プロローグ
天界が静まり返ることは滅多にない。だがこの日、静まり返るどころか、騒然を通り越して阿鼻叫喚が正しい状態だった。
「大変だぁ!」
「どうした? 騒がしいな」
「い、家出だ!」
「家出~? 誰が?」
「神様だっ!」
「なんだと!~どういうことだ!」
「さっき決裁書類を持っていったらお姿がない。デスクの上に置手紙があったんだ。『疲れました。しばらく旅に出ます。探さないでください』とな」
「なんでこんなことに!」
「そもそもだな、何でもかんでも神様に丸投げして決めていただいていたのがいかん! どう考えても業務量過多だ」
「しかし、最終決済は神様にやってもらわないといかんだろう」
「それがいかんというのだ! だいたいだな……」
「言い争いしてる場合じゃない! どこに行ったか手がかりはないのか?」
「わ、わからん……行くところなんてあるのかどうか……」
「とにかく手の空いている者を動員だ!」
――そんな天界の大混乱とほぼ同時刻。
「おい、天界では大騒ぎのようだぞ」
「すまんが、もうしばらく匿ってくれ」
「まあ、もうしばらくすれば探索網から外れるだろう。そのくらいは構わんぞ」
「すまんな、魔神。持つべきものは友だな」




