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プロローグ

とある青年にこのお題で書けと言われたので

 工藤和哉はごく普通の地方に住む高校生である。


 社畜の父と今となってはやや流行遅れの感がする韓流スター追っかけをしているパート主婦の母の間の次男として生まれ、地元の小中と普通にすごし、ごくごく普通の高校へ進学した。


 成績は中の中。多少その成績は科目によって上下はあるが、だいたいいつもテストは平均点をキープしている。

 身体つきも平均で、特別高くもなく低くもない身長に身体つき。

 運動は好きではないがスポーツテストでは、中の成績を叩き出している。


 兄が一人いるが、彼はやや不安定な人である。

 兄も弟和哉と同じく「普通な人」であったが、超就職氷河期に社会人になったため、就職浪人してしまい、現在ブラック企業に勤めている。


 もう12連勤目だと死んだ目をしながら出勤していった。


 労働基準法違反なのではないかと思うが、兄の会社には今までお咎めがないのだと言う。

 何かしら抜け道があるのではないかと和哉は思っている。


 サインやコサインに古典もいいだろうが、本当はこういう勉強を学校は教えるべきだと思う。

 社会のルールや、誰かに都合のよい法律や決まりに消耗させられている父や兄を見ていると自分の将来について漠然とした不安を感じる。


 父も兄も「出来る人間」ではないが、善良で、決められたルールに大人しく従い黙々と働く人間だ。

 確かに社会や会社全体から見たら、取り換えの利く部品のような存在なのかもしれないだろうが、その部品がなければ、困るのではないだろうか?

 そう思うのだが、取り換えが効くという点で使いつぶしても心が痛まないのだろう、その、使いつぶしている方の誰かは。


 そんな事を考えると、和哉は息ぐるしさを感じる。

 だが一介の高校生に社会を変えるような一手を打てる方法がある訳もないし、某高校生名探偵のような天才的な閃きが閃く訳もなく、ただ不安を抱えたまま日常を漫然と過ごすしかなく。


 人生で二度と来ないであろう高校生というきらめく季節を「煌き、何それ美味しいの?」とパッとしないまま過ごしていた。


 このまま社会に出ても兄貴と同じようになるのではないか。


 未来に夢が持てない。


 ただ死なないために生きていく人生が己の人生なのだろうか?

 

 リア充と呼ばれるクラスメートが合コンだ、地方予選だ大会本戦だ、女の子と浴衣で花火だとか

 もしかして男女のグループでプールとか海に行っちゃっているかもしれない夏をただ無為に過ごしていた。



 もちろんそんなだから彼女がいた事もできる予定もあるはずもない。


 別に彼女欲しくもないし、得になりたいものがある訳でもない。

 それに努力をしてもかならず報われないのであれば一生懸命になる必要も感じられない。

 さりとて家の経済事情からしてニートやフリーターになるのは許されないであろう。


 国が違えば自分は贅沢者で我儘な事を言っているという事になるだろう。


 だがどうしても和哉には自分の人生を積極的に生きる術が見当たらなかった。



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