へと一歩出る。

 手は剣の柄にある。


「なるほど。騎士きどりってわけだ」

「……」


 無言のまま、サガラは剣を引き抜き、時夜へと向ける。


「サガラ、時夜と話をさせて」


 確かに時夜のしたことは最低だ。

 どんな理由があるにしろ許されるものじゃない。

 だけど、時夜がしたことがやっぱりまだ信じられないし、だから話をしたいと思う。


「黙っていろ。こいつを見逃すわけにはいかねーんだよ」

「だけど!」


 シュッ。


 声を上げたその時、時夜のいる反対側から、炎がサガラめがけて飛んでくる。


「サガラ危ないっ」

「!」


 寸でのところで、剣で炎を切り捨てる。


「誰だ! 出てこいっ」


 シュッ。


 再度炎が飛んでくる。

 それを避け後ろに下がると同時に、時夜の前にベールをした人物が立ちはだかる。


「大丈夫ですか?」


 ベールでその表情は見えないけれど、透き通るようなその声で、目の前に現れた人物が女性だと分かる。


「大丈夫なもんかよ。最悪だ」


 悪態をつきながら、赤い髪を苛立たしげに掻き揚げる。


「時夜……」

「優美は騙されてるんだよ。君はサガラの正体をまだ知らないんだろ?」

「正体?」

「そいつが何者で、どんなことをしているのか。知れば……」

「うるさい! 黙れっ」


 言葉を遮るように、サガラは剣を時夜に向かって振り上げる。


「……」


 それを無言のまま、ベールの女性が小太刀一つで受け止める。


「今日は大人しくひいてやる。次は必ず優美をもらうよ。……カル」


 カルと呼ばれた女性は、サガラの剣を押し返し、何か小さくつぶやく。

 と、時夜の周りが小さく揺れる。

 それは水に広がる波紋のように大きくなり、そのまま二人の姿は消え失せていた。


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