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肉は生で




「なぁ」


「なんだ旦那」


「なんでお前居んの?」


「旦那が浮気してるから」


「そもそも結婚してねぇだろぉが」


俺は今デートの待ち合わせ場所である街のど真ん中の時計塔のベンチで足を組みながら空を見上げて待ち人であるリヴァイアサンを待っている。

リヴァイアサンは何故かデートは別々に行こうとか馬鹿みたいなことをい言い出したので、仕方ないから俺が先に待ち合わせ場所に行くことになった。


そして何故か着いてきた二十八号は電柱の上で中国拳法の白鶴拳の構えをしてる。

たまに二十八号が何したいのか俺には理解出来ん。


「俺がここに来てから何分たった?」


「そろそろ2時間」


「あの腐れシスターマジで何やってんだよ」


そして俺が家を出てこの時計塔の下で待ち始めてから2時間も待たされている。

「5分たったら私も行きます」とか言ってたくせにとうの昔に5分は過ぎてしまっている。

そもそもなぜ俺はあんな腐れシスターを2時間もまたにゃぁならんのじゃ。あったまきた、デートなんてすっぽかしてやる。


「なぁ二十八号、リヴァイアサンなんてほっといてアイスクリーム食いに行かねぇか?」


「····················」


「おい、聞こえてねぇのか?」


普段の二十八号ならノリノリで話に乗ってくるのに対し、今の二十八号は全く返事を返さない。それどころか目も合わせない。

とうとう思考回路が爆発したか、故障したのだろうか、1度ぶっ叩けば治るか?

俺は立ち上がり、壊れたであろう二十八号の頭をぶっ叩くために二十八号の立つ電柱の近くに行こうとするが、その途中身体が急に動かなくなった。


自分の意思とは別に、身体に刻まれた本能がこれ以上この場から動くことを拒否している。

俺はこの感覚を知っている。

絶対なる力と恐怖にねじ伏せられた動物はこうやって身体が膠着し、これから来る死と恐怖に覚悟を決める瞬間。


「ぶっ殺すぞ♡(殺意)」


「やぁハニー、遅かったじゃないか」


「嬉しいこと言っちゃって。殺すぞ♡(純愛)」


あ、俺死んだわ。


「シャンプー変えた?なんか今日一段と可愛いじゃん」


「ふふっ、実は今日のデートのために害悪蜥蜴(ドラゴン)の生き血で身体を清めたんですよ」


「すみません帰って良いですか」


「あら、デートはこれからでしょう?」


害悪蜥蜴(ドラゴン)

空を支配する種族であり、古来よりその神秘的謎の力と最上位魔法を詠唱も触媒もなしで扱い、身体能力も種族1の怪力を持つ鬼や吸血鬼をも凌駕する怪力。

そのスピードも空の生物でドラゴンに右に出るものはおらず、降下、上昇、左右に旋回するのも自由自在。

その空を駆けるスピードはマッハ4を越えることもあると言われ、その炎は1000℃を超える。

何よりその鱗は金剛石よりも硬く、その下にある筋肉はさらに硬い。

まさに害悪要素を詰め込んだような生物。

そんな害悪生物の血がただの血液なはずもなく、ドラゴンの血には大量のテトロドトキシンや岩をも溶かす強い酸性が含まれている。

要はヤバい液体。肉は普通に美味かった。


「て言うかなんでいきなりデートなんだよ、俺一昨日愛弟子殺したばっかなんだけど。心のケアもまだなんだけど」


「·························気まぐれ?」


「マジ帰っていいっすか」


「そう言えば最近できたアイスクリーム屋があるのよ。まずはそこに行きましょう」


「お願い話聞いて」


「私チョコレートアイスが大好きなの。楽しみね」


「もうやだぁ」


本当に顔は可愛いのになんでこんなやばい生物に生まれてきたんだよ。

もしこいつを生み出した神様がいたら顔面ぶん殴ってクレーム入れてやる。





▲▼▽△▲▼





闇夜に紛れる二人の影。

一人は2mを優に超え、顔には布を巻き、腰には長柄の刀を携え、もう一人は正反対に130〜40と小柄な身体に、ローブからはみ出る異形の角と巨大な鱗の腕。

たとえローブで隠そうとも、気配を消そうとも漂う異質の雰囲気。


「なぁー、まじでやんのー?」


「そう言われるな。鋼牙が居ない今こそがこの国を落とす一世一代のチャンス。これを逃すてはありません」


「えー、こうがとたたかいたーい」


「鋼牙は百戦錬磨の超人。たかが5万の有象無象に負けることはあるますまい。人間側が降伏するまで、戦う機会はいくらでもありましょうぞ」


「うー、しかたないなー。じゃーはやくおおさまころしてかえろー」


「油断することなかれ。鋼牙が居ないとて、ここには【血潮の狂獣】サラハットがまだ居ます。奴もまた好敵手。決して油断していい相手では───」


「もー、翁はうるさいぞー」


「なっ!私はただ貴方様の心配を···············」


「どうせぼくらは()()()()()んだから、しんぱいしてもしょーがないでしょー」


「····················」


「それじゃーれっつごー」


そうして二人は闇の中に消えていった。

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