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1.年下ワンコ系に弁当でアピールします【前編】

主人公が残念すぎて、サポートしきれませんでした【前編】と同じ内容となります。

【前編】に変更点はありません。

 昼休みのカフェテリアは人で混雑している。

「そこの庶民、どきなさい。そこはワタクシが座ると決まっていたのです」

 奥の一番日当たりのよい席に座っている子たちに、豪華な立て巻きロールのお嬢様がそう言い放った。


 あの席は元々、三年生である立て巻きロールのお嬢様がいつも座っている席。

 学院に在籍している人間なら、暗黙の了解で皆あの席には座らない。

 けれど、新入生である彼女たちはそれを知らなかった。

 だから、オロオロとして戸惑っている。


 助けに入ろうという者は誰もいない。

 俺は周りを見渡して、近くにこちらを傍観している、イケメンの男子生徒を確認する。


 よし、タイミングはこの日で当たっていたみたいだ。

 ほら行けとばかりに、幼馴染の背をお嬢様の方へ押し出した。


 俺に押されて幼馴染の月島つきしまユメが、ととっとお嬢様の背中に激突する。

「ちょっとあなたなんなんですの。ワタクシに何か用?」

「えっ、いやえーっと用っていうか。ほら席ならわたしのを譲りますよと」

 ユメの視線は泳ぎまくっている。

 ちらりと助けを求めるように、俺の方を見た。


 とりあえず、練習したように強気で行けと指示を出す。

「かのじょたちこまってるじゃないの。それにここはみんなのかふぇてりあであって、あなたのものじゃ」

「はぁっ?」

 昨日徹夜で覚えた台詞を棒読みするユメを、お嬢様がギロリと睨んだ。


「この席は桜子様の指定席でございます。さぁさぁ、新入生たち。あっちに席が空いてるから、移動しよう。ねっ、頼むから」

 ははぁと頭をたれる勢いで、ユメは新入生たちを移動させる。

 駄目だこいつ、寝返りやがった。


「ちょっと待ちなさい。あなた、たかが庶民の分際で、今ワタクシに意見するつもりじゃありませんでした?」

「そんな桜子様にわたしごときが意見できるわけないじゃないですかぁ」

 へらへらと笑って、あいつは手を合わせてもみもみしてる。

 お嬢様はつまらないような者でもみるようにユメを一瞥して、その席に座ってしまった。


 この状況を傍観していたイケメンは、溜息をついて去ってしまう。

 本来なら、ユメがガツンとお嬢様に意見して、それに感銘を受けたイケメンが接触してくるはずだったのに。


 では失礼しますごゆっくりと、退散してきたユメの首根っこを俺は掴む。

「ちょっとこい」

「はい……」



●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●


 人気のない屋上付近の踊り場で、俺はユメを問いただした。

「お前あそこで飲まれるなって言ったよな。あのイベントではお前がお嬢様に盾突かないと、攻略対象の竜馬たつまが声かけてこないんだぞ!」

「無理。無理無理! あんな目つきで凄まれたら、謝る以外の選択肢ないよ! 悪い事してなくてもわたしのチキンハートじゃ謝っちゃうよ!」



 ここは私立エステリア学院。

 そしてこの世界はいわゆる『乙女ゲーム』の世界だったりする。

 元の世界で、『ドキドキ★エステリア学院』というゲームを俺の幼馴染のユメがやっていたのだが、気づいたら何故か俺がゲームの中の登場人物になっていた。


 『乙女ゲーム』とは、主人公の女の子がイケメンの攻略対象を口説き落とすゲームのことだ。

 元の世界でのユメは重度のオタクで、インドア派で、色々と残念な女の子だった。


 俺はそんなユメのお隣さんで、生まれた頃からの幼馴染。

 ユメはどこか抜けてて、トラブルをよく引き起こす子だった。そんな手のかかるユメの面倒を、昔から俺は見てきたのだけど。


 しかし、まさか『乙女ゲーム』の世界にきてしまうなんて。

 さすがにこれは予想していなかった。


 この世界で物心ついた頃には、このゲームの世界でもユメは俺の家の隣に住んでいて。

 すぐに俺はユメを問いただした。


 ユメは元の世界と同じ名前のまま、主人公としてこのゲームの世界にやってきたらしい。

 そして、俺の役どころはユメの幼馴染のサポートキャラだった。


 冗談じゃない。

 こんなよくわからない世界にいられるか。

 俺は元の世界に帰る。


 ゲームの終わりは、いつだってゲームクリアだ。

 そう思い至った俺は、この乙女ゲームのクリアを目指すことにした。

 サポートキャラとして、主人公であるユメの恋を応援し、無理やりにでもゲームを終わらせようと決めたのだ。


 『ドキドキ★エステリア学院』は高校の三年間を過ごすゲーム。

