弟が死んだ
2028年、弟が死んだ。
急な出来事だったので今になっても実感が湧かない。
弟との仲は、なんて言えばいいかな。
ほぼ他人みたいな関係だった。
そりゃ子供の頃は話したりしてたけど
今や話すことも、会うこともなかった
彼の死を知ったのも
急に母親が泣きながら電話してきたからで
その電話がなかったら
死んだことにすら気づいてなかったと思う
だから特に悲しいとは思わない
ただ葬式とか、遺体の処理とかしなきゃいけないのかって
色々面倒くさくなっただけ。
夫に任せようかなとも思ったけど
まぁ、一応家族なんだし
これくらいはと思って自分でやることにした。
まず葬式を開くので弟の友達を呼んで
お香典で葬式の費用を補えるかなと思い
彼の携帯を開いてみる。
弟の携帯は、酷いものだった。
色んな平成時代のアニメ画像
糞みたいなラップの歌詞
英語勉強のアプリ(これには少し驚いた)
アニメ画像やラップは見る気もしないので
英単語学習アプリを開いてみる
「これ自分で単語入れたりしてたのか…」
アプリにはかなりの単語が入っていて
たまに弟が録音したであろう
音声ファイルが付いてるものもあった
好奇心で再生してみる
[うぇーいwwコンジローマぁwwwww]
「えっ、きしょっ…」
中身はともかく
そういやこんな声してたんだと
妙な感想に浸る
なんかもう見る気失せたので
さっさと弟の知り合いに連絡してみる
まずはラインかな
「オランダの友人(最高に尊敬できる!)
相模原市役所職員
昔のバンドメンバーグループ(5)
母
元彼女(DV女)
ガンジャ屋(最高に安い!)
…… 」
何これ……
誰が誰だかわかんなくてメモを描いてるのかな
母から薬をやっていたとは聞いたけど
中々脳みそ壊れてたのね…
とりあえずオランダの友人?に連絡してみるか
ー突然の連絡失礼します阿部の姉です
弟が死んでしまったので葬式を開くのですが
弟と親しい関係に見えたので
よかったら来ていただけるかなと
連絡した次第です。
ーえ?死んじゃったんですか?
(あれ、返信早いねこの人)
ーはい
ーあーご愁傷様です
ーありがとうございます
それで来ていただけますか?
ーいや……それはちょっと…
ーえ?来れないんですか?
ーだってそこに行く費用と
阿部の葬式に行かなかったって罪悪感を
天秤にかけたら圧倒的に前者が重いですよ
ーあまり仲良くなかったんですか?
ーいやまぁ…たまに話はしてましたけど
仕事休んでまで行くほどじゃないですねw
正直このやり取りにかかる時間も勿体ないっす
ーそうですか…失礼いたしました
ーうっすうっす(笑)
はぁ…葬式に人呼ぶの
すごく大変かも…
とにかく次の人行ってみるか…
つづく




