撒いた種を引き千切る大人
ある大人たちが適当に種を撒く。
するとしばらくして、土から芽が出てきた。
芽はちいさくて可愛らしいふたばを開く。
すると大人は、そのふたばにたくさんの水を与えたり、
栄養剤や活力剤をどばどばと与える。
「取りあえず栄養さえ与えておけばいいよね」
と、大人はそのふたばに必要以上の水や、
よくわからない栄養等を注ぐ。
可愛らしいかったふたばは、
歪ながらも以前より茎を太くさせ、葉をたくさん増やす。
すると大人は、それを足で踏みつけはじめる。
「こうすると、強い子に育つのよ」
周りにそう言いながら、それをぐりぐりと踏みつける。
暫くすると、あのちいさくて可愛らしかったふたばは、
花が開きそうなほど成長する。
けど、その花は茎がくねくねと捻れ、
せっかくつけた花は咲く前から既に枯れかけていて。
それを見た大人は、
「みっともない。こんなの、私の子じゃない」
そう言って、その花を乱暴に引き千切って投げ捨てた。
その花は、咲く前に大人の手によって無惨にも千切られた。
私はそんな大人に、なりたくない。