第一章 残酷な日常の始まり04
あれから何時間経っただろうか。
もう二人に時間感覚などない、ここは時間を感じられない空間なのかもしれない。
この先何があるかわからない
怖い、殺される、殺らないと帰れない。
人を殺して元いた世界に帰る そんな人殺しなんて自分はできない、ここはリアル(現実)だ。 夢の世界であっても痛みは感じる 自分の本来の体がある世界なのだ 斬られれば血がでるし殴られればアザもできる こんな世界で僕らは戦わなくてはならない 残っている人間と全て こんなことになるはずじゃなかった 昨日まで普通の高校生だったのだ未だに信じられない 寝て起きても変わらずこの世界にいるのだから…。
(くっ 頭が痛いな… 何か食べないと…)
赤点はスーパーで取ってきた野菜ジュースとパンとうますぎる棒(うまい棒)をカバンから取り出し朝食として食べ始めていた
その頃…。
(…。 夢じゃなかったんだ… やっぱり現実か…)
山本は赤点より寝起きがよかった、相当疲労していたのだろう。 それも無理ないことである 昨日あんなことが起きたんだから…
(僕はどうしたらいいんだ…残りの七人を殺す…?仲間とか言っていた西原って人もか…?仲間を殺すってどんな神経してるんだ…)
山本は冷静に考えていた。パニックになりやすいとはいえ元は落ち着いた「人間」なのだ
これからのことを考え必死になっていた。
グゥー
(お腹空いたな… 昨日スーパーから取ったものでも食べるかな…)
山本は野菜を中心とした健康的なご飯を作り始めた。
そして朝食を済ませ山本は酷い頭痛に襲われた。
「うっ 痛い… なんだこれ… 何かが語りかけてくる…うぁぁぁ…」
山本は倒れた。今、自分に起きた事が後から大きな影響をもたらすことなど山本は知ることになるだろう
「さて、まだ動きはないようだなぁ 彼らに悪魔を襲わせようかしら?ゲームだものねぇ…楽しまないと フフフ」
不気味なドス黒い声の主は不適に笑っていた
そして時間はお昼を回った
「よし、取り敢えず山本の家に行って話しでもしよう 確かアイツ(ドス黒い声の敵)は時間制限はないと言っていた。でも恐らくこの世界の一秒は元の世界の一秒だろう アイツは俺がこの世界で生き死ぬと言っていた、だから間違いはないだろう。人間は時間が経てば死ぬのだからな」
赤点は準備を黙々と終わらせ山本の家に向かった アイツの言っていたこのゲームに必要な道具のことなど忘れて。
山本の家に着く
ピンポーン
「来たか、おはよう」
「おぅ、おはよう 体は大丈夫か?」
「まあなんとか大丈夫だよ、あれだけのことがあったのにまだ信じられないよ」
「そうだな…入っていいか?」
「うん、どうぞ。それと赤点に相談があるんだ いいかな?」
「あぁいいけどなんだ?」
「中に入ってから話そう」
「わかった。」
そして二人はリラックスした格好で話し合う
「なぁ赤点、僕は元いた世界に帰りたい。だから残りの七人を殺そうと思う」
「!? いきなりなんだよ、冗談か?」
「いや本気だよ、だってこんな世界嫌じゃないか車も電車も自転車すらないじゃないかましてやテレビもないよ。人間に必要なもの(あると便利なもの)はなにもないじゃないか、これじゃまるで昔の時代みたいだよ」
冗談だと言って欲しかった、山本は「普通」ならこんなことは言わない。何かあったんだと赤点は察した。
「なぁ山本、なにかあったのか…?なにかあったなら話してくれ…力になるから…」
「なにもないよ、ホラ。体だってなんの問題もないし」
明らかにおかしい、赤点はそう思って山本をじっと見た。その時山本の背中に何かが見えた気がした、けどそれはただの目の疲れだと判断し元の会話に戻った。
「そうか…わかった。山本がそう言うなら…
俺も昨日寝る前に思ったんだ ここは確かに現実みたいな世界だ、だけど現実世界であって現実世界じゃない。警察もいないし、消防士もいない。この世界でなにやっても捕まらないんだからいいかなって思ったんだ。人殺しはちょっとアレだけどな…」
「僕もそう思う」
山本は首肯した。
まだ赤点達は知らない 否 知る由もない
この世界で起きたことが元いた世界にどのような影響をもたらすことなど。
そんなことも考えず彼らは話を進める、ただ元いた世界に帰らなくてはならない使命を背負った機械のように
「まずは武器かな 武器と言っても銃とかないしね。 武器となるならバットとか包丁かなぁ?」
「そうだなぁ… 昨日のスーパーで色々また揃えに行くか」
「うん!行こう!」
彼らは動きだす。自らの命を武器として盾として。
闘いに彼らは身を乗り出す そして道を開く
彼らは闘いが好きだ 赤点はゲームで殺しをしていた。
山本は自分に取り憑いた何かにより闘いを好むようになった
人殺しを否定していたことが嘘のようだ
こうして彼らの生き残りをかけたデスゲームが始まる