 このゲームをやりこんでいたユメは、どうすればクリアできるか知っている。

 ならば話は簡単だ。その通りに行動していけばいいだけなのだから。



 そう思っていた時期が俺にもありました……。

 現実はそう上手くいかない。

 確かに、正解の選択肢の通りに行動すれば、ゲームはクリアできるだろう。

 しかしそもそも、ユメはその通りに行動ができなかった。


 ユメは相当のチキンで、アホの子だったという事を、俺はうっかり失念していたのだ。



●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●


 現在、俺とユメは二年生。

 しかし、まだ誰ともまだ出会いが起こっていない。


 理由は簡単だ。

 主人公であるユメが、そもそもイベントをクリアできていないからだ。


 乙女ゲームの主人公の基本形は、とにかくいい子だ。

 悪いと思ったら権力にだって盾つくし、弱いものは守ろうとする。

 細かな気遣いだって忘れない。

 そんなところにヒーローは魅かれていく。


 この世界にきて、乙女ゲームを片っ端からやった俺には、その傾向と対策はばっちり頭に入っていた。

 ちなみに、俺が乙女ゲームをプレイしたのは、趣味だからじゃない。

 あくまでも、帰るためだ。

 もちろんサポートキャラとしてユメをバックアップするため、学園でも人当たりよくふるまい、攻略対象の情報収集も欠かしてない。


 この努力に『ドキドキ★エステリア学院』の情報を組み合わせ、完璧な計画を立てて、行動を指示しているのにも関わらず。

 ユメはそれをこなすことができないでいた。



 最初にメインヒーロー。

 幼き日に主人公に出会ったメインヒーローは、初恋の相手である主人公を高校生になっても覚えていた。

 そういうところから始まるストーリだ。


 しかしユメ、幼い頃から引きこもりで外に出なかったため、この幼き日のイベントがそもそも発生していない。

 本編が始まる前から詰んでいる。



 そして、優等生系キャラ。

 コレは一年の一学期初めのテストで、主人公が一位になることで出会いが起きる。

「なんで君なんかが一位なんだ」

 そう難癖つけられる事から、ライバルになり恋が始まっていく。


 この『エステリア学院』での主人公の設定は、庶民の特待生で頭がいいことになっている。

 しかし、その設定はユメに全く生かされてなかった。


 元の世界で万年赤点だったユメは、当然のようにこの世界でも赤点を取ってくれた。

 なんで受かったんだろうねと、先生が不思議がるほどの悲惨さだった。

 補習を受けるユメを、攻略対象の優等生くんが下等生物を見るような目で見ていた。



 次に、同級生の不良少年。

 主人公が木の上に登って下りられなくなった猫を見つけ、木に登る。

 猫を保護したはいいものの、下りられなくなったところを、不良少年が助けてくれる。

 そういう出会いだったんだけども。


 ユメはまず、木に登れなかった。

 ジャンプしてだらーっと木にもたれかかる姿を攻略対象の不良少年が、何コイツという目で見ながら通りすぎていった。

 しかたないから、俺が猫を助ける羽目になった。



 そしてさっき、お嬢様との言い争いを傍観していた一年生のイケメン。

 実はこいつ、お嬢様の血のつながらない弟で姉を心底嫌っている。

 お嬢様に盾つく主人公を気に入って、近づいていくところから始まるストーリーとなっていたんだけど、ごらんの通りだ。



「はぁ……どうするんだよ。このままじゃ、元の世界に帰れねぇ」

「まぁまぁそう気を落とさないで。ほら、この卵焼きおいしいよ」

 ユメは暢気に弁当をパクついている。

 というか、それ俺の弁当なんだが。

 お前はカフェテリアでも食べてただろ。


 まぁこういう事は慣れっこなので、俺は別にもう一つ弁当を用意していた。

 ついでにデザートも手渡してやる。

「わーい、はるちゃん大好き!」

「大好きとか軽々しく口にすんな馬鹿」

 慣れてしまっているのが正直嫌になる。


「というか、出会いがとうとうあと一つじゃねぇか」

「まぁどうにかなるよ!」

 おいしそうにデザートを口にしながら、ユメが楽天的なことを言う。


「お前はもう少し緊張感持てよ! クリアしないと元の世界に戻れないんだぞ」

「いひゃい。いひゃいよ、はるちゃん」

 思いっきり頬をつねると、酷いというように恨みがましくユメがこっちを見た。


「だってわたしクリアしなくてもいいもん。クリアしたって元の世界に帰れるとは限らないし、この世界には大好きなはるちゃんもいるし」

「俺はよくない。だから意地でも頑張ってもらう」

「はーい」

 適当な返事。

 気楽なユメは、事の重大さを全く分かっていなかった。


 まったく手がかかる。

