ぼくは……
暖かい目で読んでもらえると助かります
ある時僕は言った。
「どうして僕らには目が必要なのか、見たくもないものを見なければならないくらいなら目なんてひつようないんじゃないか」と
すると彼女はこう言った。
「確かに見たくもないものはあるけれど、私は目が見えるからあなたの表情をみることができる。だから私は目が必要なんだと思うよ」と
またある時僕は言った。
「どうして僕らには耳があるのか。聞きたくもないことを聞かされるくらいなら最初から必要ないんじゃないか」と
すると彼女はこう言った。
「確かに聞きたくないこともあるけれど、耳があるから私は君の声を聞くことができるんだ。だから私は耳はとても必要なんだと思うよ」と
またある時僕は言った。
「どうして僕らには言葉があるのか。言葉があるから人は人を傷つけ、傷つけられるのではないか。だったらそんな言葉なんていらないじゃないか」と
すると彼女はこう言った
「確かに言葉は人を傷つけることもあるけれど、言葉があるから私はあなたの考えていることを知ることができるんだ。だから私は言葉は大事なんだと思うよ」と
またある時僕は言った。
「どうして僕らには気持ちがあるのか。嫌な気持ちになったらするくらいなら最初から気持ちなんていらないじゃないか」と
すると彼女はこう言った。
「確かに嫌な気持ちになる時もあるけれど、あなたと一緒にいるだけで私の気持ちは穏やかになれる。それを感じることができるのは私に気持ちがあるからなの。私に気持ちがなかったら私はロボットか何かになってしまうと思う。私が私で、あなたがあなたであるためにそれぞれに気持ちがあるんだよ。だから私は気持ちは大切だよ」と
今ではもう僕は何も感じることができなくなった。
何も見えず、何も聞こえず、何も話せず、何も感じられない。
今なら彼女が言っていたことが分かる気がする。
僕は目が見えたから彼女の笑顔を見ることができたのだと…
僕は耳が聞こえたから彼女の声を聞くことができたのだと…
僕は言葉知っていたから彼女の思いを知ることができたのだと…
僕に気持ちがあったからこそ彼女を大切に想うことができたのだと…
もう何も感じることはできないけど不思議と気持ちだけは残っていた。
僕はもう一度、彼女の笑顔を、声を、思いを、彼女に対する気持ちをもう一度感じることができたらなと思う。そう思えるのはぼくに気持ちがあるからなのかな…そうだとしたらぼくに気持ちがあってよかったと思えるな。
もし最後に1つ願い事が叶うと言われたなら、もう一度ど君と会いたいと思うけど、でも君が幸せでありますようにと願おうかな。これがぼくの1番の気持ちだよ。彼女に届くといいな…
何も感じられない中でぼくの気持ちはただただそれを願うばかりだ…
読んでくださりありがとうございました
読んでもらえたということが嬉しいです