第一章 奪われた日常05
俺達はまず武器収集から始めた、武器がなくては勝てないかもしれないからだ。
ここではなんでもありなのだから好き放題やってもいいだろうと彼らは思ったろう、元居た世界のことを忘れデスサバイバルゲームを楽しむかのように武器を集めていた。
「普通」の人間ならリアルで殺しなんてしないだろう。
もう彼らは自分が元居た世界に戻りたいという欲求が抑えられず脳内で殺人のイメージをしていた。 もう二人は壊れてしまったのかもしれない、あるいは人間でなくなるかもしれない。これから起こる悪夢に二人は絶望するであろう先の見えない闘いに身を投じる
「ねぇ赤点、これ形よくないか?かっこいいんだけど?どうかな?」
赤点は頭痛に耐えていた。あれからずっと頭痛がしていたのだ
「ん? あぁ かっこいいな」
(オマエハモトイタセカイニカエリタイダロウ?ナラバタタカエ、コロセ)
何かが赤点に囁く、だが山本には聞こえていない
赤点は心の中で叫んだ
(お前は誰だ!)
(ワタシハキミノツヨイオモイカラツクラレタマモノ キミヲサポートスル)
(ほぅ、サポートしてくれるのか俺に。具体的にどんなサポートをしてくれるんだ?)
(コタエヨウ キミノウデ二シルシヲツケサセテモラッタ ソレニワタシハヤドッテイル シルシ二ムカッテ「マジックアクテビティ」トサケベ サレバチカラヲアタエル)
(わかった、だけどまだ信用したわけではないからな)
(ハッハッハ トキハスグクルデアロウ ショウネン マタアオウ)
謎の囁きは消えた。 聞いた感じ「アイツ」ではなさそうだと安堵の溜息を赤点は吐いた
「赤点大丈夫?ぼーっとしてたみたいだけどなんかあった?」
「いや、ただぼーっとしてただけだ、ごめん。」
「ならいいんだけど…」
二人は武器収集に集中し一時間が経った
今は午後二時
「生存者を探すにしても日本は広いから難しくないか?」
「そうだな、俺もそれは思っていた。ホントどうしような…」
「僕はまず人が集まりそうな都会とかに行ってみるのもありだと思うんだけど」
「確かに都会に行くのはいいが危ない気がするな、なにがあるかわからない。」
「そうだね…どうしよう…」
二人はいきなり壁にぶつかっていた。考えても考えても乗り越えられない壁に。
日本は広い。その中から探せと言うのだほぼ無理に近いだろう。この打開策はないか考えるのが嫌になっていたその時
聞いたことのない声が聞こえた
「ちょっと人間!?人間なの!?」
赤点と山本は振り向いた
「なんだ!?敵か!?赤点!!」
山本が叫び二人は包丁を持って構えた
赤点は手が震えていた、山本は震えるどころか落ちつき殺気をたたせていた。
(手が震える…なんでだ?)
赤点はやはり殺人に抵抗がある
ふと山本を赤点は見る
(なんで山本は震えてないんだ…? まさか山本…お前…)
それは勘違いだった、今の山本は山本であって山本でないのだ。
「ちょっと物騒じゃない、それしまってよ」
そんな中、山本の口が緩んだ。
そして山本はいきなり現れた黒髪の少女に包丁を持って襲いかかる。