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エピローグ 役目の終わりへ
新しい仕組みは、影響の少なそうな部門から、少しずつ運用が始まった。
急がない。止めない。
問題が起きれば、まず現場で考える。
理由を書き、選択肢を並べ、最後に――裁定者が、通すか止めるかを決める。
完璧ではない。だが、動く。
世界は久しぶりに、詰まらずに流れ始めていた。
境界の高台。
神様と魔神が、並んで下界を見下ろす。
「動き出したな」
神様が言う。
「ああ」
魔神が応じる。
「世界は、新たなるステージに向かい始めた」
しばし、沈黙。
「悪人は浄化され、善男善女だけの世界になるだろうか」
神様の問いに、魔神は肩をすくめた。
「そうなったら――」
一拍置いて、
「我々の役目も、終わりだ」
神様は、少しだけ笑った。
「悪くない」
二人は、次の裁定書も、次の会議もない空を、静かに見上げる。
世界はもう、サイコロを振らなくても、歩き出せる。
その背中を、ただ見送るだけでいい。
--Fin--




