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城壁





【血潮の狂獣】サラハット。


またの名を【城壁】。

十二神君の一人であり、太歳星君の十二の権能の一部を与えられた一人。

ヤットゥー平原の拠点をたった一人で数十万の魔族、そして魔王四天王の一人である【歩災】ベヒーモスから拠点を守り抜く姿はまさに城壁の二つ名の通りだった。

大地を砕き、城に近づくものを蹂躙し、その盾で全ての攻撃を防ぎ、城には傷の一つも許さず、戦場でただ一人不動。


サラハット、戦場にて不動なり。




「なんだ、生きてたのか」

「がぁ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ"あ゛あ゛ッッ!」


腕を肥大化させ、赤黒い鱗と巨大な爪を生やし、サラハットを覆うほどの大きさになり襲いかかる。

しかしその腕をサラハット真正面から受け止める。


「殺してやるッ!殺してやるう゛ぅ゛ぅ゛ッッッ!」

「はぁ、せっかく生かしてやったんだ。なんでそう死に急ぐ」

「うるせえ゛え゛え゛え゛え゛え゛ッッ!!」

「じゃぁ死ね」


次の瞬間、ベヒーモスがソフトボールのように簡単に遠くへ吹き飛ばされる。

ベヒーモスが気づいた時には身体が壁にめり込んでいた。


「で、お前はなんだ?そいつのお守りか?」

「まぁ、そんなとのろです」


既にサラハットの背後に移動し、持っていた短剣で首を切り裂こうとした直後、短剣がその場から動かなくなる。


「これが源王の権能の1つ、【不動】か」

「この権能を知ってるなら、お前らじゃ俺に勝てないことくらい分かるだろ?ここは1つ引いてはくれないか?···············"無駄"な殺生は好きじゃないんだ」

「そうもいかない身の上ゆえ」

「そうか、残念だ」


次の瞬間、ローブの男の首が飛んだ。


「王である我より上の目線に立つな、愚蒙が」

「···············話の分かりそうな男だったんですけどね」

「我への不敬は極刑だ。どうあれ死んで償わせなければならん。あそこで馬鹿面を晒しているガキもな」

「ヴァルバラは?」

「···············アレは我の友であり、半身であり、唯一"俺"の家族と呼べる者、故に我への不敬は全て許す。そこらの愚蒙の輩と比べるな、痴れ者」

「そうでしたね」


ベヒモスは唖然としていた。

自分が突然吹き飛ばされたからでは無い。

今床で頭と体が切り離された男は、自身の部下であり、半神デミゴッドである死神の一族の末裔。

暗殺に長け、暗殺者でありながら、真っ向勝負でも相当の実力を有している男だ。


その男が、目の前で抵抗することも出来ず、一撃で絶命した。


「───」


『ベヒモス殿』


かつて、幾つもの戦場を共にした男が、あっさりと死んだ。


「おき、な···············ぁ、あ゛ぁ゛」


ベヒモス。

"歩災"ベヒーモス。

歩けば戦場を更地に変え、大地を割り、山をも踏み砕く。

その鱗は聖剣すら跳ね返し、その進行を止めることは出来ない。

戦場ではいくつもの城を陥落させ、更地に変え、全てを無に返す。

紅黒い堅殼に覆われ、その歩みは幾万の兵を、武器を、城を踏み砕く。


かつて、"城壁"サラハット以外、勇者ですらその歩みを止めることは出来なかった。


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛ッ!!!!」


「泣くくらいなら、戦場に立つな」


ベヒモスの身体は4mを優に超える巨大で、ドラゴンのような鱗と皮膚、禍々しい角、獣のような身体に変わり、元の姿の原型は完全に消えてなくなった。


「喚くな、獣風情が」


その姿を見た王はどこまでも冷たい声で言い放った。





§§§




「うおおおおおぉぉぉ!!」


「これが俗世のお姫様抱っこですか、走るペースが遅いですね。追いつかれますよ?」


「誰のせいだ!だ・れ・のッ!」


「さぁ?」


「fuckッ!」


「あら、それじゃぁベットに行きますか?」


「死ねッ!」


俺は今リヴァイアサンを抱えて全力で逃げている。

なぜ最強災厄の生物が居るのに戦わずに逃げているのかって気になっている諸君。

リヴァイアサンの他にも七転神は神に転生する際、創世神にとある"禁"を言い渡され、とある行為が絶対にできないようにされている。

例えばうちの愚王であったら『自死』することを"禁"とされた。

他にも"邪智暴虐"であれば『毒』以外の飲食を"禁"とされた。

今ではそれは茨木に引き継がれたが


そして今俺が抱えているリヴァイアサンは『命』以外を食べる事、殺すことを"禁"とされた。


そして今俺たちをおっているのは


「目標確認、直チニ殲滅」


機械生命体、機械仕掛けの人形(エクス・マキナ)であった。

つまり、魂のないこの追ってをリヴァイアサンは殺すことが出来ない。

リヴァイアサンは強すぎるが故に、最低限手加減した一撃であってもあの人形達を殺す可能性があるため、禁により攻撃ができなくなってしまっているため、このように俺に担がれて一緒に逃げることとなっている。


「装填完了、ターゲットロック一斉射撃準備完了。発射」


そう言うと、数十体の人形が同時に俺たちに向かってミサイルと鉛を発射してきた。


「ちくしょうがあぁッ!!」





§§§





のっぺりとしたヘルメットを被り、全体がほぼ赤と白の装甲を持つ身体に、機械で出来た尻尾に、見た目だけならば人形とみまごうほどの美女。

しかし、所々に施された改造手術により機械にされた跡。

そして左手に持つ神の祝福を授かった剣。

右腕の装甲にはA-00-00と書かれていた。


「A-00-28(カルディア)、直チニシャットダウンセヨ」


「懐かしいな、先代勇者のコピー人形」


「A-00-28(カルディア)、直チニシャットダウンセヨ」


「先代勇者の全てを奪った結果が、ただの操り人形か。お前らに殺された先代勇者も浮かばれないな···············成功品」


「A-00-28、シャットダウンヲ拒否。直チニ強制シャットダウンニ移行シマス」


「····················できるもんならやってみろ。カルディヤ」

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