真相
最強と噂されたパーティから追放された4人。
追放された仕返しにパーティのテントを爆破しお尋ね者に。
そんな中捨てられたダンジョンを見つけ、そこで気ままに暮らします。
職業、魔法、魔物、勇者有り!
体操選手結、治癒師まど、発明家遙、運動選手奏音の4人で悠々自適に暮らします。
ダンジョンは重い空気に包まれていた。
今までは普通だと思っていたが、4人のいたダンジョンは喜びと驚きに満ちていた。
かつての楽しかったダンジョンは、もう無い。
ミリアに一声かけ、気分転換するためにアモンは散歩に出かけた。
頭の中では4人のことが常に渦巻いていた。
様々な苦悩を1人で抱え込みながら、アモンはひたすら歩いた。
後ろから黒ローブの刺客が迫っていることにも気がつかずに。
アモンがその気配に気づくも時すでに遅く、ナイフがアモンの心臓をしっかり捉えようとしていた。
4人がいないこの世界に用はないと思い、目を閉じる。
しかし、いつまでたっても刺されない。
目をうっすらと開けるとそこには…かつての仲間がいた。
4人はいつものようにニヤリと不敵に笑いながらそこにたっていた。
驚きと嬉しさが入り混じり、アモンはその場に固まってしまった。
地面に転移魔方陣が浮かび上がり、一行はダンジョンへと転移した。
「主!アモン様!」真っ先にミリアが駆け寄ってきた。
ウルウルと目に涙を溜めた後、堪えきれずにシクシクと泣き出した。
その頭にアモンがそっと手を置く。
ゴブリン爺も含めた、知能のある魔物達が一斉に雪崩れ込んできた。
「よくぞ、よくぞご無事で主!」ゴブリン爺が言った。
スパイ・スライム部隊隊長は育ての親であるまどに抱きついている。
みんな手に手を取って喜んでいる。
さて、頃合いだ。私たちの死の真相を明かそうか。
私たちはあの時、遙の最終兵器を使った。宙に浮くビー玉だが、
それは信じられないほど危険で、邪悪なものだった。
最終兵器の効果は凄まじかった。「半径30m以内の生命体を破壊致します」
という無慈悲な合成音が流れた後、ビー玉は核兵器にも引けを取らない大爆発を起こした。
暗殺者とその僕は無論塵となり、シミすら残らなかった。
まどが治癒結界を張ったため、ボロボロになりながらも生きながらえた。
しかしまどは魔力を使い果たし、回復には数日が必要だった。
ダンジョンの近くに誰も知らない地下室を作ったのが効力を発揮した。
地下室には魔力全回復薬や、ふかふかのベッド、シャワールームが完備されていたので、
数日ゆったりと休めた。
さてダンジョンに行こうと思ったが、ふと気づいた。
私たちは偽の死体を残してきたので、世間では死んだことになっている。
ショックを受けているアモン達の前に姿を表したらショック死するかもしれない。
仕方なく透明化魔法を自分たちにかけ、出て行くタイミングを見計らう。
ある日アモンの背後に寄り添いながら歩いていた時、背後からナイフが迫ってきた。
4人で暗殺者を吹き飛ばし、木っ端微塵にした。
姿を現わすなら今だ!と思い、アモンの前に立った。
これが事件の真相である。
とにかく今は大宴会の準備中である。世界樹の麓に続々と料理が運ばれてくる。
お帰りなさい と言いたげに、世界樹がざわざわと揺れる。
その樹上には綺麗な月が浮かんでいた。
幻想的な月光の下で、パーティは始まった。
マジック・ハンドはてんてこ舞いだが、楽しそうに料理を作っている。(手だけだけど)
宴もたけなわ、魔物達がいびきをかきはじめた頃、私たちはそっと世界樹を離れた。
空中魔方陣で遙か上空に浮かび上がる。
私たちは最初、埃と疲れを滲ませた無職だった。
それが今や陽気な仲間に囲まれ、気のいい魔物達と幸せに暮らしている。
悠々自適なこの暮らしを後悔したことは一度もない。
それでいいんだよ と世界樹が揺れる。
今宵のダンジョンも平和だった。
今までご愛読ありがとうございます!
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