ガラスハート
「勇者の好きなタイプを教えてくれないか」
「そうだな。髪の色は明るい栗色で、エメラルドのような翠の瞳の笑顔の素敵な人かな」
「……」
それ勇者本人じゃないだろうか。
勇者は自分の事が大好きなようだった。
「バトルアクスの彼女は栗色の髪…」
「瞳の色が赤茶だ。第一女の子だ」
「王女様は碧の瞳ですね」
「髪が金髪で好みじゃない。それに幼い女の子だ」
「黒髪で紫の配色ってエキゾチックじゃないですか?」
「女子を外見で評価して選ぶのはどうだろう。彼女達は物じゃないんだから」
いや外見のほかには笑顔が素敵って情報しか聞かされてないし。
和哉は天を仰いだ。
「そんな事言っても、他に恋愛対象になりそうな人がいないじゃないですか」
「恋愛がしたいんじゃないんだよ。女の子に惑わされないようになりたいんだ」
「…それに俺、同性愛の専門家じゃないんで…」
「君の読んでいたさぶかるちゃーにはあったろう?」
「あれは、『腐』の称号をもつご婦人が好んで読む読み物であって、ガチの人が好む物とはおそらくは別物ですよ…って俺も詳しく知らないけど」
「そう言わずに、助けてくれ、カズヤ。このままじゃ魔王と戦う前に僕は…」
「そもそも女性が苦手な癖に討伐メンバーに女性が多すぎるんですよ!」
あんなに死んだ目をしているのだから勇者は本意じゃないんだろう。
「カノジョタチハキチョウナセンリョクダ」
「めっちゃ棒読みじゃね???」
「男子の討伐メンバーは魔物の精神攻撃に耐えきれなかった。途中で発狂した者もいた」
「どんだけメンタル弱いんだよ!」
「男性の方が繊細なんだね…」
どうやら勇者とカズヤは精神が図太いと言うことらしい。
「納得いかねぇ」
和哉はガラスな10代の男子高校生なのだ。自分では繊細なつもりでいた。




