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8.癒しの刃

カイル、ケン、アリの3人はアメリカ南部の大都市に到着した。情報によると、「シルバーズ・ロッド」という力を持つファントム使いがこの地にいるらしい。街の喧騒の中、カイルの左手の紋様が熱を帯び始める。


「共鳴だな……近くにいるぞ。」

ケンが言い、アリも軽く頷いた。


「それなら早いとこ見つけようぜ。せっかくの都会だ、俺も少し楽しみたいしな!」

アリが冗談混じりに言うと、カイルは微笑みながら先を急いだ。


街外れの閑静な地区で、3人は銀色に輝くユニコーン型のファントム「シルバーズ・ロッド」を召喚する男に出会う。彼はダークブラウンの髪に知的な佇まいを持ち、片手に杖を持っていた。


「誰だ?」

冷静な声で問いかけてきた男――ミゲル・ロペスが、じっとこちらを見つめていた。


ケンが一歩前に出て答える。

「俺たちはカイル、ケン、そしてアリだ。エクリプスを止めるために動いている。」


「エクリプス、か……。」

ミゲルは一瞬目を伏せたが、すぐに再び視線を上げた。


その時、奥からエクリプスの兵士たちが姿を現し、武器を構えて近づいてきた。


「また奴らか……!」

ミゲルが静かに杖を構えると、銀色のファントムが彼の周囲に現れる。


ミゲルの「シルバーズ・ロッド」が敵に向かって突進し、銀色の光が兵士たちの装甲を包み込む。その光は一見すると癒しのようだが、瞬時に装甲が圧力で砕け散った。


「修復しているのに壊れる……なんだ、この力。」

カイルが呟くと、ミゲルは短く答えた。

「癒しの力だが、限度を超えると破壊に変わる。それがこの力だ。」


ケンは「ライトニング・フューリー」を刀に纏わせ、敵の攻撃を切り裂いていく。アリは右腕に「ストーム・ブレイカー」の力を宿し、砂嵐を巻き起こして敵の隊列を崩していった。


「やるじゃねぇか、銀の兄貴!」

アリが軽口を叩くと、ミゲルはわずかに笑みを浮かべながら杖を振るう。


「褒め言葉と受け取っておこう。」


最後の敵を倒し終えると、街には静寂が戻った。ミゲルは「シルバーズ・ロッド」を消し、持っていた杖を静かに地面に突き立てた。「カツン」という音が響き、緊張が解けた。


「で、お前たちは本当にエクリプスを止められると思っているのか?」

ミゲルが問いかけると、カイルが力強く答えた。

「止めなきゃいけないんだ。僕たちにはそれしかない。」


しばらくの沈黙の後、ミゲルは小さく頷いた。

「いいだろう。だが、俺の力を過信するな。それが仲間を傷つける可能性もある。」


ケンが笑いながら言う。

「そんなこと気にするな。お前がいてくれるだけで心強い。」


「……なら、しばらく付き合ってやるさ。」

ミゲルは軽く微笑むと、杖を軽く握り直した。


次回予告


新たな仲間ミゲルを加えたカイルたち。旅を続ける中で、カイルは自らのファントム「ヴァイオレット・スカイ」を制御し、武器に纏わせるための修行を始める。それぞれの個性を持つケン、アリ、ミゲルの助言を受けながら、カイルは新たな一歩を踏み出していく――。

第8話「癒しの刃」をお読みいただき、ありがとうございます!

今回は、ミゲル・ロペスという新たな仲間との出会いが描かれました。知的で冷静な彼が加わったことで、物語のチームダイナミクスに新たな深みが生まれると同時に、「シルバーズ・ロッド」の能力の強さと危険性も垣間見えました。


戦闘後に杖を地面に突き立てるミゲルの仕草には、彼の慎重な性格や重みのある戦闘哲学が込められています。彼が回復薬としてだけでなく、戦術的な役割をどのように果たしていくのか、今後の活躍が楽しみですね。


次回、第9話では、いよいよカイルがファントムの力を制御し、武器に纏わせるための修行に挑みます。仲間たちの指導を受けながら、成長するカイルの姿をお楽しみに!


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