心を鍛えるということ
タートルキマイラが現れた!
いや、それ訳わからないよね。
和哉は全力でつっこんだ。
キマイラって色々な動物を合体させた生き物な訳でそこに亀首が加わっただけなのだからそれはただのキマイラと一緒ではないだろうか。
勇者仕込みの剣捌きで華麗に切り捨てる。
和哉は強くなっていた。
「くそっ!先端をむけるなぁぁ!グリフォンめっ」
「ひぃぃぃっ!ワームの隙間が来るっ!来るな来るな来るな来るな!」
レベッカのトラウマの「セクハラ」はわかる気がするが女騎士の先端恐怖と隙間恐怖の狐耳の女冒険者の隙間恐怖のトラウマは共感を覚えられないしこれといった原因がわからない。。
メイドのGに対する恐怖は多少共感できるものがあるが。
この恐怖やトラウマに立ち向かおうとする力が魔物と戦う力の原動力のようだ。
この世界の人々は勇者とエルフで魔物から解放されて整えられた土地を与えられている。
和哉の世界のように開墾したり開拓したりして苦労したりはしていないようだ。
解放された土地も基本的に精霊の祝福とやらですっかりとお膳立てされているのが普通のようだし、あまり苦労というか努力をしないようだ。
その辺がなまくらな精神を培ってきた原因ではないだろうか。
受験やクラスメイト達との競争やテストなどで普通に精神を切磋琢磨されてきた異世界人たる和哉が魔物の精神攻撃に耐性があるのは普通のことのように思われる。
ストレスのない世界というのも問題なのかもしれないなと和哉は考える。
そして「女性からのアプローチを断ることが出来ない」勇者であるレイはそこが弱みなのであろう。
だから魔物の姿が美女に見えるのだ。
レベッカから見た魔物がセクハラをしてくる何かに見えているのと一緒で。
この世界、いろいろと温いのかもしれない。
和哉はそう思った。
「危ないっ!」
ぼやっとしているツインテールの爆乳巫女の少女を狙っていた魔物を和哉は倒した。
「べ、別に助けてくれだなんて言ってないからねっ!」
うんツンデレだ。ツンデレがいた。
「あなたは触手怖くないの?」
「ぜんぜん?」
そもそもツインテールを狙っていたのはただの蜂の魔物なのである。
ターゲットをロックオンしている魔物はターゲットからするとトラウマを刺激される姿をしているが、余所から他人から見れば普通の魔物なのだ。後ろからサクっとやれば問題がないように思える。
トラウマってそんなもんだけどな。
本人には深刻なものでも他人からしたらそうでもない事が多い。
それが例えばタートルビーだとしても和哉には何も思う事がない。本人が気にしなければそれはトラウマではないのである。
ここの人達は自ら苦手なものに魅入られているのかもしれないなと和哉は思った。




