第十一話:啖呵
〜登場人物紹介〜
カラン・トーラー (主人公)
姉さんを殺したタレラを殺すため姉さんの入っていたソレートに入る。
カレン・トルト(クラスメイト)
野暮な質問をカランにした、張本人。話を聞いていくうちにカランに少し好意を持つ。
ミラレス・ターヤ (ソレート・大尉)
カランの姉さんと同期。ソレート一強い部隊の隊長である。
トーレス・タミン (ソレート・曹長)
酒を飲むと暴れまくる。だが寝るのも早い。
ラッチ・カルメン (ソレート・軍曹)
班の中では、ボケ担当。でも、行動力に長け、爆破が得意。
ボルド・タラス(ソレート・ガンドクター)
酒場のバーテンとしても、ガンドクターとしても最高の腕前。現在ラーメン屋を営む。
瞑三元 (麻雀会代表)
共存会談でまとめ役をしている。ダブルシューテンングの名を持つ。
1995年8月12日
「まあ、座ってくれ。」
「ミラレスより伺っています。瞑三元さんですね。」
「おいおい、砕けて話そうぜ、レイラ。」
と言うと、一度考えてから言った。
「では瞑さんと呼ばせていただきます。」
「さんはやめてくれ。同年齢だろう。まあ、それはここらにして、本題に入ろうか。今回呼んだのはレイラも知っているとおり、どこぞの大馬鹿銃売り野郎の件だ。ここでの銃売りはセキラクのじいさん以外、許した記憶はないんだがなぁ。」
「確か、5年前の銃売りが今もやっているとか。」
「詳しいなぁ。その通りだ。元で売ってたのはテイ・モンド。通称ラッキーセブンだ。俺はどうも、ラッキーと名乗る男は昔っから好かない達でねえ。まあそんなくだらん与太話はおいといて、実は裏があるって話を知ってる?」
「個人的には2年前のバスジャック事件と関連があるのかと。」
「本当に最近入ったばかりか?」
「ソレートの資料庫は資料が豊富ですべて読むまで時間がかかりましたけど。」
「あそこ、結構あるよなぁ。あれ全部か?」
「そうですけど。」
こんなにまじめなやからとは思ってもいなかったが逆に話は進めやすい。
「なら話しやすい。あの犯人とラッキーセブンの腕に付いている星のマークが一致しているのに気付いてな。」
「しかし、5年前は逃走中に崖から転落、2年前は当時追っていたあなたが発砲した弾が当たって死んだと。」
「そこが今回の肝なんだ。俺は確かに2年前に奴を殺した。脈も確認した。ところがどっこい、今こうして現れているのも奴だろう。どういうトリックでくぐり抜けてきたかは解らんが、ここの掟を破って5年間もほっつき回っているのはイライラしてな。それに俺は手品師の目の前で手品のタネを明かしてやるのがすきでな。」
「私も同感です。では、今夜2100より捜索と言うことで。」
「おいおい、レイラ行く気か?」
「当たり前です。ここに呼ばれたのはそのためですから。」
「だが、こっから先はこっちの話だそれに女が銃持って暴れるなんざあ、悲しい話じゃないか。汚れ仕事は、俺で十分。」
すると、レイラは急に立ち上がり机の上を思いっきりたたいた。そしてこちらを睨み付けた。
「バッンンンン!!!!」
「女だからって、なめないでください!!私の動きをその目に焼き付けてから言ってください!!」
一瞬理解するのが遅れた。
「いやはや、丁寧語で啖呵切ってくるとは、たまげたもんだ。さすが、ミラレスが推薦するだけ合って、肝が据わってやがる。わかったよ。だから、邪険にしなさんな。」
「では、いったん私は街の方で仕事がありますので今夜2100にまた。」
レイラは振り返り扉の方へ向かっていった。すると途中で振り返りまさに人の目ではない、命の宿っていない者のような目でこういった。
「これだけは、言わせていただきます。銃を持った人間は、男でも女でも人間でもなく、ただ人を殺すだけの機械ですから。」
「啖呵の上に説教されるとは、世も末だねぇ。」
冗談交じりで言った言葉は、さらに不快感を読んだのか、再度睨まれた。そして出て行った。
その夜
レイラが帰っていた後、始末書や報告書等に目を通していたために、かなり疲れていた。
「肩こりが絶えない。」
そこへ莉尉貌がコーヒーを持ってきてくれた。
「お疲れでしょう。」
「ありがと。」
「あの女、どうするつもりで?」
「使ってから考える。何とも、おもしろい玉手箱をご丁寧にあいつは持ってるなぁ。」
一日に二種類はやっぱりしんどい。でも、かけて良かったです。次回はレイラががんばります。お楽しみに。