矛盾と砂
結局理屈だけ見つけても生きてる意味がないのだからパンドラは空のままだ。考えれば考えるほど、生きている意味が本当にない。と実感するしかなかった。
家の側に車を止めてガレージから石油タンクを取り出した。蓋を取り家のなかに撒いていく。どうせこんな事したって無意味だろうし意味もない。
石油を家中に撒いた後に喪服に着替えた。多分これも意味がない。
ベット脇に置いたテディーベアがいつも見守ってくれていたように思う。
それすら無意味なのか。
冷蔵庫から紙パックの牛乳を取り出して一気に飲み干した。味がしない。
これも無意味なんだろうが、あの日に近所の方が作ってくれたババロアを想い出した。馬鹿みたいだな。タバコを投げ捨てて家に火をつけた。
また車で走り出す。あの日の2ストローク気持ちがよかった。人馬一体と過去の事かと思い知らされたバイクだ。バイクは事故でバラバラになったがどこかにいるのだろうか。流石に意識がないから話はできないか。
ギアボックスのあの滑りの一瞬が無ければもっと走れていただろうか。
自分で運転する車は好きではない。またタバコに火をつけた。
今頃家は燃えて何かが爆ぜているころ合いだろうか。でっかいキャンプファイアか。などと考えていたら道がどんどんウネリだしてがけっぷちを走っている。高いところは好きではない。茶色く濁った岩肌とアスファルトの境界が曖昧だ。車は誰も走っていない。飛ばすには丁度いい。
きっと砂漠の手前でこいつは止まって二度と動かなくなるだろうな。
もっと聖人的な生き方を選んでもっと真面目に全ての事を取り組んでいたら、神様なんていもしない超人的なものが助けてくれたのだろうか。
きっとそんな事はない。もしそんな存在がいるなら困ってる人がいないはずだ。神が試練を与えるなんて嘘っぱちだ。
バイクで事故ったあの日も成るべくしてなったのだ。あの日の夢は病院の天井だ。動かない身体、眼だけを動かして隣りを見たらみんな瀕死だ。
誰かがそれを見せたとしても良き方向に変えられないのは本当に合点がいかない。良い行いが足りないからなのか。それとも自分の脳の一部が委縮状態でそんな夢を見ていたのか。どうでもいい。
車でこの崖から飛び込んでやろうかと考えたがきっと意味がないし、また繰り返すだけだろう。
そんな事より道路脇に咲いてる名前も知らない花が綺麗だ。
真っすぐになった道が心地いい。
フザケタ人生もこれぐらい真っすぐなら心地がいいのかもしれない。
永遠に続く砂漠地帯の道路の片側に車を寄せた。
何故かたき火をしようと思い立ち枯草だの木がカラッカラになってるものを拾ってきた。松ぼっくりがないのが少し残念だったが、石を円状に並べて枯草に火をつけて暖を取った。
無駄に星空が綺麗だ。と思いつつまたタバコに火をつける。