 こんなことでは、もし誰か恋人同士になれたとしても、相手が付き合いきれないんじゃないだろうか。

 こいつに付き合ってやれるのは、元の世界だろうと今の世界だろうと俺くらいのものだ。



●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●


 攻略対象、最後の一人はワンコ系の一年生・沢渡さわたりヨシキだ。


 ヨシキとユメとの出会いのきっかけは、お互いにいる幼い妹と弟。

 保育園にお迎えに行き、ばったりと出くわすところから出会いが始まる。


 彼には歳の離れた弟がいて、ユメの妹と同じ保育園に通っている。

 お迎えに行った所で鉢合せし、そこでお弁当をどうやって作ったらいいのかという相談を受けるところから、恋が始まるのだ。


 これは比較的出会いの条件が簡単だ。

 だから、ヨシキが入学してくる四月から、毎日ユメには保育園へお迎えに行ってもらっていたのだけど。


「今ゲームいいところだから、はるちゃんが代わりに迎えに行って」

 なんていわれて、しかたなく俺がユメの代わりに妹を迎えに行った日に限って、ヨシキとの出会いイベントが起こってしまった。


「その制服、オレと同じエステリア学院ですよね。妹さんですか?」

「うん、まぁ隣の家の子なんだけどさ」

 ヨシキに当たり障り無く答えながら、内心焦る。

 オレが攻略対象と出会っても意味ないんだよと。


「ちょっといいですか?」

 そう言って、声をかけてきたのは保育園の先生だ。

 近々お弁当会があるらしい。

 その話を聞いて、ヨシキが顔を曇らせた。

「どうしたんだ?」

「オレの家、父子家庭で父さんは弁当なんて作れないから、オレが作るしかないなって思って。弁当なんて作ったことないから不安で」


 何故か、俺が主人公でもないのにストーリーが進んでいる。

 しかしこれはチャンスにも思えた。


「よかったらさ、一緒に練習しないか? 幼馴染が料理上手なんだ。教えてくれると思うぜ」

「えっ、いいんですか?」

 俺の申し出に、ヨシキが食いついてくる。


「あぁ。俺も学校用に弁当を作らなきゃいけないから、習らう約束してたんだ」

 本当は幼馴染のユメは料理は上手くないし、むしろヘタクソの領域だ。

 習う約束だってしてない。

 しかし、それを知らないヨシキはよろしくお願いしますと頭を下げてきた。


「あっ、そうだ。自己紹介まだだったな。俺は相川あいかわ透哉とおや。二年だ」

「オレは沢渡ヨシキ、一年です」

「弁当のことで連絡できるように、アドレス交換しようぜ」

 ちゃっかり連絡先もゲットする。


 弁当作りの日時まで、約束を取り付けてきた。

 俺が側について、ユメを料理上手に仕立てあげてやる。

 そうすれば、ヨシキの好感度はあがるはず。

 オレは、料理の腕前にちょっと自信があった。


 俺とユメの家は両親が不在がちなので、よくユメは妹を連れてうちに夕飯を食べに来る。

 今日の弁当だってそうだったが、基本あいつが食べているものは前世から俺の手作り料理だ。


 元の世界で親が不在がちだったこともあって磨いたスキルが、ここで役立つとは思わなかった。

 家に帰って、俺はさっそく作戦を練ることにした。



●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●


「お邪魔します」

 約束の日曜日。ヨシキがやってきた。

「いらっしゃいませ。どうぞあがって!」

 俺との打ち合わせ通り、ユメがエプロン姿でお出迎えする。

 ヨシキはちょっと見とれているようだ。


 今日のユメの見た目だけは、完璧に近いといえる。

 朝も早くから俺が髪やメイクをセットして、服も選んだのだ。


 ヨシキは家庭的な子が好きらしいが、見た目は活発っぽく見える服装が好きだという情報があった。

 つまりはギャップが大切だ。

 短いズボンで足を出し、健康的な魅力をアピール。

 そこに清楚なエプロンを組み合わせる。

 効果はてきめんだったようだ。


「よういらっしゃい。あがってよ」

 俺が姿を現して声をかけると、ヨシキはちょっとほっとしたような顔になる。

 女の子と二人きりというこの状況に緊張していたのだろう。

 ユメから聞いた情報によると、ヨシキは元々中学までは男子校で、女の子とあまり関わったことがないらしい。


「そうだ、自己紹介まだだったよね。わたし、月島ユメ」

「オレは沢渡ヨシキっていいます」

 二人して挨拶をしあう。


 うん、なかなかいい感じじゃないか。

 後は計画通りに事を進めるだけだ。


「今日は簡単で作りやすいオカズを、いくつか作る練習をするよ。まずは沢渡くんはにんじんの皮をむいてくれるかな」

「わかりました」

「はるちゃんはこっちで材料を混ぜ合わせて」

「わかった」

 ユメに指示をさせて、ユメ自身には手伝わせない。

