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神様爺さん

俺は木野実きのみのる今年で31歳となるごく一般的な会社員で社内ではダンディーでカッコいいと言われている。

……すんません嘘です。

そんな俺は好きなもの、好きなこと、趣味はキャンプ。

休日は必ずキャンプ場に行き楽しんでいる。


きっかけは中学一年の時。親父が休日にキャンプに連れていってくれた。場所は海のそばにある臨海キャンプ場。

そこでの景色が最高だった。そして、俺はキャンプにはまった訳で、今日もキャンプ場に向かっていた筈なのだが、今俺は何故か長い白髪で長い白髭を生やした仙人のような爺さんと変な空間でポツンと置かれているちゃぶ台を挟んで対面中。


なんだこれ?

まあでもこれは夢だろう。多分キャンプ場には既についてて、まったりしていたら寝たとかだろう。


「お前さんこれは夢じゃないぞ」


そんな事考えていたら爺さんが突然喋りかけてきた。心読むとか無い無い。

夢だから心の声が駄々もれなんだ。

自分で言ってて恥ずかしいな。


「いやいやだからお前さんこれは夢じゃないと言っておろう」


また心の声が駄々もれかよ!恥ずかしいから口答だ。


「爺さん、俺は爺さんみたいな人初めて見たんですよ。夢じゃなくて何なんですか?」


「ここは神の世界の一つでワシの空間じゃ」


爺さん自分で神様って言っちゃったよ。

俺に神願望なんてないと思ってたけど深層意識の中にあったんだなぁ。

よし、ここは付き合おう。


「でも爺さん。神様としてもちょっと寂しくないこの空間?部屋?」


「まあちゃぶ台あって茶を飲みながら色んな世界を見るだけで十分だからのう」


そんな話をしていたらいつの間にか隣にテレビが置いてあった。しかも現代的で60インチくらいあるかないかだ。


「まあこれを見たら信じるかの」


「ん?な!?」


画面に映し出されたのは血だらけになって倒れ込んでいる俺と恐らく壊れているであろうマイバイク、そして、電柱に衝突して煙を出す大型トラックだった。


そこで俺は思い出した。長野のキャンプ場に向かっていた時に赤信号のはずの道路からトラックが突っ込んできて。


「そうすか俺、死んだんすね」


「何かあっさりしとるの。もっと喚くと思ったのじゃが『嘘だぁぁぁぁぁ!』とか」


「爺さん、いきなり喚くなよびっくりするわ。んで誰の声だよ!」


「お前さんじゃ」


俺こんなちょっとしぶめの声だったのか。

将来ダンディーになれたのかもな。


でも死んだ俺が何で神様爺さんの所にいるんだ?


「お前さんの疑問に答えるとな。うっかり湯呑みを落としてしまっての。それが巡りめぐって交通事故に至ってしまったんじゃ」


なんでやねん。

つまり何、湯呑みで俺死んだの!めっちゃ惨めじゃん。

あっ!でもこのパターンは。


「つまりその詫びとして異世界行けるってことですね」


「ほほ、そうじゃ。やはりこの世界の人間はのみこみが早いのう」


よっしゃあ!異世界転移キタァァァァァァ!

同僚に進められて借りたファンタジー小説読んで行けたら願望あったんだ。


「いやぁ神様のミスで死んでみるもんですね」


「うむ、喜べん感想じゃの。コホン話を戻すぞ。異世界に行くに当たっての持っていきたいものはあるかの?」


オプションだな。

異世界転移で美少女達とのハーレムもの何てのも良いだろうが、正直いらん。

やっぱり


「じゃあ死んでる俺の所にあるキャンプ道具一式とオフロードバイクあとスマホを。そんでキャンプします」


「お前さん少し怒っとるのか」


「いえ」


何か変な事を言ったかな?


「それなら良い。次に何処に行きたいかじゃが」


「世界も選べるんですか!」


「希望があればの今回は特別じゃ。お前さんの場合持ってくものからして想像はついてしまうがの」


神様爺さん懐大きい。ありがとうございます。

いやぁ本格的に神様って呼ばないとなぁ。


「聞いてないのう。して本格的とはなんじゃの?それは捨て置きキャンプするのに最適な世界で良いかの?」


「はいそれでお願いします。出来ればエルフとか亜人がいるところで」


すると突然黙り出した。検索中ってことか。神様も一回で全部は難しいんだな。


「あったぞ。その前にお前さんの荷物を持ってこなくてはの」


と言うとぽんっと俺の目の前にキャンプ道具一式が入ったバッグにオフロードバイク、で何故かスマホだけ手に持っていた。

しかも、飛び散ったり、べったり付いていた血は綺麗に消えていた。


いきなり持ってきたら大騒ぎになるだろと思ってテレビを見ると誰も驚いてはいなかった。というかバッグもバイクがあっちにもあった。


「あそこにある物は全部ワシが創造して取り換えたものじゃよ」


流石神様。本当に何でもありなのか。


「何でもありという事ではない。ワシも担当ではない事に関しては出来ぬからの」


他の神様か。会えたらいいけど異世界に行くから会える機会はないな。


「それじゃお願いします」


「うむ。では、転送するぞ」


そして、俺の足元が輝くと包み込むように光が広がっていく。


「スマホ持っていくんじゃ、たまには電話してくれ」


結構さみしがり屋だった!

こうして俺は異世界に転送された。

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