大集団
最強と噂されたパーティから追放された4人。
追放された仕返しにパーティのテントを爆破しお尋ね者に。
そんな中捨てられたダンジョンを見つけそこで気ままに暮らします。
職業、魔法、魔物、勇者有り!
体操選手結、治癒師まど、発明家遙、運動選手奏音の4人で楽しくドタバタ暮らします。
「ぬ、まずい。このままだとこの大集団はダンジョンの入り口まで来るみたいだぜ。」
確かに相当まずかった。飢え、疲れ果てたこの大集団がダンジョンを見つけたら、
決死の覚悟で突撃し、食料を得ようとするかもしれない。
悪徳王のせいで死にそうな思いをしてきたこの人達を、できれば殺したくない。
ダンジョンに入れば、遅かれ早かれ死が待っているからだ。
「あ〜、クソ!なんで来るんだよ!」髪を掻き毟る奏音。
入って来るかな……と思っていたら、突然全員が座り込み、手を合わせ始めた。
そんな中1人が立ち上がり、何か話始めた。
「魔王様、我々はこのように困窮しております。このまま飢えで苦しむぐらいなら我らを滅してくだされ…」
と涙ながらに告白する。
食料なんてあ、あげないからね!こっちも4人分しか賄えないんだから!そ、そんな目で見ないでよ……
数分後
「ありがとうございます、ありがとうございます」
流石にこの可哀想な人達の真剣な目には勝てなかった。この目を無視できるのは極悪非道の魔王だけだろう。
映像では気づかなかったが、中には赤ちゃんもいた。幼い命を救ったなあと考えながら
私達が立ち去ろうとすると、「待ってください、私達に何かできることはありませんか!?」
とさっき訴えかけてきた初老の男性が声をかけてきた。
頼みたい仕事があったので、村の責任者を招き入れる。
暗号と指紋認証を解除し、リフトで4階まで一気に上がる。
「私達の頼みを聞いてくれたら、食べ物と家を提供しましょう。」
「それは本当ですか!?」男性はこの話に食らいついてきた。
「ええ。ゴブリン家庭菜園室で1日3時間働いてくれれば。」
「ゴ、ゴブリン…そのゴブリンは大丈夫なのですか」
前にも説明したが、基本知能が低いので、人を襲うこともある。
襲われないかどうか心配してるのだろう。
「大丈夫ですよ。あのゴブリン爺さんは気のいいやつですよ。」
と歩きながらまどが説明する。奏音も遙もニコニコと同調する。
「さあ、着きましたよ。」
「やあ、結さんに皆さんもお揃いで。」とゴブリン爺さんが挨拶する。
これだけで一気に男性の信頼を得たようだ。
「この農園で働くんですか!今皆を呼んできますね。」
数分後、男性は全員を引き連れて戻ってきた。そして声を揃えて、
「「「「よろしくお願いします」」」」と頭を下げた。
ちょっと感動してしまった。あの悪徳王の元でこんなに礼儀正しい人達が生まれるなんて…
この人達のために明日も頑張ろうと思った。
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