静観
死んでいる。死んでいました。
君は死んでいました。どう考えようとも君に命はありませんでした。
ずっと生きていませんでした。生まれた時から死んでいました。
死体が何をされようとも私は何もできません。何をするにも、何をしようとも君には関係がありません。
だって、死んでいるのですから。
死体をいじめる人が居ましたが、それを制する必要はありません。
誰が君に何をしようとも、私にも、はたまたその「誰」にも、確かに君にもきっと、いえほぼ完全にと言ったって良い程関係がありません。
そうつまり君は死んでいるんです。
何故でしょう?
君は生まれた時から死んでいました。君に慈悲はありませんでした。
君のその死んだ濁った瞳が色んなものを穢しました。
君は死んでいます。あまりに人間から離れた存在。心がない、人間ではない只の人形で、血肉で出来た醜い、人の形を未だ保っているだけの死体。
たった今でさえ君の肉体は未練がましく生きている者の真似をしています。
醜く、無様に動いて、心なんて、魂なんて、君には何もないのにまるで生きているみたいにもがいています。
醜いことこの上ないです。
ひとが君を押さえつけて汚して貶して仕舞おうとするのも分かります。
私が一番分かるのです。
君のもがきによる傷を負った者の象徴ようなものが私なので、私が一番君が死んでいることを知っています。
君って本当に人間の真似が下手で下手で、本当に刃を振り回すだけのことしか出来ないから私は本当に傷つきました。
だから私は考えました。
君を、もう生者の真似さえ出来ないようにします。
ちゃんと、甘くなく、誰かのように甘くなく本当に押さえつけて、もう二度と死体の君が動き回ることのないようにしたいと思います。
それが最善です。みんなが笑って過ごせるハッピーエンドです。
君は笑えないんですから、関係ないですよね?
今から君のところに向かいます。
ちゃんと確実な足取りで君の所に向かいます。
そして、ただしく葬りますから、
大人しく墓の下でおやすみなさいね。