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夏生詩集

オレンジ色の花

作者: 夏生

きみにおはよう、と言えなかった朝


僕はきみとすれ違って、黙って


じんわり染み込む寂しさに耐えていた



から元気な教室の中


きみに話しかけているあいつの口は


ゴムみたいに伸びたり縮んだり


きみはオレンジ色の花のような笑顔を浮かべる



僕だって


きみにオレンジ色の花を咲かせることはできる!


できる


できる、かも


できたら、いいな


オレンジ色の花はどうやって咲くのか



僕は方法を見つけるために一人、旅へ出た


片っ端から必要だと思うものを両手いっぱいポケットいっぱいに


つめこんで



きみをみつけて、僕はゆっくり息を吸って吐いて


まず、あいさつを


それからが勝負だと思い切って声を出した



おはよう


きみは驚いたように僕を見ると


おはよう


と、オレンジ色の花のような笑顔を浮かべた


つめこんだものはバラバラと落ちて消えて


デリートされた頭の中


口元だけ微量の電流が流れていた


ふりだし、やり直しの赤いランプが点滅する



きみは僕を呼び止めた


今度は僕が驚いてきみを見た


オレンジ色の花の香りがするほど近寄って


きみは小さな声で


今までどこへ行ってたの?


僕も小さな声で


オレンジ色の……


オレンジ色の?


やっぱり秘密!




























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