恐ろしい敵
「畜生、出てくる敵すべてがタートルタートルだよっ」
和哉は戦いながら血の涙を流していた。
「 タートルゴブリンにタートルワイバーンタートルキメラにタートルグリフォン!!もうたくさんだよ!!」
戦っている内にわかってきた。奴らの精神攻撃を。それは恐ろしいものだった。
「ゴブリンの隙間にワイバーンの隙間、グリフォンの隙間なんかどうしたらいいのぉぉ???」
狐耳の女冒険者は何か隙間っぽい物が弱点らしい。
そう魔物はこちらの心を読んで精神攻撃をしてくる。
「俺のトラウマはタートルだけじゃねぇぇぇぇぇ!!!っくらえ!氷結魔法極限冷却地獄!!」
和哉は悔しかった。別にそんな事気にしていなかった。大人になればきっと立派になると信じていたからだ。
「ゴブリンの先端!オークの先端! 先端を私に向けるなぁぁぁ!!」
女騎士は先端恐怖症らしい。泣きながら無双している。
そしてレイの弱点は女性らしい。
誰にでも優しくて紳士でイイヤツなレイ。強くて頼もしくてそしてイケメンだ。
なのにどうしても女性が苦手らしい。好きなのに苦手、相反する感情に苦しめられているようだ。
「くそっゴブリン美女にオーク美女、ワイバーン美女もかっ??」
一度レイが視させられている世界を見てみたいと思う和哉だった。
「くそっ日本人の7割位はそうなんだよっトラウマでも弱点でもねぇってばよっ!!」
和哉はタートルコカトリスを斬り捨てた。
タートルコカトリスは首の皮の部分からトサカしか出ていないありさまだった。 石化の目が使えない不良品である。ドラゴンに至ってはブレスが吐けなくて自滅していった。もう魔物が何をしたいのかわからない。
魔王の統治下の土地に入って、和哉以外の勇者パーティメンバーは魔物のえぐすぎる精神攻撃でだんだん心が壊れてきたみたいだった。
たしかにトラウマや弱点ばかり刺激されていれば精神に限界が来てしまう。
「もう世界が滅んでいいから究極魔法を使っていいかな?」
死んだ目をした無口無愛想魔女っ娘美少女が珍しく長文をしゃべった。
「あはは!汚物は消毒だ~~!!!!」
メガネメイドの瞳はすでにイッテしまってる目になっている。
「うふうふふ触手が来るわ。来るな来るな来るなコロスコロスコロス!!!」
爆乳巫女さんはもう終わってる感がする。
「こっこれが魔王配下の魔物の精神攻撃! 」
和哉は戦慄した。