 これが俺の考えた必勝法だった。


「次はどうすればいいですか?」

「それはね、えっと……」

 昨日あんなに暗記させたのに、ユメはもう手順を忘れてしまっているようだった。

「次はこっちの材料をいれて、煮るんだったよな」

「そうそう。じゃ、沢渡くんやってみて」


 ユメによる料理教室は、なかなかに成功した。

 途中ユメが適当なことを言ったりするからヒヤヒヤしたけれど、うまくフォローもできたと思う。


「月島先輩って素敵な人ですね。もしかして付き合ってるんですか?」

 帰り道、ユメの家から出るとき、ヨシキにそう尋ねられた。

「いや、全然付き合ってない。幼馴染で妹みたいなものだから、そういう感情は全くないな」

「そうなんですか」

 ちょっとほっとしたようなヨシキの様子に、俺は手ごたえを感じた。



●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●


「上出来だユメ。沢渡はかなりお前のことが気になっている」

「そうなの?」

 全くいい報告をしたというのに、なんでこんなにユメは興味なさそうなんだ。

 ちょっとむっとしたが、今はそこが重要ではなかった。


「今日からは沢渡ヨシキに的を絞って攻略していく。名づけて、お弁当大作戦だ」

「はい先生、具体的にわたしは何をすればいいんですか!」

「簡単だユメ。お弁当をつくりすぎちゃったから、食べてくれない? とヨシキに弁当を定期的に渡すだけでいい」

 ラブコメにおいて、このお弁当の作りすぎというのはよくあるシチュエーションだ。


「俺の情報によると、沢渡ヨシキは父子家庭。いつもお昼は購買にパンを買いに行く。弁当などの家庭の味に飢えている可能性が高い」

「なるほど」

「いいかこの際、一人分よりまとめてたくさん作ったほうが楽だから、これから沢渡に時々弁当を差し入れていいかなと聞くんだ。わかったな?」

 俺の言葉に、ユメが手を上げた。


「先生、ひとつ大きな問題があります!」

 真剣な顔で、ユメが手を上げた。

 完璧な計画だと思ったのに、何か穴があったんだろうか。


「なんだユメ」

「わたし、毎朝早起きもお弁当作りも自信がありません!」

「堂々と言うな馬鹿。そこは根性を見せろ」

 我が幼馴染ながらなんと情けない。

 しかし、それがユメにできると俺も思ってはいなかった。


 すでに元の世界で試みて、諦めたことだったからだ。

 ユメは寝起きが悪すぎて、遅刻ばかり。

 それで先生にもお隣で幼馴染なんだから声かけてやってくれと頼まれ、結局元の世界にいる頃からユメを起こすのは俺の役目みたいになっていた。


「いいか、俺がちゃんとヨシキの分まで弁当をつくる。だから、お前はそれをヨシキに渡すだけでオッケーだ」

「それならわたしにもできそうです!」

「むしろできなかったらさすがに見捨てる」

「酷いっ」

 ちょっぴり涙目のユメは放っておいて、俺はさっそく明日からの弁当の仕込みに取り掛かった。



●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●


「では行ってきます」

「おう、行ってこい!」

 購買に並ぼうとするヨシキの姿を確認して、ユメを見送る。

 遠くて何を話しているのか聞こえないが、どうやら上手く弁当を手渡せたようだ。

 戻ってきたユメがばっちりだというようにぐっと親指を立ててみせた。


 放課後、弁当箱を回収にいけとユメを促す。

「えぇ? 明日弁当渡すときに返してもらえばいいじゃん。ちゃんと明日も弁当渡す約束したんだし。今日新作ゲームの発売日なんだよ?」

 ぶーぶーとユメは不満そうな声をだす。

「あぁ? なんか行ったかユメ?」

「い、いえ。なんでもないです」

 冷たい空気をまとって尋ねると、ひっとユメは喉を詰まらせ大人しくなった。


「いいか? 弁当を取りに行く事で、あいつがどんな食べ方をしたのかがわかるだろ。それに話すきっかけも一つ増やせる」

「なるほど。それで何を話したらいいのでしょう」

 そこまで俺まかせか。まぁいい。

 ユメにまかせると、好きな声優さんは誰ですかとかを世間話に選びそうだからな。


「とりあえずは、好みの好物でも聞いておけ。後は嫌いな食べ物とかな」

「無難だね。わかったよ」

 素直に頷いて、ユメはヨシキのところへ突撃していく。


 ヨシキは和食が好きで、嫌いな食べ物はピーマンらしい。

 弁当は全部食べてあった。

 綺麗な食べ方だ。

 うん、なんだか好感が持てるな。

 作った側としては嬉しい限りだ。


 そんなこんなで、俺は毎日ヨシキの分まで弁当を作り、せっせとユメに運ばせていったのだった。

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