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美少女忍者


 「カズヤ来てくれ」


 レイに呼ばれてついていくと黒装束の尋問をするという。


 和哉が俺がですか?というジェスチャーをすればレイは渋い顔をして頷いた。


 「こっちの世界の拷問はえげつなさすぎるんだ。あんな年端のいかない者にはしたくはない」


 あー こういうところがレイの『女好き』たる所以なのだろうか。たしかにあの黒装束は美少女だった。

 忍者で美少女、いや美少女忍者だなあれは。


 うんうんと頷いていると、檻の前に到着した。


 舌を噛んだりしないように猿轡をされ手足を縛られた少女。


 その目には光がない。


 「うーん。レイ、俺にはその子が何か暗示かなんかにかけられいるように見えるんだけど」


 「カズヤもそう思うか? 」


 見分するかのように美少女をじろじろと見る勇者レイ。

 さすがだ、俺には美少女を嘗め回すように見て愛でるとかいう高等な技はできない。

 と、和哉が思った時、かすかに美少女忍者の顔に朱が走るのに気が付いた。


 イケメンレイが美少女忍者の顔を覗き込んだ時だけ、少女の顔に何か表情めいたものが走る。顔も心なしか赤い。


 さすがだ、レイのイケメン力は暗示やマインドコントロールさえ凌駕するらしい。



 「レイ、その子の首」


 銀色の鈍く光るチョーカーのようなものがその子の首にはつけられている。

 和哉の研ぎ澄まされた第6感がそれがあやしいと告げていた。


 「どうやってはずすんだこれ」


 何か魔道的なトリックがあるのかつなぎ目の見えないそれを勇者がとりはずそうと四苦八苦している。


 気のせいかな?美少女忍者の小鼻がふくらみ少しだけ息が荒いんだけど。


 「ちょっと見せて、レイ…ここに何か書いてある」


 魔力で強化された視力はどんな小さな物も意識して見ればピントがあってよく見える。

 和哉はそのチョーカーに書かれた文字を読んだ。


 「見たことがない文字だけどなぜか意味がわかるって気持ち悪いな…なになに、

隷属の首輪、バージョン7? 取扱い説明書?」


 「対象の首にこのチョーカーをはめ、契約者の血でつなぎ目をぬぐえば効果が発動します。効果が発動すると光りますので三つまで対象に言うことを守らせる事が出来ます。よく考えてから契約をしましょう。

 三つの契約が対象と交わされた事が確認されるとこのチョーカーは綴目を閉じます。尚、契約を解除してこのチョーカーをはずすには対象と接吻すればはずす事ができます???? 何このセクハラ仕様?」


 和哉が呆れているとレイは躊躇なく美少女忍者に口づけた。


 カラン


 火が点いたように赤くなった美少女忍者の首から隷属の首輪がはずれて落ちる。


 「あ、首輪をはずしてくれてありがとうございます。この恩は一生忘れません。いえ、一生貴方についていかせてくださいっ勇者様。いえわが君!」


 外し方調べたの俺なんだけどね? 


 ま、いいけど。


 和哉はもはや癖になっている半眼を二人に向けるのであった。

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