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身近な恐怖

作者: 柴犬



 ジュウウ~~。

 ジュウウ~~。


 

 肉の焼ける香ばしい匂いがする。

 バーベキューグリルで焼かれた肉がいい塩梅だ。


「肉~~」

「まだ焼けてない」

「え~~」


 今日は友人と庭先でバーベキューをしてる。

 

「贅沢だね~~平日の午前中で」

「平日だからこそだよ君~~」

「そうだな~~」


 アウトドア用の机にバーベキューグリル。

 肉はカルビにタン。

 野菜はナスにキャベツそれに玉葱。

 そしてキンキンに冷やしたビール。

 全てが最高だ。


「焼けたぞ~~」

「お~~」


 僕はタンを食おうとする。


「うん?」

「あれ?」

「なあ……匂いおかしくない?」

「ああ」

「痛んでるのかな~~」

「今日買ったんだが」

「まあ~~いいや、問題は味だ」

「おう」


 僕達はタンを食べた。


「「……」」

「なんか……なあ?」

「ああ」


 正直微妙。

 味が微妙。

 不味くは無い。

 美味くも無いが。


「捨てるのはアレだし食うか」

「ああ」


 黙々と食べう僕達。


 タンをビールで流し込もうとした。


「あれ?」

「匂いおかしくない?」

「だな」

「賞味期限は~~まだある」

「飲むか」

「だな」


 ゴクゴクとビールを飲んだ。

 

「「……」」


 味が微妙で沈黙した。


「不味くは無いが……」

「それだけだな」

「だな」


 ふうう~~と僕は空を見上げた。

 青い空に大きく目立つ入道雲。


 デカい。


 見ようによっては達磨さんに見える。


「それはそうと先週の河川敷は最悪だったな」

「おうとも釣り上げたフナを食べてたら漁業組合の人に怒られたわ」

「勝手に釣るな~~って」

「「はああ~~」」



 思わず友人と溜息をついた。


「まあ~~焼いたフナは臭くて食えたものではなかったから良いけど」

「小骨も多いし」

「アレは普通はどうやって食うんだ?」

「うん~~油で揚げて煮込むんだと」

「誰に聞いた?」

「父親」

「ああ」

「田舎ではフナは食われてたらしいからな」

「聞いたことある」

「ああ~~」


 友人が蹲る。


「どうした?」

「何か吐き気が……」

「肉が傷んでたんだな」

「そうかも」


 何か食べる気失せたな。


「少し早いがお開きにするか」

「そうだな」



 後かたずけした僕らは分かれ帰宅した。

 その日の晩。


 僕は猛烈な吐き気、嘔吐、発熱、頭痛に悩まされた。


「食中毒か? でも賞味期限は切れて無かったんだが」



 そんな時だ。


 スマホが鳴ったのは。

 相手は友人だった。


『すまんな夜分遅く』

「いや大丈夫だけど……うっぷ」

『その様子だとお前もか』

「というと其方も食中毒?」

『ああ今から救急車を呼ぶところ』

「僕も呼ぶわ」

『今回はごめんな~~こんなことになって』

「いや」

『じゃあ……うぷっ』



 友人からの電話を切った僕は救急車を呼んだ。

 そうして待っていること暫し。


 急速に具合が悪くなった。

 意識が朦朧とし手に力が入らない。

 指が伸ばせない。

 曲げることも出来ない。

 力なく開くことしかできない。

 視界が白くなる。


 白く。


 白く。

 

 急速な昏睡状態だろう。

 そうと認識しても思考する気力がわかない。

 


 どこかで救急車の音がする。



 そうして僕は意識がフッと消えるように無くなった。





 この日二人の若者が死亡した。

 

 原因は殺人アメーバである。


 


フォーラーネグレリア(Naegleria fowleri)というアメーバは、多くの場合、鼻に淡水が入ったときに人間に感染する。脳の炎症を引き起こして頭痛や嘔吐をもたらし、治療をしなければ、患者は昏睡状態から死に至る。(LONDON SCHOOL OF HYGIENE & TROPICAL MEDICINE, SCIENCE SOURCE)

フォーラーネグレリア(Naegleria fowleri)というアメーバは、多くの場合、鼻に淡水が入ったときに人間に感染する。脳の炎症を引き起こして頭痛や嘔吐をもたらし、治療をしなければ、患者は昏睡状態から死に至る。(LONDON SCHOOL OF HYGIENE & TROPICAL MEDICINE, SCIENCE SOURCE)


 



[参考・引用サイト]

ウィキペディア フリー百科事典

参考URL:ja.wikipedia.org/wiki/



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― 新着の感想 ―
ふむ。作品の内容は置いておいて……。 前作の短編から気になっていたんですが『5W1H』の要である『会話文』が丁寧になっていますな。具体的には『誰が誰と何を話している』がスルリと頭に入る。 これが全て…
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