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自己紹介からはじめよう


 結局立てなくて生まれたばかりの小鹿のように足をプルプルさせてしまった和哉は美形な外人のお兄さんに背負われる恰好でダンジョンから連れだされた。


 ダンジョンと呼ばれる洞窟の外まで来ると外はもう暗かった。


 「夜の移動は危険だから、今夜はここで過ごす」


 そう言うとお兄さんは和哉に着替えを渡すと火を起こした。

 ダンジョンに入る前に用意してあったと思われるテントも張られていて釜戸らしき物も見える。

 どうやら洞窟に入る前にお兄さんはここで野営をしていたと思われる。


 袋から何かの肉っぽい固まりを取り出すと表面の塩をナイフで削って切り分け、その辺の木の枝に刺すとたき火の周囲に並べ始めた。


 次に何かの皮袋より乾燥した実のようなを取り出すと鍋に入れ、何かを呟いた。

 すると鍋に見る間に水がたまっていく。


 え?何? 何が起きてる?


 パチパチと目を瞬かせていると着替えるように促された。


 たしかに日が落ちて冷えてきた。

 このままだと風邪をひいてしまうだろう。


 借りておいて何だけど、この服は何かおかしい。肌触りもよくないし何よりもパンツは紐パンだしズボンにはファスナーもない。

 和哉は前と後ろを間違えないように注意しつつテントの影で着替えた。


 火の傍に戻るとすっかり食事の支度が出来ていて、具だくさんのスープの注がれた皿とスプーンを渡された。


 「熱いから気をつけて」


 焼かれた肉とクレソンのような葉と何かの果物が乗せられた皿も渡される。

 

 そしてパンにはたっぷりのバターが添えられていた。


「たっぷり食えよ。そんなにヒョロヒョロじゃこっちじゃ生きていけない」


 引っかかる事は多々あるが、和哉はとりあえず食事の用意をしてくれた礼を言った。


「あ、ありがとう」


 「レイだ」


 イケメン兄さんはいい笑顔で自分をさして言った。


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